第5話 結託

「うん! 良い返事だ!」


ゴードは白い魔導士と行動を共にすると決めた。屈辱的であったが、彼の魅力的な……甘い提案には逆らえなかった。


「これからやることは、君と僕で各国を回ることだよ。一応転移魔法で王都の近くまでは飛べるけど、防御魔法の魔石の技術を有効に扱える団体に情報を伝えるのは、自分の力でやり遂げるしかない……王様の目の前に直接送りでもしたら牢獄行きだからね」


「つまり、俺は王都に行ってなんの協力も無く自力で情報を伝えろと?」


「そういうこと」


迅速な対応を求められるのに地道にやるしかない。非常にもどかしいが、今のところこれが一番の近道であると考える。しかし……


「白いの……お前は何もしないのか?」


「ん? 僕は他にやることがあるからね。申し訳ないけど全部そっちに任せるよ」


満面の笑みで仕事を丸投げされたゴードは、衝動的に白い魔導士の顔面を殴り飛ばしたくなるが、こらえて彼の態度をさっと流す。


「それじゃあ転移魔法で送るから、しっかり行き先を思い浮かべるんだよ」


彼がそう言うと、ゴードの足元に白い魔法陣が浮かび上がる。それは甲高い駆動音を立てて眩い光を放ち始めた。


「行くよ!」


白い魔導士は指をくるくると回し、元気よく唱えた。


「『転移』! 王都アンシャント!」

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魔石使いの過ち たつの落とし子 @hat-bou

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