【最終回】Hのすさまじさ
桜さんが倒れた旦那の晴彦さんの元に行ってる間、俺と五十嵐さんは店の休憩室でHしてしまった。
それに対して後悔はしていないが、Hはやっぱり凄いな。そう、俺の考えをガラリと変えてしまう程に…。
俺は今まで桜さんとHしたいと思っていた。だから彼女との距離を縮めてきたが、うまくいく保証はない。かなり楽観的に見積もっても五分もないだろう…。
その点、五十嵐さんはすぐヤらせてくれる。終わり際に「また今度ね♡」と言ってくれたのが証拠だ。あの言葉は“悪魔のささやき”かもしれない。
…いや“天使のささやき”か? とにかく、俺に与えた影響力は半端なかった。
その影響力により、性欲はヤれるかわからない桜さんではなく、すぐヤれる五十嵐さんにぶつけたほうが良いのでは? と思い始めた。
もし俺が桜さんとHしたら、晴彦さんの事が気がかりになる。たまにとはいえ、直接顔を会わせるんだ。気まずくなるのは言うまでもない…。
しかし、五十嵐さんの旦那さんに会う事はないはず。その気楽さも、彼女を選ぶ一因になっている。知らない人に罪悪感は抱きにくいよな。
俺は一度入ったら出られない迷宮に足を踏み入れたのだ…。
ランチタイムを過ぎているので、俺1人のワンオペ中だ。キッチンでぼーっとしてると、五十嵐さんとやったHの事ばかり考えてしまう。
…店の扉が開いた。お客さんが来たみたいだし、気合を入れないと!
「健一君、変わった事なかった?」
入ってきたのは桜さんか。普段と変わった様子は見られない。
「なかったですよ」
「そう、良かった…」
「俺の事より、晴彦さんはどうだったんです?」
「大丈夫みたい。今打ってる点滴が終わったら迎えに行くけどね」
「なら一安心です」
「それよりも…」
桜さんは俺に近付いてくる。どうしたんだ?
「“俺の事より”なんて言っちゃダメ。晴彦さんは大切な人だけど、健一君もかけがえのない人なんだから」
俺は旦那の晴彦さんと違って、1年ぐらいいるバイトだぞ? そんな奴にかけがえのないって大袈裟だと思うが…。
やっぱり、桜さんとHするのはナシだ。今の関係が崩れるのは怖いからな。
「それじゃ、わたしは裏方作業に入るわね」
「はい」
桜さんは安心した様子で休憩室に入っていく。さて、残りの時間頑張ろう!
バイトが終わって自室に戻ってきた俺。あそこが次のHを待ち侘びているので、五十嵐さんに予約しておかないと。
『次はいつ相手してもらえますか?』
彼女の携帯がいつ誰に見られるかわからないし、隠語っぽくしたほうが安全だ。返信は気長に待とう。
そう思って数分後に返信が来た。思ったより早い。
『明日の午前中良いよ~♪』
閉店作業中に桜さんに明日のシフトを訊いたところ、彼女と東雲さんの2人らしい。そうなれば、五十嵐さんの手は空いているか。
『わかりました。明日の午前中お願いします』
送信後すぐ『OK』というスタンプが返ってきた。
翌日。五十嵐さんに指定された駐車場に向かうと、1台の車が俺のそばに来た。
「健君、とりあえず乗って。車内で本番ね♡」
「はい」
すぐさま後部座席に乗り込む。ヤる場所はわかりきってるからな。
車はこっそりヤるには最適な、駐車場の一番隅に駐車された。
「昨日のHが刺激的だったかな~?」
後部座席に乗ってきた五十嵐さんが、ニヤニヤしながら訊いてくる。
「そうですね。暇な時はずっと考えてました」
「昨日も結構抜いたはずなのに、若いって良いね~」
「たくさん抜けたのは、五十嵐さんのテクニックのおかげですよ」
「嬉しい事言ってくれるね♪ 今は“買い物”の体で来てるから、時間はかけられないんだ~」
「そうなんですか…」
俺の無茶に付き合ってくれるとは、五十嵐さんも良い人だよな。意識してないだけで、恵まれてるかも?
「時間がもったいないから、そろそろ始めようか」
彼女は俺のズボンに手をかける…。
【完結】女店長にバイト辞めるのを止められたので、代わりにエロい条件を出そうと思います あかせ @red_blanc
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