四宮くんは愛されている

だんご

雪の寒い日

「寒いな、」

12月の雪が降っている日だった、その日に俺は浮気性のアイツに捨てられた。服はボロボロで髪もフケだらけ、やせ細っていた俺を見ていた周りの奴らの目はとても冷たかった。笑っている奴もいれば直接汚いだとか気持ち悪いなどと罵声を浴びせてくる奴もいる。そりゃあ東京なんてこんな奴しかいないだろうと思っていたら俺の前に1人の男が来た。また色々言われるのかと思い男を見上げる。その瞬間、俺は死を覚悟した。そいつの目が人を何人も殺したような目だったからだ。

「君、何故こんなところにいるんだい?」

暫く沈黙が続いた後男が口を開いた。

「お前には関係ないだろ、ほっとけよ」

あえて俺は舐められないように強気で答えた。

「こんな寒い日にここにいたら風邪をひいてしまうよ、僕の家に来なよ」

来なよと言われてはい、行きますなどと言う奴がどこにいるんだと思いながら

「行く訳ねぇだろ俺にとって、メリットがない」

まるで警戒した犬のように俺は男を睨みつける。

それを見た男は

「メリットならあるさ、僕の家に来たら食事もある、お風呂も使える、服も自由に選んでいい、これでどうだい?」

「俺がそんなことで着いていくとでも思ってんのか、」

俺がそう言うと、男は溜息をつき

「それじゃあこうしよう、俺の部下になるか

死ぬか選べ。ちなみに前者の選択肢をとったら今すぐ俺の家に行く事になる。」

俺は顔が青ざめていくのがわかった。

「え…ぁ、」

「くれぐれも間違いのない選択をしろよ?」

男はにっこりと笑った。だが、俺にはその笑顔すらも恐怖に感じてしまった。

「わかった、お前の部下になる。だから殺さないでくれ。」

それを聞いた男は

「おいおい、なんだその頼み方は?」

男は俺を冷めた目で見る。

「貴方の部下になります、だから殺さないでください…。」

「良し!それでいい。それじゃあ少し眠っててもらうよ。」

その時、俺は視界が暗くなった。



「どこだ…ここ、?」

何時間気絶していたんだろう、外を見ると月がでている。そして、俺が寝ていたベットの横に机がありその上に美味しそうなパンが置いてあった。もしかしたらなにか毒などが入っているかもしれない。そう思ったが俺は我慢できなくて食べてしまった。無我夢中で食べているとカチャリという音がした。ドアの方を見ると先程の男が俺を見ていた。どうやら鍵を開けて入ってきたようだ。食べる手を止めて男に質問した。

「なぜ俺を気絶させた?」

普通の人だったら助けてくれてありがとうとまずは礼を述べるだろう。だが、俺はあいつが信用出来なかった。

「敵が近くにいたもんでね、もしかしたら君を人質に取るかもしれないからさ」

人質?コイツは何の仕事をしているのだろう。

「貴方は何の仕事を?」

俺は思い切って聞いてみた。

それを見てアイツはクスリと笑った。

「マフィアだよ。」

俺はびっくりした顔をした。

「驚くのも無理はない。だが、君も今日

から僕達の仲間だ。」

「仲間?」

「そう、僕が頭領のマフィアのね。まさかここまで来て辞めるなんて言わないよね?」

男は俺に圧をかけた。

「そんな訳ないだろ?俺はアンタに着いていくよ」

男はニコリと微笑み

「ふふ、それなら良かったよ。さて、まずは君の名前を教えて貰えないかな?」

「俺は四宮連、貴方は?」

「僕は清水冷、僕のことはボスとでも呼んでくれて構わないよ。」

ボスはそう言うとドアを開けた。

「さ、部屋を案内するからついてきてね」

そうして俺とボスは部屋を後にした。


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