5校時

 体育館や外で体を動かしてきた昼休みが終わると、厄介な客が教室へ入り込みます。午後の温かな日差しに鎮座する、睡魔です。


 普通の授業でもパタパタと机に顔を伏せさせる睡魔は、テストのときでも容赦なく攻撃してきます。一応優しく起こしてあげますが、何度肩を叩いても首は直角に折れていくのでした。


 空白を大量に残したまま眠る人が増していくと、眠気も否応に増幅する悪循環。


 問題用紙と解答用紙を回収すれば「せんせー、テスト難しかった」と話しかけられます。


 問題の大部分は、一年生の一学期から勉強してきた知識ばかり。動詞の活用の種類と活用形は、日々の復習さえこなしていれば解けるものでした。「最初は十分か十五分でもいいから、復習する週間をつけなさい」と口酸っぱく言っているのですが、こればかりは生徒の行動にかかってきます。


 解答用紙に「形」を印刷しているがために「活用してる形」「完了形」「過去形」と記入する人が続出すると、力が抜けますね。


 (未然連用終止連体已然命令以外の選択肢を作らない! この数ヶ月の授業は、何だったの?)

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