53 補足
福原賢治イメージイラスト
https://kakuyomu.jp/users/saki-souyama/news/16818023211829288177
賢治について
賢治は男尊女卑思想の強い人間です。女性は仕事の場に出てこないでほしいと願っており、家庭でしとやかに過ごす女性こそが好みでした。
伊織母とは遊びのつもりでした。伊織ができてしまい、仕方なく結婚した形です。就職したばかりでもあり、若くモテており、女遊びがやめられず、伊織妊娠中から不倫を繰り返していました。
伊織のことは愛していました。ただ、面倒なことには一切関わらず、育児のいいとこ取りをしました。命名は自分がやり、玩具やお菓子を与え、懐かせました。
それが変わってきた理由は、伊織の背が伸びて体格もよくなり、彼に「男」を感じたからです。伊織にいつか乗り越えられることを賢治はおそれました。
伊織母を殴っても伊織には手をあげなかったのはそのためです。伊織に負けるかもしれないと不安だった。
そして、瞬母のことを真剣に愛しました。運命の女性だと思ったのです。それまでの遊び相手は切り捨て、彼女に尽くしました。
瞬母の面影を色濃く残し、背も伸びなかった瞬くんを賢治は盲目的に愛しました。成人しても従順で大人しかった瞬くんに脅威を感じていなかったのです。
そんな設定があったのですが、あの状態の息子たちが父親の長話を聞くわけはないし、賢治も語りたがらないので、バッサリと切り捨てました。
凝縮したのが「瞬が生まれてのめりこんだ、過去は忘れたかった」というセリフです。
ちなみに、旧版では賢治は生存します。その代わりに死んだ人物の冥福を祈りながら余生を送ります。
瞬母について
作中では彼女の存在感をあえて薄く書きました。名前も与えませんでした。全ては最後に爆弾を落としてもらうためでした。
あの手紙は瞬くんを気遣うような文面ではありますが、実質的には呪いの手紙です。瞬くんが最も知りたくなかった「賢治を略奪したかどうか」がわざわざ書かれているのですから。瞬くんをハッキリと「理解できない」とも突き放してもいます。
瞬くんがあの手紙を読めたかどうかは設定していません。
ルリちゃんの子供について
誰が父親だったかは設定していません。ただ、彼女は嘘は言っておらず、瞬くんか海斗くんかのどちらかです。
ちなみに、旧版ではルリちゃんは海斗くんと結婚し娘を設けます。
伊織泥酔時の警察官について
旧版では名前の出てきていた吉野さんです。あちらでは兄弟との関わりがもう少し描かれました。
瞬くんについて
様々な行動をやらかした彼ですが、私は彼をサイコパスだとは思っていません。むしろ共感性の著しく高い人間です。それだけに余計にタチが悪い。
瞬くんは他者に絶望を与えるため、「自分がされて嫌なことは何か、言われて嫌なことは何か」を考え実行していました。
伊織のセリフだったのでわかりにくかったのですが、賢治の前で兄弟の行為をしようと立案したのは瞬くんです。それが最もショックを与えられるとわかっていました。
なお、瞬くんが極刑になるかどうかは素人の私には判断のつきかねるところです。永山基準と呼ばれる四人はこえています。海斗くんに至ってはかなり計画的でした。ただ、逮捕後、鏡に父親の顔が映ったり、不眠を訴えたりと、精神的に不安定な様子を見せます。弁護士側が心身耗弱を主張した可能性が高いです。奈々ちゃんの父親が運動を起こした、ということで軽く示してあります。
伊織について
彼の罪は死体遺棄と賢治への暴行です。これがどのくらいの刑になるかどうかは調べていません。
ただ、最愛の瞬くんと永遠に引き離されたことで、社会生活はまともに送れなくなります。
持病は双極性障害の設定でした。二十代の頃には発症しており、当時仕事が続かなかったり、行きずりの関係を持ったりしていたのですが、そのためでした。
賢治が最後まで自分を選んでくれなかったことを引きずり病気は悪化します。瞬くんへの恨みはさらに深くなっており、愛情との狭間で苦しみます。
そして、自身が宣言した通り、伊織は瞬くんに縛られたまま孤独に生を終えます。長生きはできないと思います。
血の鏡 惣山沙樹 @saki-souyama
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