END1

来た道を戻り、再び小学校へ戻ってきた。

モヤに追われる前は閉じていた玄関も今は開いている。


もう、何が起きても驚かない、と言うよりいちいち驚いていたら心が持たない。

玄関を通り、目指すは図書室だ。


「嘘でしょ…」


驚かないと思っておいて、数秒後には逆のことをしてしまっているが、仕方がない。

何故なら、目の前を彼女が、それも記憶のままの彼女が走り横切っていった。


そして彼女を追う女子、覚えている、彼女をイジメていた女だ。

彼女は泣いていた、きっとまた意地悪をされて追い掛け回されているのだろう。


――!?


止めないと、そう思い彼女を追いかけようとしたが息が止まった。

彼女をイジメ、今も追い回している集団の最後尾に幼いころの自分がいる…


自分もイジメに加担していた…?



いや、今考えるのはそれじゃない!例え幻でも彼女を助けないといけない!

彼女を追う集団を追いかけるが距離が縮まらない。

おかしい、子供が相手ならすぐに追い付けるはずなのに…


見失わないように必死に追いかける、

体育館を抜け、反対渡り廊下を抜け、階段を上がり、2階を通り抜け3階へ。

この順路だと次は突き当たりだ、これなら追いつける。


だが、彼女たちは階段を3階の更に上に上がっていった。

いや、そっちは屋上だぞ?


記憶の中でも普段、屋上は施錠されている、しかし今回は施錠はされていなかった。

それどころか扉が開け放たれている。確かに点検などで開けられている日はあった。

その日は必ず先生が屋上にいかないよう注意をしていたと思う、今日がその日なのか?


イジメっ子の女はキャハハと笑い、それがどうしようもなく不快だ。

一足遅れて屋上に上がると彼女は大きくUターンしようとしているようだ。

イジメっ子たちを躱して階下に降りようとしたのだろう、だが彼女は足を滑らせた。


そもそも解放されていない屋上に柵はなく、勢いよく投げ出された彼女は、吸い込まれるように屋上から消えていった。


後に響くのは形容したくない衝突音。


そうか…これを忘れていたのか…


気が付けばイジメっ子たちも、幼い自分も消えていた。


こんな大事なことを忘れていたなんて、これほど罪深いことがあるか?

きっと彼女はコレを思い出させる為にここに呼んだのか。


自分のやるべきことが解るよ…


「ごめんね、ユリちゃん…」


今謝りにいくよ。

そうして迫る地面に目を瞑る。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■


遊んで頂きありがとうございます。

分岐でもう一つ、エンディングを作っています。

またお時間あるときに遊んで頂けると嬉しいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る