第15話 いつもと違う朝

 目が覚めると、目の前に後輩がいた。


 「-------」


 どうにか声を抑えれて、後輩を起こさずに済んだようだ。

 寝起きだった頭が一瞬で冴えた感覚だ。


 後輩はスースーと寝息を静かにたてている。


 私は後輩を起こさないように布団を少し捲り、ベットから降りる。


 時計を見るとまだ六時前だった。昨日は早く寝たから、こんな時間に目が覚めてしまったのだろう。


 部屋を出て洗面所へ向かう。


 五月ではあるが、朝の廊下は少し寒い。


 腕を抱えながら洗面所に行き、水を出す。


 二度寝をしてもよかったが、後輩がすぐ隣にいるため断念した。

 顔を洗って眠気を飛ばす。その後に歯を磨き、髪を整えて、部屋に戻る。


 「おはよう、渚」


 「おはようございまふぅ。せんぱい」


 まだ寝ぼけているようで、ベットに座っているが目が開いていない。


 そういえば昨日は後輩をイジメてたんだっけ。普段私がやられてばかりで気に食わなくて、つい調子に乗って色々した気がする。


 ゆらゆらと揺れる後輩を見て、昨日のそんなことを思い出す。


 「ちょっと渚、危ないよ」


 揺れすぎて倒れそうになる後輩を支えるために手を伸ばす。

 

 うぐっ、寝ているからか重いな……。


 「はへ、へっ??」


 お、起きたかな?


 「起きた?渚」


 「先輩……。何で私まだ抱きかかえられているんですか??」


 「渚が寝ぼけて倒れそうだったから、支えてただけだよ」


 「ありがとうございます。あの、もう離していいですから」


 「そう?じゃあ」


 そういって離れる。後輩は顔を少し赤らめて、顔を洗ってきますと言って部屋から出て行った。


 「照れてる顔やっぱり可愛いな」


 ふと口からそんな言葉が漏れ出た。



 渚が顔を洗いに出ている間に、着替えを済ませてリビングに行く。

 

 「おはよう、燐。今日は早いのね」


 「おはよう母さん。昨日早くに寝てたから、多分そのせい」


 「そう、でも早起きはいいことよ。渚ちゃんは?」


 「起きてるよ、今洗面所で顔洗ってる」


 「なら、もうすぐ来るわね。早めに朝食の準備をしておいて正解だったわ」


 結構早くに起きたつもりだけど、それより早くに起きて朝食作ってるとは……。

 母さんいつ起きたんだろ。……二日酔い丈夫なのかな?


 「おはようございます」


 渚がリビングに来た、母さんがキッチンにいるのを見て


 「私、手伝います」


 と渚が言う。


 「ありがとう、じゃ、これよろしくね」


 うーん、キッチンでのやり取りに私は入れない。なのでスマホを付け、昨日来ていたメッセージに返信していく。


 「燐ー。テーブル綺麗にして」


 母さんから、指示を受け私はテーブルの上の物をどかし、テーブルを拭く。


 キッチンに行くと、渚と母さんが並んで料理をしてる昨日も少し見た、いつもと違う光景になんだか懐かしさを感じた。

 

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