プレバト俳句(2023年12月7日放送)について

滝口アルファ

プレバト俳句(2023年12月7日放送)について

今回もプレバト俳句を楽しく拝見しました。

今回のお題は、「お弁当」。

バラエティー溢れる「お弁当」の俳句に出会えました。


さて、

今回、私が気になった俳句は、3句。

まず、子役の村山輝星(きらり)さんの俳句を見てみましょう。


席替えは窓側蜜柑お裾分け


「蜜柑」が、冬の季語です。

素直で、いい俳句です。

夏井先生も才能アリ(72点)に評価されていました。

ですので、代案として、

添削例を挙げてみます。


A 窓側に席替えお裾分け蜜柑

B 蜜柑お裾分け席替えは窓の側(そば)

C 蜜柑配る教室 席は窓の側


語順を代えてみたり、

席替えという言葉を使わなかったり、してみました。

しかし、

結局、原作がシンプルで、

いちばんいいのかもしれませんね。


次に、特待生5級の、

こがけんさんの俳句を見てみましょう。


白息(しらいき)や弁当運ぶ吊足場(つりあしば)


「息白し」が、冬の季語で、

その傍題に「白息」があります。

この俳句も完成度が高いです。

しかし、

もう少し良くなりそうなので、

添削例を挙げてみます。


A 弁当運びつつ息白し吊足場

B 吊足場弁当運ぶ息白し

C 弁当を運ぶ吊足場の白息


添削例Aでは、上5を7音にして、

ゆったりとしたリズムにしてみました。

添削例Bでは、語順を逆にして、

大きなものから小さなものへ

徐々に焦点が絞られていくようにしてみました。

添削例Cでは、下5が6音ですが、

季語の「白息」を最後に据えて、強調してみました。

原作も含めて、

どれがいちばん優れているのでしょうか?


最後に、永世名人の、

千原ジュニアさんの俳句を見てみましょう。


セット裏鯛焼を選(よ)るホシとデカ


「鯛焼(たいやき)」が、冬の季語です。

夏井先生は、この句を評価されていましたが、

中7の「鯛焼」と「選る」が気になります。

添削例を挙げてみます。


A セット裏焼芋を喰うホシとデカ

B セット裏蜜柑を食べるホシとデカ


このように、

「鯛焼」は、他のおやつ系の食べ物なら、

何でも代入可能です。

無季でいいのなら、

例えばマカロンやどら焼きでもいいわけです。

つまり、季語が「鯛焼」である必然性が

薄いと言わざるを得ないでしょう。

それに、

そもそも鯛焼は、お弁当なのでしょうか。

お題からも外れているような気がします。

さらに、「選る」というのが、

耳で聞いたときに特に場面が浮かびにくく、

ここは普通に、

「喰う、食べる」でいいのではないでしょうか。

それでは、

「鯛焼」を許容して、

別パターンの添削例を挙げてみます。


C 黒幕が鯛焼を喰うセット裏

D 鯛焼の差し入れヒールの女優さん


添削例Cでは、

登場人物を「黒幕」1人に絞ってみました。

添削例Dでは、

鯛焼を食べる前の情景を描いてみました。


なお、永世名人の藤本さんが以前詠んだ句の

「ショッカーのかたまって摂る夜食かな」と、

今回の千原ジュニアさんの俳句は、

構図がやや似ている気がするのは私だけでしょうか?


今回は以上です。











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