きらきら

花見だんご

きらきら

お父さんにもらったお守りがキラキラ輝いている。

とっても綺麗だ。

このお守りを貰った日のことを思い出す。

《大野孝文》

お父さんの名前が書かれた病室に弟の翔と一緒に入った。

お母さんは、今日は一緒に来ていない。

お父さんの部屋にはよく分からない機械があって、身体には管がたくさん繋がれていた。

お父さんは起きていた。


恵、翔いらっしゃい。

今日はお母さんは?


お母さんは最近知らない男の人と会ってる。


私が答えるとお父さんは悲しそうな顔をした。


恵、翔こっちにおいで。


お父さんのそばに行くとぎゅっと抱きしめられた。


お父さんは、恵と翔が大人になるまで

一緒にいられないかもしれない。

けど、忘れないで。

お父さんは、ずっと恵達のことを

見守っているからね。


お父さんはそう言って、私と翔に手作りのお守りをくれた。

それぞれ色違いの石がキラリと輝いている。

私はキラキラしたものが大好きだったので、

とても嬉しかった。


その日、お父さんは死んだ。


お葬式の後、スーツの人達がやってきて、

お母さんと色々話をしていた。

私と翔も話を聞かれて疲れてしまった。


私達はこれで失礼します。


スーツの人達が帰ってた後、今度はお父さんが死んだ日に来ていた男の人が会いにきた。


男の人が帰った後、お母さんに

近所の人に言われたことを聞いてみた。


あの人は新しいお父さん?


…新しいお父さんですって?

馬鹿なこと言わないでちょうだい!

あの人は児童相談所の職員よ!

あんたのことを話してたの!

なんで?

なんで、普通にできないの?

変なものばっかり集めるし、生き物は殺すし!

孝文さんを殺したのもあんたなんでしょ?

あんたなんか、産まなきゃ良かった!

もう、うんざり!


お母さんが泣きながら叫んでるけど、意味が分からない。

翔が部屋の隅で怯えている。


変なものとは、ビー玉、お母さんにもらった指輪、ガラスの破片や近所の猫の歯だろうか。どれもみんなキラキラしていて私の宝物だ。


それに、私は、機械が光っていて綺麗だったから触っただけなのに。

お父さんは動かなくなってしまった。


そういえば、お母さんの目もキラキラしていて綺麗だな。

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きらきら 花見だんご @hanami_dango

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