6校時

 六校時終了のチャイムがなると、生徒は安堵の表情を浮かべます。やっと授業が終わったと言わんばかりに。


 昨年度までは水曜と金曜以外、七校時の時間割でした。すべて六校時に変更された理由は、勉強で分からない所があれば先生に質問しに行けるよう配慮したからです。


 その配慮が功を奏しているかどうかは分かりません。カラオケや某コーヒーチェーン店の新作を求めに教室を後にする生徒を見ると、小言が喉元までせり上がってきます。効率よく勉強するために息抜きは必要ですが、羽を伸ばしすぎている人も多いのですよね。


 日々の行いが現れるのは、テスト当日の休み時間です。


「テスト簡単?」

「せんせー、何点取れるん?」


 私の思う簡単と、みんなのイメージする簡単は違うんじゃないかな。私なら百点取れるよ。


 そう返すと「嫌味?」と言われてしまいますが、ひとえに授業準備で教材を読み込み、授業がある度に細かいところを確認しているからです。生徒だったころよりも勉強しなければ、あらゆる質問に対応できませんもの。


 何を勉強していたら何点取れますかと質問されることもありますが、教科書とノートと課題集の内容を理解していることが重要で、答えを丸写ししていたら効果は半減します。


 願わくば、その質問をテスト二週間前に聞きたかったですね。残り数分を切っていれば、教科書の音読と現代語訳の見直しくらいしか勧められません。

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