第11話、剣は誰をも殺しはしない。それは殺人者の手にある道具にすぎない。

・・_・…・・・。


思わず、モールス信号で文章を記載しようか、迷った。それくらい、気分が良くない。


相変わらず、元気に訳の分からないことを言っている人だな、と思いながら、ラジオを聴いていた。


俺は関東平野にいるから、聞ける範囲のラジオしか聴かないが、聞ける範囲は「聴いていた」。


普通にアルバム発売なら、何曲かは発売後のオンエアだろう。でないと、アルバムを買う動機が減る。


まさかの発売前に全曲オンエア。

正気だとは思えない。関東平野分しかラジオを聴いていない俺ですら全曲聴けた。「楽曲は買ってください」というご自身の呼びかけはどうした!?と思わず、思った。


本当に意味不明である。これでは、逆に買わざるを得なくなる。「無形財産」に対する対価を支払うのは当然であり、知的財産管理技能技術者として、ラジオ番組内で広告費で賄われているとはいえ、無償で聴いてしまったのは大変気分が悪い。絶対に買いたくないが、職業へのプライドから買うという選択肢が浮かぶ。


こんなどうでもいいことで、葛藤したくない。

非常に気分が悪い。買えない金額でもない。負けた気がするから買いたくないだけである。


ラジオで聴いた曲自体は、綺麗だと思う反面、少々、怖かった。気迫というのか、なんか乗り移っている感。飛ばすのは電波だけで十分だと普通に思う。


確かに、若い頃の曲より、歌詞が聴き取りにくい。

その分、音声すら「音」になっている感じがする。


様々な楽曲。本当に多様な音。1人が織り成すにしては画一的な感じはしない。歌声は確かに同一人物だとわかるが、印象は随分と変わる。


図面には設計者の意図が余すことなく盛り込まれなくてはならない。なんとなく三面図が浮かぶ。


一曲だけ、聴いていて、泣きたくなった曲があった。

よくわからないが、何か「響いた」。くだらない。


まあ、オンラインでは歌詞に散文詩にライナーノーツすらご用意されたようだ。・・・その思考回路の一端が垣間見えるのかと思うと買いたくなるが、絶対にグッズは欲しくない。というか、ファンではない。絶対に認めたくない。


「無形財産」の価値を決めるのは、どこまでも「他人」だ。「道具」は人が使うことで、性能を発揮する。


「手の中にあるものが確実にあるのであれば、それが僅かであっても工面できる。いつ尽きるのかわからないのであれば慎重に守ることである」。


そして「大切なことは、何に耐えたかということではなく、いかに耐えたかということである」。


「彼」は今、この時を「自分のため」に生きているのだろうか。


不思議と、そう思った。


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