第67話 エピローグ その3 とある魔王の……
カツカツカツと音を立てて着飾った少女が城を歩く。その床は大魔石で作られており、滑らかになるほど磨き上げられている。
普通の人物であればその上を歩く事は恐れ多くなりそうなほど高級感があるが、少女はそんな事も気にせず魔法の杖を床についていた。
「ウガ……ヨウコソイラッシャイマシタ……イマオアケシマス……」
サイクロプスが二人扉の前に立っており、少女に膝をついて頭を下げ、すぐに立ち上がると扉に手をかけた。
「そんなにかしこまらないでよ。お互いえらーい方の仕えている立場。むず痒いわ」
そして少女は大きな扉の前に立つと指をパチンとならすと魔力によって開けられる。
「こんなのをやってもらうのは気がひけちゃう……」
「グガ、コンナニカンタンニ……」
サイクロプスは二人がかりで開けるはずの扉を簡単に開けられて一つ目の目が丸くなる。
少女が中に入ると数人、円卓に座っている。
「はあい。こんばんわ。って集まったのはこれだけ?千里王あなたってば本当に人望ないわね。まあ8魔王の招集なんて戦線布告みたいなものだし……ってかアンタってそんなタマだっけ?」
「おのれ!わが主を!『パチン』ぐふっ!」
少女は指を鳴らすと意見してきた魔族を魔法で叩きつけ、床に這いつくばせる。
「オホー。なんだ?開戦の合図か?さっそくやるか?前の王が結んだ条約のせいで全面戦争できなくてうずうずしてるんだ!」
「ヂュフフフ……」
座っていた高貴な魔族は笑う。
「あんたらは、代理でしょ。そんな権限あるの?」
少女はその魔族ににらみつけ、指に力をこめる。
「やめてくれ!私はそんなことで呼んだのではない!」
千里王と呼ばれた魔族が声を荒げ、その場にいた者たちを納めた。
「そんな事をしてる場合ではない!ふ、不死王が殺されたのだ!」
「へえ、あの最古参の魔王の一人がねえ……何?裏切り?弱いくせに、あいつ長生きしてたから無駄に家臣だけは多かったしね。全員で再生できなくなるまで殺し続けたとか?」
「ちがう!断じてそんな事ではない!」
「オホー?」
モグラのような魔族が挑発するように声をかける。
「違うのだ……やつはたった一人に殺された……いや、ヒューマンのようななにかに殺された……」
「へえ……まさか伝説の勇者でも現れた?だから協定を結ぼうって腹?」
「そうだ……だが、勇者というよりは数人の敵だった……少数精鋭でやつの軍団に正面から戦いを挑み、戦いに当たったほぼ全員が殺された……」
「「「「!」」」」
その言葉に居合わせた魔族たちの表情を変える。
「遠見の魔法で見ていたからわかる。見えないほどのスピードで切り刻まれる兵士たち。謎の光で砂にされた賢者……重装歩兵団がまるで玩具のように形を変えていくさまを……
そしてヤツだ……不死王を一日として立たず殺し続けた白銀の髪をもつ女……外見は人に見えたが人には思えなかった。あの不死王でさえ傷一つ付ける事ができなかった怪物がいたんだ……」
「へえ……面白いじゃん。いいねえ強い奴が争ってくれるなんて。そういうやつを待ってたんだよ!」
「ちがう!あれは種としての天敵だ!われわれ魔族が一丸となって戦わねばならない敵だ。あの戦い方は争いではない!駆除のようだった!」
「ふーん。ま、弱いヤツがあたしら強いやつにそんな事を言われてもねえ……」
「ち、ちが……」
「あ゛?お前、王としての立場があるから少しは敬意を持って接して上げているのに、何?その態度。力が無ければ奪われる。それが魔族ってものでしょ?
最古の魔王だからって例外と思ってる?」
「ちがう!アレはそんな内輪もめしていい存在ではない!はやく対処しなければ……あれはこの世界の存在ではない!よそからの侵略者だ!
魔族だけではないヒューマンやエルフの力も借りねばなら……」
『パチン』
千里王と呼ばれた魔族が指が鳴らされた瞬間、倒れ込む。
「こんなんで死ぬお前が騒いだ所で説得力ねーよ。それに我らが創造主様から作られていない魔族以外と手を組めって?まっぴらだわ……じゃあ、おまえら。この場はそのナンカヤバイヤツ?がコイツを殺したって事にして私たちでこの国を分割しますか」
「オホー。話がわかるヤツすきー」
「ヂュフフ……」
数人の魔族たちは笑いながら地図を拡げる。
城の死体たちを踏みにじりながら……
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これで第1部は終わりになります。
あかちゃんは筆が遅いので続きはずっと先になります。
続きが気になるってなったら応援してくれると嬉しいのじぇ!
感想とか貰えると嬉しいのじぇ!
頑張って伏線とか張ってみたのでちゅが、伏線になってましたかのじぇ?
教えてくれるとうれちいのじぇ!
ゆんやー!
悪の組織の幹部の俺はいつも心で叫んでる 〜俺が命がけで仲間たち(凶悪ヴィラン)からヒロインを助け出したのに彼女たちも悪堕ちしているのだが?〜 TKあかちゃん @tktottuan
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