蔵のライブ 🌙

上月くるを

蔵のライブ 🌙



がりがりのフロントガラス朝の霜

バスタブに朝日さんさん師走かな


冬麗やソファを除けし部屋広し

つやつやと玉の生け垣冬日ざし


室の花きのふの続き話すごと

老医師の語りの長し花アロエ


本堂へながき石段冬の雲

冬晴や製糸工女の峠の碑


活況の値下スーパーずわい蟹

天ぷらと蕎麦を求めて年忘れ


東京の菓子おくられて年の暮

なんといふ冷たき言葉報道官


老犬の小さきせなかや枯木道

嫌はれる覚悟をかため花八手


ただじつとそこに居座る冬の雲

風花やこんなところに染め物屋


この服を捨てかねてゐる師走かな

この屋根に守られてゐる去年今年


寒月や蔵のライブのいま佳境

寒すばる客のまばらな最終便




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

蔵のライブ 🌙 上月くるを @kurutan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ