13運ばれるもの達後くっつける

「自分は上見坂一之進、26歳、仕事は工場勤務です。君は?」

爽やかな振り方に少し回答に臆する。

俺はすがないえー、何歳だ。恐らく23歳。名は司輅星斗架。無職です。


「あー、お前は不審者01か。無職?おいおい、何してんだよ。」

向かいで座るたてがみヘアの強面男性がいちゃもんを付ける。

もうあだ名をつけられたのか。

「すいません。来たばかりなもんで」

「しかし、珍しいな。進んで志願するとは」

「いえ、ただいかなければ行けないと思っただけですから」

上見坂に以前この問答をした記憶が呼び覚まされる。

「頼もしいな、司輅星」

爽やかフェースで呟く一之進。

「たてがみヘヤのあなたは」

すかさず、振る上見坂に目を細めながら彼は答える。

「俺か、あぁ、そうだな。暴走族弦召ヶ丘団総長、薬師丸剱だ。年齢は45歳。

見かけ通り過ぎる斗架以外の誰もそう思っただろう。

「隣の方は」

「しょうへいは山本軍曹であります。年齢27歳であります。」

「個性的ですね。運転手さん、あなたは。」

俺か、おりゃあ、八琉芽掻痒ヤルメソウヨウ。29歳ただのタクシードライバーさ。

「頼もしいな。その道の人とは。より集めにしちゃ、上出来な編成だ。」

「期待してもらっちゃ困るがな。」

「あぁ、俺は佐久間兵太郎。53歳独身だ。」

「後は」

もう一人いた。どことなく凄みを感じる。闇を感じるといったほうがいい。

「貴方は。」

「名は八琉芽厳正。ヤルメゲンセイ

一切こちらを見ず、銃の整備をしている。異彩を放つ風変わりな男だ。

「以上、7名プラス俺で向かう。俺は」

「山下忠一郎、20歳にして、軍曹そして、30歳にして指揮官を任された天才。」

「おお、良く知ってるな。えー」

「この界隈では有名ですから」

それにしても東京もひどいもんだな。b地区が荒れ地だ。

「そうこれより、我が班はB地区を突破し、c地区を防衛する。敵の正体は不明だが絶対死守が命令だ。だからといって命を粗末にはしなくてはいい生きてかえろう。そして、」

どこからともなく現れた指揮官の言葉の最中。奇妙な音が始まった。


「ん?」

魑魅魍魎チミモウリョウ跋扈バッコする。」 

八琉芽の奇妙な言い回しにつられてみる。

彼らは目にする。それは得体の知れないものだった。

何かが地底を動いている。皆、窓に顔を寄せる。瓦礫が動き、大きな砂煙が上がる。

「ありゃあ、ミミズか。」

「奴は、デースモンターと名付けられたものだ。」

撃ち方ヨーイ、発射。

別の隊が攻撃を開始する。機関銃だ。それは敵に命中する。しかし、それがデースモンターを怒らせてしまったようだ。こちらに向かってくる。それも複数体も。地底をうねるように進む。それはまるでミミズ。彼らは瓦礫をはじき飛ばしながらこちらに迫ってくる。

「やばいぞ。こっちにもくる。」

たてがみヘアの薬師丸が指揮官を見て言う。

撃ち方ヨーイ

「いや、逃げるんだ。」

俺は思いがけず声を出す。

「おいおい、どうして」

「みた限り機関銃は効いていない。ならば、とにかく逃げることが先決だと思います。」

そう、記憶では彼らは弾力性のある厚い外装を持っていたはず、倒すなら、それを貫通させ、内部から破裂させる必要がある。しかし、この車両には搭載されていないはずだ。

「お願います。掻痒さん。」

「了解した。俺もそのほうがいいと思っていたところだ。」

別の車両がモンターに破壊されるのをみて山下指揮官も指示を出す

「斗架、いい目をしてる。よし、全速でc地区を目指す。」

「了解した。」

記憶があるといってもその都度その都度事態も変わる訳で対処は難しい。だが、c地区を目指すのは絶対だ。これには東京存亡しいては日本存亡がかかっている。

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故に私達の心は二分する。二層仮想世界 秋風のシャー @akikazenosyah

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