第413話 風を纏った騎士が跳ぶ
「ガラリエさん」
「申し訳ありません、タキザワ先生。これはわたしのワガママで、みなさんとは無関係ですので」
もしかしたらガラリエさんが
あのままミレク隊長たちヤルパーン隊を見過ごせば、いちおうは穏便にコトは済ませられたのだ。
あちらに大層不満は残ったかもしれないが、こっちには男爵が二人いて、さらには勇者のてんこ盛り。東方軍の下っ端としては、俺たちにつっかかり続けるのはマズいくらいはわかっているのだろう。権威で相手に妥協させるのは好みではないが、それも状況次第だからな。
ミレクという人はそういう空気を読むのには長けたおっさんだと思うし、事実そうやって行動をしている。損切りっていうのだっけ、とっくにそういう判断をしていたのだろう。
ひとつ計算外があったとすれば、ガラリエさんのスイッチを押していたことに気付けなかったことか。
俺たちですら気付いてなかったくらいだし。
「許しがたいのです。陛下が戴冠なされ、国の在り様が変わっていくのを感じてなお、最後のあがきのように小さな私欲を満たそうとする姿そのものが。あまつさえ、そんな小物が勇者を蔑み、フェンタの名を出し、恫喝とした」
細かい怒りが集約して青白い炎を生み出したかのように語るガラリエさんを止められる者はいない。
ああ、ガラリエさんはハッキリと怒っているのだ。
「それが同郷、東部の人間などとは」
ゆったりと前に進むガラリエさんは、言っているセリフの過激さとは違い、やたらと自然体で歩いている。キマった時の
「あの村を見てしまったからかもしれません。あなた方は北の村々への援助を妨害しようとしていた。わたしは……、王国男爵ガラリエ・ショウ・フェンタは、あの村人たちに代わり、痛みをあなた方に与えましょう」
ガラリエさんの中にある雑多な怒りは、俺たちにも共感するものがある。
勇者の価値や立場はさておき、やはり今回の旅で見てきた現実は大きい。廃墟と化していていた村。食料を求めて無謀な行動を起こした村。俺たちからしてみれば、そこに送る食料を横領しようとした目の前の連中は、明確に悪だ。
「なにを遠慮しているのですか。剣を取ってください。構えるのです。これでもわたしは、焦れているのですが」
「構えろ! 相手は本気だ!」
ミレク隊長が叫び、彼ら十三人はガラリエさんを取り囲むように動き始めた。
「ちくしょうめ。しくじった──」
小さく呟いたミレクは、続く言葉を飲み込み、いちおうの態勢を整えていく。なにを言いたいんだ?
「信じてもよろしいのですか?」
先生に比べて格は落ちるものの、それでもガラリエさんの行動を諫める立場にいるシャルフォさんも困った声になっている。
近い将来どころか、この旅が終わればすぐにでも自分の上司だ。シャルフォさんとしても苦しいところだろう。
「保証はありません。ですがわたしは、力を見せつける必要があると考えています」
「できるのですね?」
「あとは任せます」
心配をしているシャルフォさんにとてつもなく無責任な言葉を残したガラリエさんは、動揺を隠せないヤルパーン隊に対峙した。
「わたしはあなたたちを斬りません。ただ、捻じ曲がった性根を叩きましょう」
カッコいいことを言っているガラリエさんは、騎士スタイルを貫くように大盾を構え、右手には鞘を付けたままの片手剣を握りしめている。
「任せましょう。ガラリエさんには覚悟があります」
先生がそう言うのならば、俺たちに否は無い。
ゴリ押しではあったものの、輸送部隊を逃がすことには成功した。まさかここからミレクたちも、追いかけるなんていうダサい真似はしないだろう。
本当ならばここで俺たちが立ち去って終わりだ。
だけどそうした場合、この一行の心の中に、暗いものが残ってしまうだろう。
本人にその気があるのかは不明だけど、ガラリエさんはあえて不利な条件に立ち向かうことで、俺たちの旅の最後に少しでもマシなものを見せようとしてくれているのかもしれない。
とはいえ、九割九分はガラリエさん本人の怒りだろうけれど。
「ひとりひとりで挑もうとはせず、集団で取り囲む。実に兵士らしいですね。それを無意味にしてみせましょう」
悠然とガラリエさんは自らを取り囲む集団の中央に進み出た。
◇◇◇
「まずは言っておきましょう。わたしは十一階位の【翔騎士】です」
「十一……」
ガラリエさんの語りに反応するミレクだが、一番に気にしたのは十一という階位だ。
十一階位は迷宮四層に挑み、魔獣を倒した証である。そこに反応する気持ちはわからなくもない。
東方には迷宮が無いのだ。一般兵であるミレクたちヤルパーン隊からしてみれば、羨望ですらあるのかも。
……女王様まで十一階位だって聞いたらどんな反応するんだろうな。
「それは素晴らしいですな。こちらは全員が七階位ばかりですよ」
全然褒めていない声色で、ミレクが自分たちの階位をバラす。
本当か嘘かはわからないけれど、東方軍の実情を考えればそんなものだろう。
むしろ七階位を揃えているだけマシなくらいかもしれない。
「……多分本当でしょうね」
「そう思います」
先生と中宮さんがほとんど同じタイミングで相手が嘘を吐いていないと断定してみせた。
どうしてわかるんだろう。
「どうしてわかるんです?」
事態を警戒しているのか、一匹だけ白サメを浮かばせた綿原さんが、まさに俺と心を同一として、先生に質問してくれた。ナイスだぞ、綿原さん。
「細かい所作よ。十階位のヘピーニム隊とは明らかに違う。劣っているというわけではなくって、動かし方がね。ここ数日ヘピーニム隊の人たちと一緒になって荷運びとかをしていて、やっとわかりかけてきたってところ。しかも【視覚強化】を使ってなんとか、ね」
返答は先生ではなく、中宮さんからだった。
「自分が十一階位なったからこそ、やっと見えてきた。だからちょっと上は想像できるけど、もっと上はムリ。それにほら、王城を出てシシルノさんがいなくなったから……、少しでもって考えたのよ」
綿原さんを相手に解説をできていることにちょっと嬉しそうなのが微笑ましいな。そのせいかセリフが長くなってるし。
それに気付いている綿原さんは、興味深そうに話を聞いている。綿原さんも中宮さんが一生懸命に説明してくれるのが嬉しいのかもしれないな。
そんな女子二人の世界は置いておくとして、中宮さんの言いたいことはわかる。
力持ちと貧弱な人間の動き方に違いが現れるのは当たり前の話だ。ましてやこの世界は階位があって、外魔力という不可視のパワードスーツを身に纏う人間がいる。
中宮さんや先生くらいの体の動かし方への知識と注意力さえあれば、判別もできるのかも。
たとえばスプリンターモードになった
でも達人二人は、まだ戦いが始まってもいないのに、ちょっとした動きだけで判断をしてみせた。ヘピーニム隊を引き合いに出すということは、シシルノさんの【魔力視】と同じで相対的な判断なんだろう。
「
表情を切り替え、ちょっとだけジトっとした目になった綿原さんにそう言われてしまえば、俺も白状するしかないな。
やっぱりバレてたか。
「中宮さん、今度コツを教えてもらっても……」
「最初は手首と足首ね。剣や盾みたいに重たいモノを持った時に特徴が出るわ。戦いになれば、もっとハッキリ」
今度と俺は言ったはずだけど、中宮さんは即答してくれた。
見た目からの階位想定なんて、俺の【観察】と相性は抜群だ。俺が覚えなくてどうする。
まずは手首と足首か。これから注目してみよう。
「だけど八津くんだってわかってるでしょうけど、ほかの誰かと比較するだけだから、正確な階位なんて言い当てられないわよ? 前衛と後衛、技能ひとつでひっくり返る。技でも誤魔化せるんじゃないかしら」
「階位を偽る。面白いですね、中宮さん」
「はい。研究してみたいです」
中宮さんから念押しされたわけだが、何故かそこから先生と一緒になって別方向に行ってしまった。
階位偽装とか、チート系なテクニックを模索する武術家な二人はさておき、先生が追加情報を出してこないということは、中宮さんの説明に過不足は無かったのだろう。
「それよりガラリエさんよ。七階位が十三人。わたしなら……、悔しいけれど絶対に勝てるとは言えない」
中宮さんが軽く顎で指し示した先にある光景は、怖い。
こうして会話をしているあいだにもガラリエさん包囲網は完成しようとしていた。
相手は十三人で、それが二重の輪を作るように一人の人間を取り囲んでいる。地球にいた頃にあんな状況に陥っていたら、俺は泣いて謝ったことだろう。
十一階位という強さを手に入れても同じだ。
中宮さんですらあの状況では難しいと言っているくらいだ。俺ならまさに袋叩きだろう。一対一を十三連続なら中宮さんや先生、ついでもミアあたりなら勝ちきるのだろうけど。
本来ならば数の差は絶対だ。
いつだったかヒルロッドさんが言っていた、十六階位の近衛騎士総長ですら十三階位で囲めば倒せるという言葉。
七階位と十一階位の対峙ではあるが、それでも取り囲んでしまえば、ついでに少しの犠牲を覚悟すれば……。
総長が先生と中宮さん、ミアをボコったが、アレは十階位以上の差があったからこそのイジメだ。人数が少ない方からのイジメとか、どうなんだろうな。
「二重にしたのは隙間を抜けられるのと、跳躍への対策かしら」
「考えてはいるのでしょうね。あれ以上の数で一重の輪を作っても一度の攻撃密度が薄くなるだけですし」
解説の中宮さんに先生が相槌を入れていく。
一部わからない表現も混じているけど、武術素人なこちらとしては助かるな。
「わたしなら負傷覚悟でカウンター重視でしょうか」
「わたしだったら……、『背後打ち』で威嚇してから崩します。早い段階で五人くらい削れば、なんとか」
ただし言っている内容は物騒だ。中宮さん、『背後打ち』ってなんなんだ、それ。
「けれどガラリエさんなら」
キメセリフを持っていったのは綿原さんだった。ズルいな。ソレは俺が言いたかったのに。
あの場にいるのは元々女性王族警護を専門としている『紅天』所属のガラリエさんだ。
最近はもっぱら迷宮での魔獣退治に付き合わせていたが、本職は対人戦。そんなガラリエさんが離宮に配置されていたのだって、当初は勇者を警護する、もしくはイザとなったら取り押さえるためだったと聞いている。
そもそもからして、多人数を相手にすることに慣れているんだ。
「遠巻きにしているようではダメですね。距離を置きすぎです」
「ガラリエさんを相手に中途半端に囲むだなんて。あれなら乱戦の方がよっぽど」
先生と中宮さんという、とても頼もしい解説役の声を聞きながら、俺はガラリエさんの立ち振る舞いを見守る。
本当ならこの事態でもなお周辺警戒を怠るべきではないのだろうけど、それどころではない。
四台の荷車の傍にはそれぞれ人が付いてはいるが、みんなの視線はガラリエさんに集中している。
いちおう忍者な
この旅を経験したことで、誰かが言わなくたってそれくらいをやるようになっているのがこの一団だからな。
「そちらはそういう陣でいいのですね?」
「女男爵様には申し訳ないですが、そちらから売ってきた喧嘩です」
「ええ、そのとおりです。抜かないのですか?」
「大怪我をさせて王城の勘気を買うつもりはありませんな。ましてやそちらも抜かずなんですから」
「いちおう感謝をしておきましょう。……では」
怒りながらも真摯なガラリエさんと、嘲りたいのにどこか引け腰なミレクのやり取りでもって、戦いが始まる。
「なにぃ!?」
ミレクが叫んだ時には、金属音と共に敵がひとり吹き飛ばされていた。
「『風盾衝撃』」
低い姿勢で左手の大盾を突き出したガラリエさんが、その場でゆっくりと姿勢を変えていく。
問題は場所だ。そこはさっきまでガラリエさんがいた輪の中央ではなく、外周の一角。そこにいた敵兵のひとりは吹っ飛ばされて地面で横になっている。
左腕が変な方向に曲がっているし、うめき声もないということは気を失っているようだ。戦線復帰はムリだろうな。
そんな位置取りだから当然両脇にも敵がいるわけだけど、彼らは唖然とした顔でガラリエさん見るばかりで、行動を起こすことができないでいる。
あの動きを知っている俺たちだからこそ見ることはできたけれど、現地のヤルパーン隊にはどう映っただろう。
ガラリエさんの使った『風盾衝撃』は、もちろん技能ではないし、防御技でもない。
盾の裏側を発動点にした【風術】を使い、その反動で敵に叩き込むという、実に物理な攻撃だ。シールドチャージとかシールドバッシュとか表現されるアレを、風で強化した突進攻撃。
考案者はガラリエさんの風弟子にしてオタクな
「魔術ってズルいわよね」
「あら、わたしなんて非力で困ってるのだけど」
「
「あっ……。や、八津くんの持ち味はもっと別のところだから。それにほら、カッコいいし……、し、指揮してるとことかっ」
騎士のパワーを風の力で底上げしているガラリエさんの戦い方を羨む中宮さんに、ちょっかいを掛けて自爆した綿原さんの図である。
顔を赤くするのはやめてくれ。俺まで赤くなっているような気がするから。
さておき、ガラリエさんはスタート地点で自分の力で踏み切り、背中側で【風術】を使って速度を上げ、最後に盾の裏側で再度【風術】を使うという手順を踏んだ。
そのあいだは、自身の足でも走っていたのに、よくも合せられるというものだ。タイミングが勝負な技だけに。
そういうところが同じ【風術】使いな【嵐剣士】の
まだまだ熟練が浅い野来当人が実現できないことであっても、経験豊富なガラリエさんの身体能力と【風術】があれば、できてしまうこともある。
オタクな野来はガラリエさんの弟子であるのだが、同時に突拍子もない、それこそアニメ的なアイデアを思いついては実現性を模索していたのだ。そのひとつこそ『風盾衝撃』。ズルいくらいカッコいいな。
とはいえこの技については離宮最終日の中宮さんとヒルロッドさんの戦いがアイデアになったそうで、ガラリエさんが練習を始めたのは旅の初日からだったりする。
道中でズドンズドンと音を立てて盾を突き出すガラリエさんの姿を見たものは多い。全員だけど。
現在十一階位のガラリエさんの持つ技能は【風術】【魔術強化】【体力向上】【身体強化】【反応向上】【頑強】【剛剣】【硬盾】【睡眠】。
ガラリエさんは十階位の段階で【睡眠】を持っていなかったから、当時の技能は八個となる。これはアウローニヤの人としては多いくらいだ。
騎士としての基本技能と【風術】と【魔術強化】の両立が持ち味な【翔騎士】であるために、ムリをしてそういう取り方になったのだとか。
なので、実は絶対だと思っていた【鋭刃】をガラリエさんは持っていない。ついでに【大剣】と【広盾】も。
風使いであるのに騎士であることも求められる彼女は、魔力の少なさで地上での長時間戦闘には向かない。近衛騎士としてはどうかと思うが、本当に守備特化な『紅天』団長のミルーマさんとは違うスタイルだな。
ヒーラーと騎士を同時にやって毎度魔力不足に困っている【聖騎士】の
【風術】を使って自分の体を跳ばそうとした場合、強い風を長時間発動させるのは魔力のムダだ。ここぞという時にピンポイントでドカンとやるのが理想的となる。
要は硬くて耐久力があるからこそ強引な【風術】に耐えられて、速くて変則的な戦い方ができる騎士、それが【翔騎士】ガラリエ・ショウ・フェンタさんなのだ。
「どうしましたか? 呆けて」
「あ、あんた……」
「行きます」
俺が【思考強化】まで使ってガラリエさん分析をしているあいだも戦闘は続く。
あんまりな現象に口をパクパクさせているミレクに対し、攻撃続行宣言を叩きつけたガラリエさんは、こんどは輪の反対側にジャンプした。
またもや【風術】を併用したのだろう、大ジャンプ。だけど大きく描いた軌道は、今度は誰にでも見切れそうなモノだ。
「なんでっ!? あぎゃっ!」
敵のひとりがこれまた愕然とし、そこに無慈悲に剣が振るわれる。これで二人。
誰もが軌道から察したように、敵の頭上を飛び越えるはずだったガラリエさんは、まったくの手前に降り立っていたのだ。
明らかに着陸位置がおかしいんだよなあ。当然これも【風術】だ。
普通の対人戦闘ならば大きな跳躍は隙になる。よくあるパターンだよな、飛んだなバカめというやつだ。そんなセオリーはガラリエさんに掛れば台無しになる。
誰だって敵が飛べば着地点を想定して対応する。彼女にそれは通じない。
ちなみに今のはピッチャー
本来の軌道から落ちるボールを自分の動きそのものに反映するとか、ガラリエさんもなかなか一年一組に染まってきたものだと、その技を披露された皆は感心したものだ。
とにかくそんな感じで、風を使ったガラリエさんの移動は、なんというか気持ち悪い動きになるんだよな。目の錯覚かと思った現象が、実はリアルで起きていましたみたいな。
そんなガラリエさんだけど、ヒルロッドさんみたいな十三階位クラスの人たちともなると、普通に反応されてしまう。ネタバレしている先生や中宮さん、ミアなんかも対応するのだけど、初見で対峙している七階位レベルの連中にはさぞや恐ろしい技の数々だろう。
「詰めろ。お互いに守り合え。隙間を縮めろ!」
「はい。それが正解です」
慌てたミレクが指示を出し、兵士たちがあたふたと動きだす。
それを見たガラリエさんはそれでいいんだと言ってのけた。笑いながらだぞ。
複数人でガラリエさんを相手にする時に、距離を置いて取り囲むのなんてのは最悪の対応に近い。あの人に勝つために必要なのは距離を詰めること。距離を置いたら速度に任せた変則攻撃が飛んできて、各個撃破される。一年一組でなら、タイプ的には超スピードアタッカーの
とるべき対応は【風術】の発動条件を出来る限り少なくして、なにが起きるのかを限定するしかないんだ。つまり近距離での乱戦となる。
ウチの場合は、そういう場面こそ先生や中宮さんの独壇場になるので、同じ物理近接職でも得意分野の差というのは、やっぱりあるものなのだ。
◇◇◇
「ふぅ、ふぅ」
「……気が済みましたか。女男爵様」
「あなたがそんな口が利けるのが気に入りませんが、いちおうは」
「それは何よりですな」
両膝に手を乗せ肩で息をするガラリエさんに、地面に横たわり肩を押さえるミレクが語り掛ける。
時間にすれば十分程度の戦いだった。
ガラリエさんの速度任せの戦いは、自分の体重を乗せた体当たりになりやすいので、一撃が重い。当たれば必殺というケースが多発するので、結果として短時間決戦となるわけだ。
野来のせいとまでは言いたくないが、シールドアタックがこういう場面で一番効果的だったので、ガラリエさんはそうしたのだろうけど、なんか闘牛みたいなイメージだったなあ。
以前のガラリエさんは、華麗に宙を舞うカッコいい系の騎士だった記憶があるのだけど。
けれどまあ、そういう理屈で短い戦闘だからこそ、ガラリエさんの魔力が間に合ったという見方もできる。
その場には十三人の東方軍兵士が崩れ落ちていて、ガラリエさんひとりが、辛うじて立っていた。
一対十三という超変則マッチは、ガラリエさんの勝利で終わったのだ。
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