未来人

@nluicdnt

 未来人

 


 


 僕の眼前には、星々が輝いている。

 

 等級、星には昔、そういう物差しがあって、輝きの大きさとかによって分けられていた。


 一等級の星が一番光り輝いていて、そこから数が増えていくごとに輝きが弱く見えるらしい。本当はもっと色々あるらしいけどあまりそれについては知らない。


 それに、その等級の話なんて、もう遥か昔の過去のことだ。今は移動すれば簡単に輝きが大きく見れる。


 どうして大昔の人々は等級、なんてものをつけたのか分からなくなる。他にもなんでこんな物があったのかわからないのがいっぱいある。


 今の僕たちからすると……例えば、車、テレビ、電話、スマートフォン(スマホ)、冷蔵庫、洗濯機、服、肉、魚、野菜、音楽、小説……は今でもあるか……あ、でも本っていうのは無いなぁ。もう全部直接データを入れれば良いわけだし必要ないよね。あとは……ダメだ。いっぱいありすぎて分からない。

 とにかくスマートじゃない。


 あ〜あ、歴史ってつくづく面倒くさいよ。

 全く。せめて『令和』あたりまでは簡単なのに、そこからどんどん訳わかんなくなってきてる。


 別にどうでも良いじゃん過去のことなんて。よく分かんないけど苦労してたんでしょ? 顔の美醜とか、体型? が太すぎるとか細すぎるとか、身長っていうのもあったな。後は能力とか学力とか、そういうのもあったんでしょ? いやぁ面倒くさいよそんなの。よく大昔の人々は生きてこれたよねぇ。

 だって文字とか書いたり打ったりしなきゃいけないんでしょ? あ、そういえばパソコンっていうのもあったんだっけ。


 いや面倒くさすぎでしょ、いちいちそんなことしなきゃいけないなんて。


 それにさっきの顔とか身長とかでもそうだ。昔はそういうので結婚とかあったんでしょ? いや〜苦労するよそれ。

 

 なんか今にも目に浮かぶよ。


 例えば不細工な人が一生懸命に好きな人に好きになってもらおうと頑張る姿がさぁ。

 

 ていうか、僕たちからしてみれば大昔の人間って率直に言うとキモくない?


 なんであんなに無駄に個体差があんの?

 そんなのどれもこれも本質は一緒でしょ?

 そんなのにこだわるのって全員キモいでしょ。


 まず固定の身体があること自体がキモいわ。僕たちからしたら信じられないよ。

 今ならせいぜいゲームの世界だよ。

 

 ただでさえ余計なもんがあるのに、小さい時は言葉をまともに話せなかったりするんだもん。


 やっぱ昔って遅れてるなぁ。言葉が理解できなかったり話せなかった時期があるって。

 

 その点、今は初めから言葉とか話せるし楽ちん楽ちん。

 

 あ〜そういえば、昔は日本語、英語、なんて言葉も分かれていたんだね。


 ふ〜ん、やっぱそういうので色々争いが起こるんだよね。使ってる言葉とか、顔の骨格、とかがさ違うっていうのって。


 やっぱり、今はそういうのが無いから差別なんて無い無い。本当に平和で最高だよ。


 ん、おっと。こんな懐かしんでいる場合じゃないな。今日はF45と遊ぶ約束をしているんだ。

 

 じゃあカスタマイズだ。今日はどんなのを着ていこうかな。


 う〜〜〜〜ん、よし今日は女性にしよう。

 ちがう、ちがう、ちがう、、、これ!!

 うん!! 程よく胸が大きいしなによりも筋肉質だから良い。腹筋はバッキバキに割れているし、肩幅も広い。となるとある程度下半身もしっかりしないといけないから〜。


 本当はモデルのように細いのが良い。

 ん〜、安いのだとバランスが取れなくて骨折する可能性があるし何よりスタイル悪くなるんだよな〜。上半身に比べて下半身が貧弱、と、か、ね!!


 でもだからと言って格闘家のように脚が大きくてすごく鍛えていそうなのも今日の気分じゃない。


 この上半身で下半身がモデル気質だと相当な値段を張ってしまうんだよね〜。できるだけ安くしたい私としては、何か良いのは、な〜い〜か〜な〜……お!? これなんていい感じじゃない? 筋肉量は50%、高さは少し低めだけど充分モデルとしては成り立つ感じ。よし、決めた。これにしよう。

 

 服はノースリーブで水色、ショートパンツ、うん、これで良いはず。たしか今日の集まりは季節設定は夏だったしね。


 いや〜良い時代になったもんですな〜。

 昔は季節を設定するなんてできなかったからね〜。なんか日時とかで強制だったし、あと場所ごとでも季節濃度にズレもあったし。


 同じ冬でも雪降ってる所と振ってない所、

 同じ夏でも死ぬほど暑い所とそうでもない所。バラバラなのに生活していたとか昔の人ガチヤバスペックじゃん。私たちとかだったら絶対耐えられないわ。第一今もそうだけど服のコーディネートとか考えるの面倒くさいし。てか、今でも面倒くさいのに昔だったらそれだけで一日過ぎんじゃないの? やっぱ新古代の人々ってすごいわー。古代は論外にスゴすぎだけどね。

 

 よし、んじゃあ出発しますか。あと一分もないしね。


 コンタクトフォンで目に地図のモニターを浮かばせる。場所は設定した通りの緯度と経度を見つけて、出発!!


 クリックすると一瞬、視界が真っ白になったけど、一秒も経たない内に目的地に着いた。

 

 「お? 来たか。M25」


 着くと同時にF45の姿が見えた。


 F45は、今日は私と同じ女性の設定にしている。てかヤバいでしょその設定。

 

「あん? どうしたよ」

 

「いや、あんた奮発したね。流石にそこまでのボディを設定できるほど私は金の貯蓄が無いわ」


「ん? ああ、この身体のことか」


 F45は、胸も超大きいし形も良い。そして腹筋もバッキバキのバッキバキで私以上の筋肉だ。だけど下半身は細めだが、近くで見ると分かるがすごい筋肉量だ。外見はそこまでには見えないけど、目を凝らすと中身がとんでもねえ。昔で言えば大型トラックに突っ込まれても動かないであろう強靭さを秘めている。


 顔は大人っぽく、そして黒髪ロングヘアーだ。こんな最強とボディ、どうやったらこんなの手に入れられるのだろう。


「いいだろこれ、結構奮発したんだよなぁ」


「えっと……ちなみにどんぐらい?」


「ん? あ〜ざっと十五億カイツイーくらいかな」


「十五億カイツイー!?」


 驚いた。結構な額の金額が求められているではないか。高級料理店のフルコースとか頼めるぞ!? まあ私物凄く気分が良い時にそうする時あるけどね。


「でもさぁ、信じらんなくね?」


「うん? 何が?」


「だってさぁ、昔は十五億ってもうガイナユタくらいの価値あったんだよ?」


「あ〜たしかにそうだよねぇ。何だっけ? 宝くじ? それで七億とかで幸せだったんでしょ? まじイージーじゃん」


「それね、円とかドルみたいな時代ってそうだったんでしょ?」


「それ、ほんそれ、マジで偉大すぎでしょ昔の人。通貨バラバラとかダルイっしょ」


「てかそれよりお金の存在、アレ、ない」


「それそれ!!」


 お、私と同じ人差し指を向けている。

 考えていることは同じか。


「お金って汚いじゃん。よくわかんない人がベタベタ触ってるの使ってるって。絶対無理。人糞触るようなもん」


「だよね〜、やっぱアイマネーが良いよね〜何も動かさずに金原えんだもん」


「ね〜。でもさー、やっぱ昔ってすごいわ。今のアイマネーでも支払いめんどうくさいのに。昔はいちいち手とか必要なんだもん」


「それはガチで思う。ホント昔の人苦労人じゃん。なんかどんどん便利になるのに何でだるくなるんだろうね? 一日が過ぎるのも速いし」


「な〜、瞬間移動もできるのにね〜」


「ね〜……ところで今日どうする? ロールっちゃう?」


「あ〜、ベイローね〜……やっちゃう?」


「やっちゃえ!」


 私たちのイタズラな笑顔が意見合致の合図だ。


「どこでする〜?」


「ん? その前にF45、股にセットしてんの?」


「モチ」


「用意よすぎて藁 てか初めからするき満々じゃん」


「まあね〜。じゃあゆっくりできる所でっと。やっぱ私たちも人間なんだね」


「ん? どした急に」


「いや……はずかしい……」


「も〜〜……あ、あそこで良いんじゃね?」


「あ、そうだね。あそこでベイローしよっか」 


「やっぱ女性の姿だと母性ってあるのかな〜」


「どした急に」


「ん〜要するに〜。女の子の方が育成型シミュレーションロールプレイングが好きなのかなって思っただけ」


「なるほど。んじゃ、やりますか」


 そのまま私たちはピンクの色が目立つ宿泊所の中に入っていった。

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