4年目第二節 急激なコロニーの発展

第二節が始まった。

始まりの日は特に目立った襲撃や異変は起こらず、平和な1日であった。

夕方、キャラバン隊の指名用紙が大広間に貼り出された。

行先はここから北上したところにあるドゥアンゴの海峡野営地、鼻区、モヨ派閥の都市だ。結構長距離移動する疲れそうな日程になっている。

今回はキャラバン隊の対象にならなかったがEudokiaとレーヌとAdeodata...クオリーラ3人のみというかなり珍しい組み合わせでの組成だ。

課長が戦力不足を懸念していた。

今回キャラバン隊の組成を指名したのはEudokia本人...

もしかしたら人員選びが下手くそなのかもしれない。


昼頃、ロリババァ様が血相を変えて徴兵できる人は早く南側に行ってくれと指示していた。面倒なので行かなかったがどうやら人狩り集団みたいだ。


夜、冷凍庫には大量の熊肉が置かれていた。

どうやら人狩りの中でも腐敗しなかった個体を精肉したみたいだ。

電気が止まらない限りは暫く食糧は困らなそうだ。

記:5503年第二節1日


朝、捕虜の勧誘に行くと古代エルフが1人いなくなっていた。

Kiaに事情を聞いてみると昨日捕虜のひとり、守護騎士のNickieが凶暴化して大暴れしたみたいで古代エルフ2人の足を引きちぎられてしまったみたいだ。

なんて怪力なんだ...これだから古代エルフは恐ろしい。

略歴が悪い方を亜人工業奴隷販売店に押し付けて売却したらしい。


エルフの捕虜を1人売った売上金で奴隷を3人も購入したみたいだ。

一人目はヒトのラクダ。

二人目はラットキン実験体のアイリス。

三人目はサクリーンのSophiaだ。


今回事件を起こしたNickieはこれを機に個別部屋に移動させる事となった。

記:5503年第二節2日


早朝、相変わらず建築関連の作業が多い。

依然として入植者に対して部屋が足りていない現状だ。

北西の方向からぞろぞろキャラバン隊がやってくる。

東方アズオンテニからのキャラバン隊だ。

この派閥はRimに現生するヒトを主体とする中立派閥だ。

いつもはZoeちゃんとか島田部長、課長が取引をするが今回は珍しく古代エルフのShepardがキャラバン隊と取引している。

薬草を手渡して...衝撃の槍を買ったみたいだ。


昼頃、Daughertyから現在北側に建築している建物の敷物を変更するように指示された。

木材を多く使うフローリングから畳に変更になった。

ここの原住民たちは畳の存在を知らないみたいで時折土足で立ち入って部屋を汚している構図をよく見るが大丈夫なのだろうか...?


夕方、メカノイドクラスターが降ってきた。

メカノイドクラスターの規模は回数を重ねるごとに大きくなってる気がする。

今回もメカノイドカプセルやメカノイドを組み立てる装置もある。

機械化ムカデも多い。


やはりここで爆発する超強力なアダマヘレヴのビームを扱えるZoeちゃんの出番だ。


メカノイドに接近されないように弾幕を張るのが精一杯だ。

抑圧してる間にZoeちゃんはタイミングを見計らい塀の外に出る。

そしてドカン!!とビームを機械化ムカデ群に向かって放つ。

機械化ムカデにビームが命中すると爆音と爆風が放たれる。

機械化ムカデは何発か耐えるが数回直撃はさすがに耐え切れずに蒸発する。

あんなビーム生身で受けたら一撃で昇天だろう。


課長や島田とオリアンが会話する。

レクイーンが墜落してきたときの襲撃はこれとは比にならないようだ...

反物質が有効とかかなり物騒なことを言っていたが...

自分のペットとして飼ってる原型種とその亜種が大量に来るらしい。

ただでさえ数体でも十二分に強いのでこんなのが大量に来たらZoeちゃんやEudokiaさんがいたとしてもこのコロニーは戦力不足待ったなしだろう。

記:5503年第二節3日


昨日は夜遅くまで起きていたので昼頃...

狂暴化したネズミに叩き起こされた。

頭にきたのでご自慢のラーヴァランチャーを使って迎撃をする。

周りが火の海になるので当然他の入植者は怒りだす。

自分の寝室は洗濯部屋の隣にあるので当然干してある洗濯物も炎上した。

放火って楽しいものだ(この後めちゃくちゃ怒られた)


午後、研究部屋から叫び声が上がる。

いかん再起動しよった!!

どうやら また島田がメカノイドハックに失敗したらしい。

前回も失敗してメカノイド軍を呼びつけて襲撃されたのでいい加減にしてもらいたいのが内心だ。


その夜、また失敗したのか今度は顔を真っ青にして連絡してきた。

メカノイド軍がくるど...


その連絡の1時間後、メカノイドの襲撃が発生した。

ほんといい加減にしてくれ...

記:5503年第二節4日


最近深夜まで起きているせいか寝坊気味だ。

何やら入植者の出入りがあったみたいだ。

最近飛び入り入植してきたAme、もともと精神状態が悪くうつ病気味。

しかも彼女は薬物常用者だ。

薬物の制限があるこのコロニーだとだいぶ辛かったんだろう。


調理担当であったものの常にうつ状態で調理なんてしてる場合じゃなかったので彼女が調理台の前に立っているところは見たことなかった。

どうやら朝ごろ勝手に出て行ったみたいだ。


Zoeちゃんがその代替として亜人工業の奴隷売り場でたまたま売っていたハーフエルフを仕入れた。名前はHotaru、かなりのしっかり者だ。


午後現場監督から個別部屋の建築スピードを上げると指示があった。

人手が足りてないのにどうやって速度上げろと...

こっそりと現場監督が言う。

課長やEudokiaさんが困ってるから協力してあげてくれ... と


ふざけんな。


小雨が降る午後、何やら古代エルフやその絡みのクーリン達がざわついている。

白くてでかい奴、スランボを討伐している。

スランボは希少な毛皮と屈強な角が取れる生物なので金銭を稼ごうと彼女らは必死になっている。


夜にはすべての群れの討伐が終わったみたいだ。

希少生物なのに無慈悲だ。

記:5503年第二節5日


昨日は早く寝床についてしまった分早朝に起床した。

朝コロニー内を散歩していると課長と現場監督が会話していた。

どさくさに紛れて会話を聞くと古代種エルフ(エンシェントエルフ)の件だった。

心情がある程度よくなってきたみたいでだいぶ話をするようになったみたいだが守護騎士はまだダメそうだ。


エルフを何人ここに連れ込んで地球に連れ去るかどうかはわからないが地球での移住実績は既にある。


迫真空手部という人間達が浴にRim惑星と呼ばれる異星に飛ばされて何人かエンシェントエルフを連れてきたが彼女らは地球ではアーチェリー選手や現地の農家と仲良くしているお手伝い美人さんと化している。

知能的には人間に近い知能を持つが閉塞的な文化ゆえ知恵がだいぶ遅れており機械の操作などは非常に苦手、人の約4倍寿命が長く、驚異的な肉体性能・物理耐性がある。下手すると本気の一撃げんこつを食らっただけでも致死に至る可能性もあるだろう。


Leach姉貴がその地球連れ去り組の生え抜きだがとにかく強い印象だ(性格に難があるから関わりたくない)


現場監督がちらっと話していたが心を開いた相手にはかなり積極的に世間話している様子もみられるので警戒心が強いだけなのかもしれない...


ブロック製造機ことProseriaちゃんが遅い足を頑張って動かしながらブロックをゆっくりと運んでいる姿を見たら仕事をしないとなと思った。


午後は建築に没頭した。

部屋の装備が簡略化されたかつ和室での建築であったため早めに建築が仕上がった。

記:5503年第二節6日


昨日動きすぎたせいか節々がだいぶ痛む。

良く眠れなかった。

このままだと昼夜逆転してしまうがどうやっても動けない。


部屋で休むことにした。


午後、外がやたらうるさい、銃声も聞こえる

内乱か?と思い痛む体を動かして外に出る。

少し歩いたところ、コロニーの中央あたりか

痩せた女性が血を流して倒れている。

Sanfordが仕方なさげにボソッと言う。

強姦されて理性が壊れた狂人ね...こういうのがたまに来るのよね...

狂暴化した野蛮人のようだ、内乱じゃなくてよかった。


夜、食事を摂りに共同スペースに行くとエンテレケイアの新聖王のアイリーンがリラックスした様子でテレビを見ながらおつまみを食べていた。

一大派閥のリーダーがこんなところで無防備にしていて良いのだろうか?

もちろん話しかけるなんて怖すぎるので簡単な食事を部屋に持ち帰った。

お互い目が合って気まずかった。


夜飯を摂ったあと、昨日施工した部屋の電気配線やバッテリーの配線を行う電装工事を行った。

これで冷房完備の完璧な個室になった。

満足だ。

記:5503年第二節7日


個室完成のその矢先、狂暴化したウサギの群れを発見してしまった。

ウサギの丸焼きはおいしいだろうなと思い、思わずラーヴァランチャーを使った。

もちろん丸焦げになって食べられないだけではなく入植者にも怒られた。

指示された時以外使用禁止になった。

やらなきゃよかった...

記:5503年第二節8日


寝不足なのに朝方からガタガタうるさい。

どうやらクーリン達がキャラバン隊を組成しているみたいだ。

彼らは声がデカいし喋り方が特徴的なのですぐわかる。

通信機に目を通してみると既読ボックスにメッセージがあった。

神聖キツネ連合から救助要請だ。

どうやらキャラバン道中にエッチで怖いお姉さんたちに捕まったと...

明らかにエンシェントエルフだろう。

クーリンの救出にはクーリンを連れ出したらしい。

今回はコロニー内の戦力不足を懸念したのかZoeちゃんは動員されなかった。

記:5503年第二節9日


午前中はクーリン達がキャラバンのための荷物まとめを手伝った。

正午ごろ、無事にクーリン達が出発した。

午後イチ、エルフ捕虜の守護騎士、Nickieがまた暴れたみたいだ。

二日に1度のペースで暴れている。

もう既にドアが1つ破壊されて別の部屋に移動されているがその部屋で暴れだしたみたいだ。

どうやらNickieはクーリン合衆国の応戦に行った時の戦闘で多くの血縁を失ったらしく精神的にも参ってしまっているみたいだ。

精神が回復した後に勧誘をするみたいだがその前に彼女の精神や体力が持つかどうかというところ...


夜、クーリン達から悪い知らせといい知らせが入った。

自分からしたら両方とも悪い知らせだが...

1つ目はNickie関連...前哨基地にいた古代エルフは旧来の派閥でNickieの血縁がかなりいたとの事、そこまでは問題ないのだがクーリン達は血縁の救助どころではなく自分らの護身に必死になってしまい血縁をすべて殺害してしまったみたいだ。

2つ目は新たな古代エルフを捕まえた事だ(これ以上連れてこなくていいから...)

どうやら凄腕仮人の肩書き持ちのようで前哨基地内で指示役をしていた個体を捕まえたらしい。

地球でアーチェリーの選手をやっているZoeDarpoもその肩書きを持っており実際にそのRim惑星の古代エルフ派閥のリーダーであった。


...こっちに引き込むにせよただでさえ警戒心とプライドが高く勧誘難易度が非常に高い古代エルフ、その中でもとびきりプライドの高い上流階級の個体、勧誘はそう簡単ではないだろう。

既にここの島田ハウジングにはSanfordと古代エルフの分岐派閥であるエルフ神聖王国の元聖王...考え方の食い違いが発生するのではないかとEudokiaが懸念の声を上げていた。

記:5503年第二節10日


翌日朝、先行離脱してきたクーリンが例の上流階級のエルフを連れてきた。

衝撃の槍が効いているのか意識はややぼんやりしているようでまだ大人しい。

Nickieの精神状態が不安定な中同じ捕虜部屋に押し込まれた。


捕虜エルフを引き連れてきた隼人はかなり疲れた様子だった。

隼人はやや古代エルフが苦手らしい。


Atanasiaから部屋の修理の依頼をされた...

捕虜部屋の砂岩で作られたベッドは崩壊し粘板岩のドアがボッコボコに破壊されている。

どうやら早朝の時間帯にNickieが暴れたようでベッドを半壊、扉を壊されたみたいだ。Nickieは確保され別の部屋に隔離、ほかの捕虜は仮の部屋に移された。


Nickieはほんと恐ろしいパワー厨だ...Leach姉貴以上かもしれない。

記:5503年第二節11日


朝、見慣れい巨体の少女が入植していた。

彼女はエーヴ、ソルアークと呼ばれる人工種族。

人工種族の中でも攻撃力や能力が高いハイエンド種に位置する種で武器を装備できないというデメリットがあるものの強靭な体とパワーを持つ、そしてこの種族特有の器官により反物質爆発を起こすことができる。

力がものすごいのでキャラバン隊などでも重宝するという。

しかしエネルギー消費が激しく食事の量が非常に多いのだとか。

Eudokiaさんが奴隷SHOPで購入したみたいだ。


この日は特に事件などなくエーヴが入植したこと以外は平和であった。

記:5503年第二節12日


朝、起きると例の女騎士、Nickieが捕虜部屋から解放されていた。

どうやら島田ハウジングに入植するという方向で話が固まってしまったみたいだ。

彼女の精神状態は大丈夫なのだろうか...心配だ。

Nickieは別の捕虜部屋にいるMayaの世話をしていた。

どうやらお互い上層部同士で仲が良いのか...世間話なのか作戦会議なのかよくわからない会話をしている。


ところで捕虜部屋にいた銀髪のエルフがいなくなった気がするのは気のせいだろうか...


午後イチ、掃除の為にもてなし部屋に行くとクーリンの勇人が傷だらけの流血した状態で療養用のベッドに寝ていた。意識がないようだった...


後になって現場監督から聞いたが勇人が精神崩壊して捕虜に脱走をほのめかすような事を言っていた事をZoeちゃんが聞いてそれを止める為に暇そうにしていたソルアークの攻撃力を試す実験台にしたんだと...

夜、たまたまエーヴに会って勇人の件を聞くとあれでもかなり慎重にかつ力を入れないように攻撃したとのこと、命令されても入植者には手をあげたくないと本人は今日やったことをかなり後悔しているみたいだ。


怪我の度合いが半端じゃなかったんですけどそれで手加減したんですかねぇ...


やはり人間離れしている、それが人工種族だ。

記:5503年第二節13日


冷蔵庫の冷却能力が不足してきたのか冷蔵庫から野菜が腐敗するにおいが充満する。とても気分が悪い。

島田部長達が平和そうに岩の切り崩しをしている。

僕らはそれを石切り室に運ぶ、石切り室でブロック製造機ちゃんがブロックに整形するのでそれを建築現場に持っていく。

島田部長は元奴隷組にここでの暮らしはどうかと聞いていた。

彼女らの返答は前よりかは少し良くなったと少々不服そうな返答だった。


第二節は特に気温が高いので外での作業は非常に疲れる。

記:5503年第二節14日


外郭でトウモロコシの収穫をしていた最中に緊急招集だ。

どうやらコロニーの中に直接ポッドを落とす奇怪な襲撃が発生したみたいだ。

着弾位置は自分のほぼ前という最悪の場所。

見つかると攻撃されるのでまずは逃げることにした。

敵は笑顔のUNEIという謎の組織。話は通じそうな連中なので無力化はできそうだが...

少々被弾したが岩の影に隠れることができた。

原型種に指示はしたので敵が近づくことはないだろう。

フェンス内は銃撃戦になっている。

原型種はフェンス内に入り敵を攻撃しているみたいだ。

島田ハウジング内が気になるが今は身を潜める事、身を守る事に必死だ。


午後、被弾したところからじわじわ出血している事、痛みで動けなりそうだ。

後からくる痛みは辛いものだ。

応急処置をしてもらいにAthanasiaのところに行った。

思ったよりも被弾していたようだ。


治療中、北側から何かが降ってきたような音が聞こえた。

館内の放送が流れる。

”北側遺跡付近にメカノイドクラスターや、接近し過ぎんように気ぃ付けてや、メカノイドは絶対に刺激するんやないど...”

連戦は避けられたが厄介なモノが降ってきたものだ。


しばらくすると外からヤバそうな音が聞こえてくる。

連続する爆発音、おそらくZoeちゃんのアダマヘレヴのビームだろう。

しかし...いつもだと数発で止まるはずが十発以上撃っているだろうか...


夜、ボロボロになったZoeちゃんが療養部屋に入ってきた。

かなり被弾していたようで少々しょげている。

何があったのか聞き出すとあまり言いたくなさそうな感じで話す。

"バリアが多すぎて攻撃が通らない上に数が多すぎるんだよぉ..."

メカノイドクラスターの規模が大きくなり過ぎてもう手に負えないようだ...


コロニーが急激に大きくなったこの節、

勿論規模が大きくなれば宙族や蛮族、メカノイドも目をつけはじめた。

今後もコロニー内ドンピシャでポッドを落とすなど、襲撃の種類や規模の大きさも大きくなるだろう。その為の対策はできているのだろうか...

Zoeちゃんだけに頼りきりではいずれ捌ききれなくなる日も遠くはないのかもしれない...正直不安だ。

記:5503年第二節15日


























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にしやまのRim生活記 にしやま @Nishiyama5610

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