下級貴族の養女なので上級貴族の子息子女にイジメられていますが実は私王女です〜全員ざまぁするまで私はとまりません〜

あまがみ てん

ep1 ルーテリア王国

 私の名前はユーフェリア・イーファルド、現在13歳の女の子です。


 私達の暮らす惑星は丸い形で、陸地と海の割合が半分ずつのバランスの取れた世界で、大陸がいくつかあります。

 その中でも一番大きな大陸である、ルーテ大陸にあるルーテリア王国に私は暮らしています。ルーテ大陸にはルーテリア王国とルーテリア王国の属国しかありません。

 

 ルーテリア王国は完全な身分制社会であり、王族と貴族階級が社会を統治しています。


 私も一応貴族であるイーファルド男爵家の一人娘です。


 けれども貴族階級の中の身分差別は平民よりも厳しいのです。


 男爵は爵位では一番下になります。

 この国では同じ爵位の中でも、領地の大きさや質、称号や勲章の種類や数などで序列が存在します。

 ウチはその中でも最底辺なのです。


 さらに極めつけは、我が家の家業が処刑人であるということです。


 この国では処刑人を貴族が務めますが、いくら悪いことをした人でも、人を殺すということに抵抗がある人が多く、この仕事は誰もやりたがりません。


 したがって差別の対象となるのです。


 私は人がやりたがらない仕事をやっている両親を尊敬しています。

 だって、誰かがやらなければいけないのですから。  


 この国では12歳の4月から18歳の3月までアカデミーに通うルールがあります。


 私は王立ルーテリア学院に通っています。


 王立ルーテリア学院はこの国で一番歴史があり、国立で国名を冠しています。

 この国で一番高貴なアカデミーなのです。


 王立ルーテリア学院は貴族しか入学を許されません。

 私も一応貴族の子女なのでこの学院への入学を許されました。


 入学してから約1年が経ちましたが、生活は想像を絶するものでした。


 なぜならば、この学院は貴族内の身分差が厳しく、下級貴族は上級貴族にイジメられるからです。


 もちろん、最底辺貴族であり、両親が被差別職種に就いている私は、この学校で一番酷いいじめにあっています。



 多くの人が私を差別し、見下し、いじめてきますが、その中でも特に酷い三人を紹介します。


 一人目はイル・カイラです。

 彼女はカイラ侯爵家の次女です。カイラ侯爵家はこの国で防衛に携わる有力貴族です。いつも多くの取り巻きを引き連れており、取り巻きは彼女の言うことには絶対に従います。

彼女と付き合うと美味しい思いができるので付き合っているのだと思いますが、彼女に反抗したらどんな目に遭わされるかわからないのです。


 カイラが私に対してどんなことをしてくるかというと、言葉の暴力が多いです。


 ある日の一幕を紹介します。

「あらどうしてこの教室には犬がいるのですか」と彼女は私に話しかけてきました。


「私は犬ではないですよ。ちゃんと人間です」


「あなたは皮肉がわからないのですね。身分が絶対のこの世界で私達上流貴族は神様、中流貴族は人間、下級貴族は犬なのですよ。平民はミジンコと一緒ですわ。アカデミーで犬と同じ空気を吸うなんて最悪です」


 彼女は下級貴族や平民の人々を人間扱いしていません。私が馬鹿にされたことよりもそのことのほうがムカつきます。



 二人目はリーシェ・ハーパーです。

 彼女の家は処刑人なども属する法務省のトップを務めるハーパー公爵家です。


 彼女は一匹狼みたいな感じの子ですが、家でのルールが厳しいらしく、その鬱憤を晴らすために私をいじめてきます。


 ある日の授業後、「イーファルド、このあと校舎の裏に来なさい」と私に命令してきました。


 彼女の両親は、処刑人であるうちの両親の上司にあたります。

 彼女の命令に私が背けるわけがありません。


 私は指定された人気のない場所に行きます。


 そこにはハーパーが既にいました。


 彼女は私に制服を脱ぐように言ってきました。


 私は大人しく従い、下着のみになりました。


「相変わらず醜い体ね。あざだらけで。でもいいわ、私がいくら殴ってあざを作ってもあなたの病気のせいにできるから」


 私は生まれつき体中にあざができるという難病を患っています。顔にも大きなあざがいくつかあり、これも私がイジメられる原因の一つだと思います。


 彼女はそう言うと、狂ったように私を殴ります。

 

 一週間に1回必ず殴られる私は、彼女のサンドバックなのです。


 親が仕事を失っては大変なので、私はただ殴られるしかありません。



 三人目はシド・クーパー

 クーパー公爵家の長男です。

 

 彼は様々な人にちょっかいを出しては反応を楽しんでいます。


 お昼ご飯は、貴族といえどウチは裕福ではないので私は弁当を持参しています。

 お金持ちの貴族の人は食堂で豪華な食事を毎日食べています。

 

 ある日の昼食、私がお弁当を食べていると、彼があからさまに私のお弁当を払い除け、床に落としました。


 私が黙って拾い上げていると、彼は「それ君のご飯だったんだ。てっきりゴミが机の上にのっていると思って払い落としてあげたのに」などと抜かしました。



 このように私は多種多様な酷いイジメを受けています。コイツら以外にも私をイジメるやつは数え切れないほどいます。


 私があまり抵抗していないと思うかもしれませんが、それには理由があります。


 権力が絶対のこの国では抵抗は意味を成さないし、抵抗したらその何倍もの力で私や家族、仲良くしてくれる人に危害が加えられるからです。


 私は両親が大事だし、少ないけれども仲良くしてくれる友達も大事です。


 この人たちが私のせいで苦しむのは、私が危害を加えられるよりもっと辛いのです。




 けれどもこの仕打ちを許すわけでは絶対にありません。いつかは必ず何倍にもして、お返ししてやると心に誓っています。


 そのためには権力を持たなければなりません。

 下級貴族が成り上がるためには勉強して、国の要職に就き身分を高めるしかありません。


 そのために私は日々必死に勉強しています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る