T分岐2

「なんなんだよ、アレ!」


花咲小学校から坂を下り走った。

朝にホテルから学校へ向かった道を逆走するルートだ。


こんなことになるなんて思っていなかった、訳が分からない。

坂を下り、後は海沿いにホテルに走るだけ、モヤとの距離は大分離れた。


しかし、走っていた足は急に止まる、いや、止めざるを得なかった。

ホテルの方面からもモヤが迫ってきていた。


急いで引き返したが遅かった。

学校方面から迫っていたモヤが既に目と鼻の先だ。


背後は海、囲まれた…


モヤに飲まれるか海に飛び込むかの2択、どうしてこんな目に…

決断を出来ずにじりじりと堤防に追いやられついに足を踏み外し海に落ちてしまった。


最悪だが、モヤは海まではこないようだ。

このまま近くのブイにしがみついてモヤが晴れるまで待とう。


そう思い沖に向かい泳いだが、背中に先ほどまでなかった感触、まるで子供をおんぶをして欲しくて飛びついてきたような感覚だ。


重い、浮き上がれない。

必死で手足を動かすも身体は沈んでいく…


「●●、会いたかった」


●●、子供のころのあだ名だ。しかもそのあだ名で呼ぶのは彼女しかいない。

今まで感じていた恐怖が不思議と消えていく。

もういいか、身体の力を抜き、彼女と水底へと堕ちていった。



【DEAD END】

ひとつ前に戻る。

https://kakuyomu.jp/works/16817330668125555555/episodes/16817330668130001883













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