第414話 沙汰を言い渡そう
「大身貴族様のお戯れで、こういうことはありがちなんですよ」
土埃に塗れたミレク隊長が、疲れたような苦笑すら浮かべて王国のノリをぶっちゃけた。
すでにヤルパーン隊全員の怪我は治療され、彼のうしろに整列している。
いつもそうしていれば軍の部隊っぽいのにな。
こちらには【聖術】使いが四人いるわけだが、治療を担当したのは【聖盾師】の
男女がどうのこうのではなく、聖女で【聖導師】な
まさか自分たちが治してもらえると思っていなかったのか、驚いていたのが印象的だった。
貴族の遊び相手をさせられたなんて言ってるけど、どんな扱いをされたのやらだ。
ちなみに一番重傷だったのはガラリエさん。
「大抵は俺たちが適当に痛い思いをして相手を立てるものですが、この条件も異常なら、本気でブチのめされたのも初めてですなあ」
その点については心底感服したのか、ミレクの表情はいっそ晴れやかだ。
「あなた方こそ、よくぞ真剣に立ち向かいましたね」
「そういう空気でしたからな」
ガラリエさんこそ感心したような言い方になっているせいか、ミレクたちはどこか安心した様子にすらなっている。
私闘を吹っかけられたとはいえ、ガラリエさんという男爵に怪我を負わせたのだ。そちらの方がミレク一党からしてみれば勝ち負けよりも重要な心配事だったのかもしれない。
あんな体当たり戦法を繰り返せば、相手だってバカばかりではない。ある程度は対応できるようになる。
盾を叩きつけたタイミングならば、どうしたってそこで一旦停止することになわけで、そこを横合いから殴られたガラリエさんは攻撃を受けながら【風術】を使って距離を取るという戦法を使った。
それでも途中で剣を持つことができなくなり、ムリをしたのか右足も動きが悪くなっていたくらいで、本当にギリギリの勝負だったんだと思う。
そんなガラリエさんは人壁を作った俺たちの背後で上杉さんから万全の治療を受けて、今は元気にヤルパーン隊と対峙している。
貴族のお戯れで痛めつけられた、か。
光景が目に浮かぶようだよ。俺たちも二度ほど経験したことがある。
だからといってコイツらに同情心は湧かないけれど、ひとつ褒めてあげたいのは、ガラリエさんの覇気を受けて、それでも全力で対応したところだろう。
そこらの貴族の憂さ晴らしならば、立ち向かうのではなくそこそこで受ければいいだけのことだ。
そうしないで真っ向からだったってことは、ガラリエさんの望みを理解していたんだろう。さっきの言葉通りで、そういう嗅覚は持ち合わせているということか。
もしもなあなあで対応していたら、本気でブチ殺されていたかもしれないから、結局はガチで戦わざるを得なかったのだろうけど。
「さて、これでこの場は収めてくれるんでしょうかね、男爵閣下」
悪役がブチのめされての漂白パターンは、チンピラ若造騎士のハウーズ、『黄石』団長のヴァフターが挙がるわけだが、さて今回はどうなるのだろう。
証拠はないけど相手は軍人の立場を使った横領の常習犯っぽい。
この場では反省して二度と悪さをしませんくらいはいくらでも言うだろう。けれども俺たちがこの場を離れるのは向こうだってわかっているのだから、このあとなんてなにをするかはわかったものではない。
そもそも今回のシバキは男爵が二人もいる状態で、ヤルパーン隊の面々が不敬を働いたとガラリエさんが判断した結果であって、横領の件とはちょっと違っているのが難しい。
没落貴族の令嬢と子供ばかりの勇者と侮り、線引きをミスって痛い目にあったのだ。これに懲りた彼らが完全に更生とまではいかなくても、せめて手控えてくれるといいのだけれど。
というか、これ以上は関わっている時間が惜しいんだよな。
ありがちな世直し旅ではないが、痛めつけて、颯爽と立ち去るパターンで幕引きではダメだろうか。
「わたしは、王都に新設される王室直轄迷宮特務戦隊『緑風』の隊長に着任します。加えて勇者の旅を見届ける者として、ふさわしい裁量も」
だけどガラリエさんは、これで終わりにするつもりはなさそうだった。
ガラリエさんは男爵になってはいるが、『緑風』の隊長……、ここはカッコよく戦隊長と呼ぼうか、それにはまだ就任していない。書類上ではという意味であり、戴冠式でお披露目をした以上、確定事項ではあるのだけど。
だからといって王城の面々がガラリエさんやヘピーニム隊の帰りを黙って待つわけもなく、たぶん今頃はベスティさんが正式な副隊長になって、術師たちのレベリングを始めているはずだ。ヒルロッドさんとヴァフターたちが頑張っているだろう。
戦隊長より先に副隊長が着任というのも、物語的にはアリだな。隊長は一体誰なんだ、みたいなの。
普通にネタバレ終了しているからアレだけど。
ついでに勇者の引率者権限による裁量というのは半分本当で、そちらについて本領が発揮されるのはフェンタ領でになるだろう。
今回のコレは、完全にイレギュラーだからなあ。
「王室、直轄……。で、俺たちはどうなるんでしょうかね」
そう、ミレクたちヤルパーン隊にとって、ガラリエさんの宣言は、これに懲りたら二度とはするな、なんていう判決とはかけ離れたものに聞こえただろう。
ついさっきまでのやり切ったムードが吹き飛んで、挙動が怪しくなった連中が顔色を悪くしている。
再確認になるが、彼らの命令系統は東方軍団長と大隊長が上位となる。政治的にザルカット伯爵あたりが横槍を入れまくりだろうけど、それはどうでもいいか。
けれどだ、そこに割り込むことができる存在がある。割り込むどころか頭越しが可能な人が。
リーサリット女王陛下。ついでにゲイヘン軍務卿代理あたりでもイケそうな気もするが、それはさておき、ガラリエさんは王室直轄という単語を持ち出した。これは重い。
ガラリエさんは今、女王様にチクってやろうか? と言ったも同然なのだ。
この国の王族が貴族たちに舐められまくっているとはいえ、権威は権威。
こんな末端の首を切ることで女王様の歓心を買えるならば、東方軍団長もザルカット伯爵も喜んでやるだろう。
緊迫した状況に、ガラリエさんの目指す落としどころがどのあたりなのか、皆が固唾をのんで見守るしかない。
一部クラスメイトの中に状況がわかっていないのも混じっているが、それはそれでキャラ立てということで。
「あなたは命令以外で人の命を奪ったことはありますか?」
「直接はありませんよ。軍が『賊』と指定したヤツを斬ったことはありますが」
ガラリエさんの問いかけに、ミレクは慎重に言葉を選んでいるように思える。たぶん、嘘は言っていないんだろうな。
東部で戦争なんて三十年前のペルメールの乱が最後のはずだ。
見た目が四十ちょっとくらいのミレクにしても、二十代から三十代が多いヤルパーン隊にしても、戦争に参加したことはないのだろう。だから賊を退治したことがあると言った。
ご丁寧に『賊と指定』とまで露悪的に表現したのは、責任の分散でも図ったつもりだろうか。
俺たちが昨日出会った村人たちは、こちらの対応次第でまさに『賊』扱いになっていたのだ。
法律で賊になる人たちに食料を施して、未遂の軍人をこうして成敗しているというあたり、いかにもな展開ではあるよな。
実に物語をしている。正義のありかはどこにあるってヤツだ。
「……では、間接的には」
「さっきのやり取りの通りです。村のひとつくらいは潰したことがあるかもしれませんな」
恫喝を含めた支援物資の横流し。
通常ならば、軍は遠隔の村から麦などの収穫物を集めるという、一方通行な輸送に携わっているはずだ。
村々が外部から必要とするものについては行商人が対応する。
それでもなにかしらの災害とかで、都市からの持ち出しなんていうケースもあって当然だろう。そのための備蓄なのだから。
そういう村々のインプットとアウトプットにおいて、たぶんミレクは半ば常習的に中抜きをやっていた。それが当たり前の権利とでもいうように。
どうせ身内の利益配分だって調整して、気付けば全員が共犯者ってところだろうな。
この国は上から下までこんなのばっかりだ。
この世界の流通事情を考えれば、どこかの村で災害が発生したからといって、たとえ領主が善人だったとしても、援助までのタイムラグは酷いことになる。情報が届き、対応を検討し、実際の行動までにどれくらいの時間が必要なのか。今回の旅で、俺たちは僻地の道路事情だって見てきたのだ。
結果として支援が遅れて村がひとつ消滅したとして、それで領主が罪の意識を持ったとしても、それに対する罰は必要ないだろう。
だけどコイツら、ミレクたちヤルパーン隊のしたことは罪になると俺は思う。
「わたしは今回の輸送任務におけるすべてを、陛下に報告する義務を負っています」
「そう……、ですか」
ガラリエさんの冷徹な言葉に、ミレクは諦めの空気を身に纏い俯いた。
ヤルパーン隊の面々は腰を浮かべて逃げ出したそうな素振りだが、こっちは三倍近い人数だ。加えてさっきのガラリエさんの激闘を体験してしまった以上、動くに動けないだろう。
とはいえだ、俺たちの知るガラリエさんが、じゃあお前ら死罪な、などと言うはずがない。
「この地で王のごとく振る舞っていたザルカット伯は、女王陛下に降りました。完全にです」
まずは話を聞けと、諭すかのようにガラリエさんは王国の変化を告げていく。
そこにある表情からは、彼女が口にする全てが真実であると思わせるような冷徹さを感じる。
事情を全部知っている俺たちまでもが身を引き締められる思いだ。
「ご存じでしょうが、我がフェンタ子爵家は元々からの陛下直参。さらには西のイトル領を預かるイトル騎士団長閣下は、総長代理となり伯爵に叙されました」
「なっ!?」
中央の最新情勢を聞かされたミレクは驚きに俯かせていた顔を上げた。
ここザルカットを中心に考えた場合、東にはガラリエさんの実家であるフェンタ領があり、西はキャルシヤさんのイトル領という位置関係になる。他にも子爵やら男爵やらがいるが、この三家が女王様に従うとなると、東の主要産業ともいうべきペルメッダへの主街道における経済活動全てが手に入る形になるのだ。
アウローニヤからはワインやビール、麦、紙、その他もろもろが東に送られ、ペルメッダからは銅を主体にした交易が盛んである。そこから得られるのものは直接的な輸出入だけの利益に留まらない。
通行する商人たちの支払う関税、通行税。滞在する街で落とす金。この地で仕入れ、東西に運ぶ商品など、全てが経済を回すのだ。
これまで上はザルカット伯爵のような大貴族から、下はそれこそミレクのように小銭を稼ぐ者まで、色とりどりの連中がソレに
「女王陛下はすでに中央を掌握し終えています。ザルカット伯が降ったのも、そんな情勢を見極めてのこと。まもなく東方軍には綱紀粛正がなされるでしょう」
さっきまでの比喩としての死刑宣告ではない。もしかしたらのお目こぼしを期待していたヤルパーン隊の面々は、完全に崩れ落ちている。
これってざまぁになるんだろうか。勇者としての俺たちは、この場でなにもしていないのだけど。
ガラリエ様を主人公に据えた世直し物語のラスト五分ってところかな。
女王様による中央の完全掌握というのはちょっと盛っているが、現状それくらいは誤差だろう。
「ですが、女王陛下は人を生かす、いえ活かす方でもあります」
本当にマズい部分は果断に切除するけれど、ガラリエさんの言うとおり、女王様はギリギリまで人を活用するのをモットーとしている。
そこには当たり前のように飴と鞭が飛び交うわけだけど。
つまりだ、目の前のミレク一味は、ハシュテルのように使い潰されるか、それともヴァフターのように浮かぶ目を残しているかのボーダーラインにいる。
これまでの悪行に目をつむってもらえることはないだろう。だが、ここからの働き次第ではトントンまでは持ち込める可能性が残されているのだ。
「わたしたちが確認したあなた方の罪状は、物資の横流し教唆と、自供による過去のものだけです。部隊名の詐称を含むわたしへの不敬と、こちらは許しがたいですが、勇者への侮辱については、先ほどの懲罰にて贖ったものとします」
「……はっ、ははぁっ!」
一拍の間をおいてガラリエさんの言っていることを理解したヤルパーン隊一同は、一斉に崩れていた姿勢を整え、両膝を突いた形で頭を下げた。時代劇だなあ。
「本件について東方軍本部への報告は行いますが、わたしの名と肩書を持って、軍団長には一時的な処分停止を求めておきましょう。遠からず女王陛下をはじめ、法務卿、軍務卿代理連名の下、正式な沙汰が下されます。それまでに離散、脱走などを謀った場合、あなたたちは国家の敵と見做されることになるでしょう。無論、このような不祥事も、今後一切許しません。これを最後の機会と捉えてください」
凄まじい長台詞だけど、ガラリエさん、すごいな。伊達に紋章官の資格を持っているわけではない。
周りのクラスメイトやヘピーニム隊の人たちも感心しきりといったムードだ。とくに
こういうセリフをスラスラ言えているのが羨ましいのかもしれないけれど、先生は先生で魂を揺さぶるタイプの言葉を使うのが上手いって、自覚しているのだろうか。
ところでガラリエさん、女王様は置いておいて、法務卿とかゲイヘン軍務卿代理とかの名前を勝手に使って大丈夫なんだろうか。まあ、そのあたりは女王様というか、アヴェステラさんがなんとかしてしまうんだろうな。
こんなの女王様が出張る案件でもないだろうし。
◇◇◇
「お時間を取らせて申し訳ありませんでした」
「いえ、それはいいんですけど」
助かったのか罪人になったのか、理解が及びきっていないミレクたちヤルパーン隊がフラフラと立ち去って行くのを見届けた俺たちは移動を再開していた。
ガラリエさんが申し訳なさそうにしているけれど、返事をする委員長はどこか引け腰になっている。
迫力あったもんなあ、ガラリエさん。
「勇者のみなさんには物足りない結果になってしまったかもしれませんが、今後の王国を思えば」
「ああしてヤルパーン隊の人たちを見せしめに使って、女王陛下の本気を見せつけた、ですか。ついでにフェンタを舐めるなとも」
「さすがはアイシロさんですね。概ねそのとおりです」
ビビっていても、そのあたりはさすが委員長。
なるほど、そういう意図があったからこそ、あえてガラリエさんは単独で立ち向かったというわけか。
ガラリエさんとしてはミレクたちに厳罰を下さなかったことに引け目を感じているのかもしれないが、俺たちだってあんな子悪党に死ねとまでは思わない。
その代わりに、これまで中抜きした以上の、最低でも倍くらいの物資を地方に届けてもらいたい所存だ。
「けど大丈夫なんですか? あの人たち消されたりなんかは」
続けての質問は、主街道に入ったお陰で砂係を外れることになった綿原さんからだった。もちろん傍には白いサメが付き従っている。
気付いていても知らないふりをしたくなるような、この手の物騒なコトを聞いてしまえるのが彼女の肝っ玉だな。
「報告自体は王都への帰りがけに、わたしとシャルフォさんが自身で持ち込んで直接釘を刺しておきますので」
「ちゃんとしてあげてくださいね」
女王様の威を存分に借るガラリエさんが直接申し入れるなら、その点は安心か。
綿原さんの言う『ちゃんと』というのがミレクたちに向けられているのか、それとも東方軍団長なのかが曖昧なのがちょっと怖い。
ちなみにガラリエさんとシャルフォさんは、すでにお互いをファーストネームで呼び合う仲になっている。
歳こそシャルフォさんの方が十くらい上だけど、なにしろ『緑風』の戦隊長とアタッカー統括の間柄になる二人だ。仲良くしてくれると俺たちとしても嬉しい。
「ですがみなさん、ご自身のことになると気付かないものなのですね」
「ガラリエさんが僕たちのために怒ってくれたのは、嬉しいと思っています」
突如表情をイタズラっぽくしたガラリエさんに、委員長は卒なく返す。
「とんでもありません。あの程度の相手に、勇者の力などを振るうのはもったいないですから」
長身で金髪碧眼なお姉さんは、どこかの四天王一人目みたいなコトを言いながらこちらに笑いかけてきた。
普段ならお気に入りな野球少年の
もしかしたらだけど、フェンタ領が近づき、リアル弟たちに気持ちが向いているのかもな。
成敗ムーブを終えた俺たちは、いよいよガラリエさんの故郷、フェンタ子爵領へ入ろうとしている。
◇◇◇
「標高が高いせいかしら、ちょっと気温が低い気がするわね」
「ずっと登り道だもんな。路面がしっかりしてるのは助かるよ。ただ──」
「道幅がもうちょっと欲しいところね」
相変わらず最後尾の荷車の上に立っている俺に向かって、斜め下から綿原さんが声を掛けてきた。
四台になった上に食料と水を消費した荷車は、少しずつ軽くなっているものの、フェンタ領に向かう街道は緩い上り坂が続いている。
平地じゃないからなのか、もしかしたら土の硬さのせいかもしれないけれど、このあたりの道幅は一定していない。基本的には大型な俺たちの荷車がすれ違えるくらいの広さは確保されているのだけど、ところどころで道幅が狭まっているのだ。
ついさっきもペルメッダからやって来たのだろう隊商とすれ違ったのだけど、あちらを一時停止させるハメになってしまった。
王国の旗を持っているこちらの方が偉いのは重々分かっているつもりでも、無条件で相手に配慮させるというのは高校生の俺たちにとっては恐縮してしまうものなのだ。
しかもすれ違う時にはこちらをガン見されるわけで。
それもそうだろう。いくらペルメッダでは髪を黒く染めるのが流行っているとはいえ、俺たちみたいな若造集団が近衛とわかる旗を掲げているのだから、そりゃあ二度見だってする。俺ならするよ。
「できれば陽がある内に到着したいんだけど」
「そうね。ここでキャンプは面倒そうだし。けれど夜の坂道を進むっていうのも」
俺のボヤキにも綿原さんは律儀に答えてくれる。
繰り返すが、俺は荷車の乗客で歩いていないにもかかわらずだ。すごく申し訳ない。
つづら折りとまではいかなくても、高さを稼ぐためかカーブが多い道な上に、どうやら地盤が固くなっているようで、周囲は林なのに植生がちょっと違ってきているような気がする。
決して登山というわけではない。丘陵地帯をゆっくり登っていくイメージかな。
これまでの旅で、ザルカット領を北に迂回した時ですら王都あたりとの気候の差を感じることはほとんどなかったけれど、ここにきて空気が変わったような気がする。雰囲気ではなく、息をするための気体そのものが。
「もうすぐです。あの丘を越えれば、見えてきます」
五十メートルくらいに縮んだ隊列の前の方から響いてきたのはガラリエさんの声だった。
やはり故郷は嬉しいのだろう。さっきまでのバトルとお白洲が冗談だったかのように声が軽く、明るい。
「嬉しそうだな、ガラリエさん」
「故郷、だものね」
あんな声を聞かされてしまえばこっちも嬉しくなってしまうというものだ。それと同時に郷愁という単語が頭に浮かぶ。
ガラリエさんは帰ってきた。ならば俺たちも帰ろうじゃないか。帰り道を探し続けて、そして帰る。必ず。
だからこそ、俺と綿原さんはお互いを励まし合うように笑い合っていた。
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