ep2 私の出自

 ある日学校で私が平民出身の養女だという噂が流れました。


 それによりイジメはより一層酷くなりました。


 イジメは酷くなっても、いつか必ず仕返ししてやると思えば耐えられました。

 けれども平民出身の養女だという噂が本当かどうかが気になってしかたがありませんでした。


 私はある決意をしました。それは両親に直接噂の真偽を聞くということです。


 ある日の夕食で、意を決して両親に聞きました。


「ねぇ父様母様。学校で私が本当は養女で、平民の生まれだっていう噂が流れてるんだけど、これって本当なの?」


 私が聞くと両親ふたりとも、食事の手を止めました。


「ユーファちゃん、それって誰が流している噂なの」


 母様が私に言います。

 母様も父様も私の名前を略してユーファと読んでいます。


「学校でふと耳に入ってきた噂だから、誰が流しているかはわからないよ」


 大勢の人が噂していたので、流している張本人が誰かはわかりません。


「そんな誰が流しているかもわからない噂を信じちゃうなんて、お母さん悲しいです。そんな子に育てた覚えはないわ」


 母様はそう言って泣き出してしまいました。


 私は母様を悲しませたことがショックで自分に苛立ちました。


 冷静に考えればこんな質問をされたら気分がいいわけないとわかるのに。


「母様ごめんなさい。わたしが無神経なことを言ってしまいました」


 私は心から謝りました。


「そうだなユーファ。そういう質問は父さんも悲しいぞ」

 

 父様が会話に入ってきました。父様まで傷つけてしまったなんて。


「けれども、もう話すときが来たのかもしれないな母さん」


 父様は続けて母様に語りかけます。


「そうですねお父さん。いずれは話さなければならないし、この子との信頼関係のためにも私達から話すべきですわね」


 母様が父様に同意します。


 二人が言っている私に話すべきこととは何なのだろうか。私はとても気になります。


「実はなユーファ。その噂は半分正解で半分間違いなんだ」


 父様が言います。半分正解とはどういうことなのでしょうか。


「お前は私達の実子ではないというのは事実だ」


 父様の言葉に私はとてつもなく大きなショックを受けました。


 生まれてから13年間、父様と母様に育てられてきた私にはすぐには受け入れられるわけがありません。


 一方で、半分間違いとはどの部分のことなんだろうかと気になりました。


「間違いなのはお前が平民の子供だというところだ。実際はその真逆だ」


 真逆とはどういうことなのでしょうか。


「実はお前はこの国の王女なんだ」


 父様の口から発せられたとんでもない言葉に私は固まってしまいました。


 数秒思考が停止したあと、私は我に返りました。


「王女ってどういうことなの、私は王様と王妃様の娘ってこと?」


「そういうことだ。あと、王子様や王女様はユーファから見たら実の兄や姉になるな」


 現在のこの国の王様には二人の王子と一人の王女がいます。三人とも私より年上です。


 私は一人っ子として育ってきたので、兄妹がいるというのはじつに不思議な感じがします。


 〈本名もユーフェリア・ルーテリアってことなんだ〉


 〈どうして私だけ養子に出されたのかな。〉


「父様母様、どうして私は養子に出されたの? 私は捨てられたの?」


「そんなことはないよ。実はユーファは命に関わる難病だったんだ。体中にあざができるのもその病気のせいなんだ。イーファルド家は代々治癒魔法を得意とする家系なんだ。この家の中にいると治癒の効果が体に現れるんだ。だから王様はユーファをウチの養女にして治療に専念させてるんだ」


〈私の病気が命に関わるものだったなんて知らなかった〉


「いろいろ隠していてすまなかった。けれども、ユーファの身を守るためなんだ。理解してくれたら嬉しい。そして、俺達はユーファのことを本当の娘だと思ってるし、これからも娘でいてほしいと思ってる」


〈父様の娘でいてほしいという言葉は素直に嬉しい〉


「私は生まれてから今までずっと、そしてこれからも父様と母様の娘だよ」


 私の言葉に父様も母様も涙を流していました。

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下級貴族の養女なので上級貴族の子息子女にイジメられていますが実は私王女です〜全員ざまぁするまで私はとまりません〜 あまがみ てん @sento710

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