END2

来た道を戻り、再び小学校へ戻ってきた。

モヤに追われる前は閉じていた玄関も今は開いている。


もう、何が起きても驚かない、と言うよりいちいち驚いていたら心が持たない。

玄関を通り、目指すは図書室だ。


「嘘でしょ…」


驚かないと思っておいて、数秒後には逆のことをしてしまっているが、仕方がない。

何故なら、目の前を彼女が、それも記憶のままの彼女が走り横切っていった。


そして彼女を追う女子、覚えている、彼女をイジメていた女だ。

彼女は泣いていた、きっとまた意地悪をされて追い掛け回されているのだろう。


――!?


止めないと、そう思い彼女を追いかけようとしたが息が止まった。

彼女をイジメ、今も追い回している集団の最後尾に幼いころの自分がいる…


自分もイジメに加担していた…?



いや、今考えるのはそれじゃない!例え幻でも彼女を助けないといけない!

彼女を追う集団を追いかけるが距離が縮まらない。

おかしい、子供が相手ならすぐに追い付けるはずなのに…


見失わないように必死に追いかける、

体育館を抜け、反対渡り廊下を抜け、階段を上がり、2階を通り抜け3階へ。

この順路だと次は突き当たりだ、これなら追いつける。


だが、彼女たちは階段を3階の更に上に上がっていった。

いや、そっちは屋上だぞ?


記憶の中でも普段、屋上は施錠されている、しかし今回は施錠はされていなかった。

それどころか扉が開け放たれている。確かに点検などで開けられている日はあった。

その日は必ず先生が屋上にいかないよう注意をしていたと思う、今日がその日なのか?


イジメっ子の女はキャハハと笑い、それがどうしようもなく不快だ。

一足遅れて屋上に上がると彼女は大きくUターンしようとしているようだ。

イジメっ子たちを躱して階下に降りようとしたのだろう、だが彼女は足を滑らせた。


そもそも解放されていない屋上に柵はなく、勢いよく投げ出された彼女は、吸い込まれるように屋上から消えていった。


後に響くのは形容したくない衝突音。


そうか…これを忘れていたのか…


気が付けばイジメっ子たちも、幼い自分も消えていた。


こんな大事なことを忘れていたなんて、これほど罪深いことがあるか?

きっと彼女はコレを思い出させる為にここに呼んだのか。


自分のやるべきことが解るよ…


「ごめんね、ユリちゃん…」


今謝りにいくよ。


あと一歩踏み出せば落ちるところで身体を屋上側へ引き倒される。

顔を上げると涙をいっぱいに溜めたユリちゃんがこちらを見つめている。


言葉はなくても言いたいことが伝わってくる。


「死ぬなってことだよね?」


変わらずに涙を溜めた目だがユリちゃんは笑顔を向けてくれる。

指輪をあげたときと同じ笑顔、本当に嬉しいときの表情かおだと知っている。

そのまま何も言わずユリちゃんは霞が晴れるように消えてしまった。


図書室へ戻り、初めに手に取った本を開く。

中は見覚えのある字で書かれた日記のようなものだった。


「●●がサイロに落とされたわたしを助けてくれた」

「●●が池に落とされたわたしを助けてくれた」

「●●が指輪をくれた、嬉しい」


最後のページは大人びた筆跡だが、ユリちゃんの字の特徴があった。

「●●、助けに来てくれたのに、わたし、死んじゃってごめんね」



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遊んで頂きありがとうございます。

分岐でもう一つ、エンディングを作っています。

こちらがトゥルーエンドになります。

またお時間あるときに遊んで頂けると嬉しいです。

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散った百合の花を探して きんくま @kinkuma03

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