疎外感を感じて、オタク知識もあったがために、追放にびくつく主人公が馴染んでいく話。先生も含めてクラス全員が理想のムーブを外さない村社会の良い点だけ掬ったような仲間たち。試行錯誤していく様子も、各々の個性も心理描写も丁寧に拾い、拾うことに便利な主人公のジョブがよく考えられている。
惜しむらくは、心理描写、環境の考察にページを割くことが、話の進みを激遅にしていて、イベントも変化もある割に、堅実過ぎてカタルシスが薄く感じられた点。レベルも熟練度もある世界で、リアリティのある歩みをするとこうなるんだろうな。
しかし堅実な描写がこんなにも長編で存在するだけでも貴重である。埋もれるには惜しい。