初めて婦人科で内診を受けた時の痛すぎる思い出

kayako

今では当たり前に受けている診察。だけど……

 

 このエッセイをお読みいただいている皆様は、婦人科の受診経験がおありの女性も多くいらっしゃると思う。

 出産時のみならず、生理不順など色々な身体の不調でお世話になる婦人科。

 私も例外ではなく、様々な婦人科の先生に何度となくお世話になっている。



 婦人科といえば、内診。

 患者が検査台に座り、両脚を広げる。そこで医師が患者の膣に指を入れてお腹を押さえ、子宮の状態を診る……というもの。

 指だけでなく膣鏡(クスコ。診察用の金属製の器具)で中を診ることもあるし、ブラシやへらで細胞を削って細胞診をすることもあったり、超音波の器具を入れてエコー検査をすることもある。あぁ書いているだけで下腹部が痛くなってきた( ノД`)

 診察内容によっては内診をせずにすむこともあるが、私が婦人科にいくとだいたい9割以上の確率で内診となるイメージ。


 私は未だにこの内診が苦手で、どうしても尻込みしてしまうことが多い。

 今や何十回となく受けているから、痛み自体はそこまでではないものの――



 一番最初に内診を受けた時のトラウマが、蘇ってしまうのだ!!



 あれはまだ、二十歳をちょっとすぎたぐらいの頃。

 就職活動中、私は過多月経でぶっ倒れてしまった。

 生理が異常な出血だった上、期間もやたら長く周期もやたら早く、出血が終わらないうちに次の生理が来てしまうという事態が発生。

 あまりの下腹部のつらさに、母に紹介されるがままに行ったのが、近所でも評判の産婦人科だった。

 ちょっと口の悪いオジサン先生だけど、親切で腕は確かだから!という母の言葉を信じ、痛みをこらえつつその産婦人科に行った。



 それが人生で初めて受ける内診。

 そしてそれは、結構引きずる大トラウマとなった。



 ちなみに当時、私に性交経験はゼロ。

 そして、二十歳すぎても性交どころか異性とろくに交流したことさえなかった自分は、非常にコンプレックスを感じていた。

 とある少女漫画で「高校生で彼氏いるなんて当然でしょ」とヒロインが発言しているのを目撃して、えらいショックを受けたものだった……そんな時代でもある。



 そんなだから、婦人科での内診なんて初めからショックの連続だった。

 その上、出てきたのはいかにも昭和な風体のオッサン先生。

 容赦なく診察台に乗せられ、足を開かされる私。「ちょっとグリグリされて痛い」とは聞いていたけど、ここまで大きく開かされることになるとは想像もしていなかった。


 そして――

 そこから先は、ただもうひたすら痛すぎて、子供のように泣きわめいたことしか覚えていない。


 勿論、最初に「性交の経験はありません」と伝えたはずだった。

 しかしそのオッサン先生は全く容赦なかった。

 ただでさえ下腹部が痛くてたまらなかったのに、もう……という。


 痛みのあまり反射的にかなり暴れてしまい、診察は不十分なままで終了。

 その時のオッサン先生の一言が


『やることやってないから出来ないよ』


 他に何を言われたかさっぱり思い出せないが、その言葉だけは何故かはっきり覚えている。




 その後、別の大きな病院で診てもらった。

 そこで診ていただいた時も当然、性交経験はないと伝えた。

 あのオッサン先生クソ野rと同年代ぐらいの男性医師だったけど、こちらの先生はきちんと対処してくださり、肛門を経由してのエコー検査をすることに(お食事中のかたスミマセン)

 そこまで激痛を感じずにすんだ。いや勿論痛いは痛かったけど、暴れて診察不能になるレベルではなかった。


 診察の結果、かなり大きな子宮筋腫が発覚。

 子宮筋腫は今でこそ若い人も発症する病気と言われているが、当時は年配の女性特有の病気と言われていた。これもショックだった……

 入院して手術を受けて、その後も何回か内診を受けましたが、いずれも丁寧な対応。

 最初のあのオッサン先生は何だったのか。



 それ以降から今に至るまで、結構何度も色々な婦人科のお世話にはなっていますが、あのオッサン先生レベルの対応をされたことは皆無です。

 ちなみに今ちょっと調べてみたところ、オッサン先生の診療所、口コミはかなり散々でした。

 私と似たような経験をされたかたが結構多数……

 中には「口は悪いけど親切」「厳しくも人情がある」という評価もあったけども。

 今もまだ営業しているかどうかは分からない。病院ナビだと最新情報更新が5年以上前だし、ストリートビューを見たら看板なくなってたけど。


 もしかしたら、年配のかたには良い感じに映る先生だったのかも知れない。

 産科としてなら良い医者だったのかも知れない。

 だからネットがそこまで発達していなかった当時は私も、母や近所のおばさまがたの口コミをあっさり信用してしまったのかも。

 要は、経験豊富なおばさまがたならともかく、若くて性交経験のない女性が行っていい病院ではなかった。そういうことだろう。


 思えば昭和は、そういう医者が当たり前にいたんだろうなぁ……

 勿論当時は既にとっくに平成だったんですけどね!?


 あと「高校生なら彼氏いて当然でしょ」「大学生でまだ彼氏いたことない? 今まで何楽しみに生きてたのw」だった風潮も自分の恥ずかしさと痛みを助長した感もある。当時のラジオで「初体験17歳は遅いよなww」なんて言葉が聞こえてビックリした記憶もあるし(今思いだすと「19歳は遅い」だったかも知れない)

 少なくとも今はそれほど当然でもないのになぁ!! 17歳でも19歳でも滅茶苦茶早い方だろ!? そうだと言ってくれ( ノД`)



 とはいえ、内診は婦人科系の病気を見つける上では不可欠。

 私は今でも少々恐怖はあるし面倒でもありますが、毎年やっております。

 生理不順が続いてて心配だけど、性交経験がなくて内診が怖い!という場合でも、恥ずかしがらずに先生に告げましょう。殆どの病院はきちんと対処してくれるはずなので。

 もし対処してくれなかったり、ろくに話を聞いてくれなかったり等で対応が雑に思える医者であれば、内診受けずに帰るのもアリだと思います。別の病院を探しましょう。


 あと、近所のおばさまたちに評判が良く、母親からもオススメされた婦人科であっても、自分に合うとは限りません。

 今はネットという便利なものがあります。きちんと病院のホームページなどで口コミや診察内容などを確認し、引っかかる点があれば病院を変更しましょう。

 今は女医さんが診察してくれる病院も多数あります。というか自分はほぼ8割がた女医さんに診ていただいております。どの先生も丁寧で、痛みは殆どないです。

 内診を怖がらせるようなことを書いておいてなんですが、内診は身体のチェックに必要不可欠なもの。少しでも異常を感じたら積極的に診てもらうようにしましょう。


 ……もっともあのオッサン先生のような対応、今の時代絶対にないと思いたいけどな!!

 今じゃSNS炎上は当然として、ヘタすりゃ訴訟沙汰にもなりかねないし!!




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