小夜時雨、降れよ降れよと恋ひ願ふ Re:様
【タイトル】 小夜時雨、降れよ降れよと恋ひ願ふ
【作者】 Re:
【ジャンル】 恋愛
【執筆状況】 完結
【形式】 短編
https://kakuyomu.jp/works/16817330667744262519
年齢も性別も違う男女がバイオリンを通して交流していくお話です。
少年、女性のそれぞれの視点で物語が進行し、出会う回数が触れるにつれてお互いの距離が近づいていく様子が丁寧に描かれています。
雨の日になったら女性の家へ行き、バイオリンを教わるという約束。日に日に少年は雨の日が楽しみになります。読み終わった後に改めてタイトルを見ると少年の切実な気持ちが伝わってきて胸が苦しくなる作品です。
結末について多くは語られていないのですが、その情報がわざわざ書かれているということはそういうことなのだろうなと。
ファンタジー作品って展開がある程度予想できます。というのも架空の世界だからこそ、前提知識として今後の展開に必要な情報が提示されるからです。いらない情報もあえて提示することで攪乱するとか、あえて勘違いさせるような情報の出し方をするなど展開を読ませない工夫は色々とありますが、情報を出さないということはない。というか、情報を出さないととても不親切な作品になってしまいます。
なぜなら、ファンタジー世界の設定は作者が説明してくれないと読者には伝わらないからです。太陽が二つある世界だとしたら、登場人物の誰かか描写で「太陽は二つある」と書いてくれないと読者は分かりません。それを説明しないまま作品の山場にて「太陽は二つあるだろ!」と言われても「いや、知らないんだけど。どこでその情報出てたんだよ!?」ってなるわけです。私はこういう作品、読む気失せます。
しかし、現代が舞台のお話ですとこの説明はいりません。読んでいる方はみんな現代人なので、前振りを省いても話しが通じる。つまり、前ぶりのない展開が急に発生したとしても問題ないわけです。現実を考えれば、何の前触れもなく発生するトラブルや不運の方が多いので、その方がリアルと言えます。
何が言いたいかと言うと、予測ができない分の衝撃とダメージが大きい!
あんまり前情報なく読んで欲しいので濁し、濁し書きましたが、察しの良いかたは分かってしまったかもしれません。分かった方は答え合わせもかねて読んでみてはいかがでしょう。
主人公である「俺」のその後が気になるところです。知って欲しいような、知らずに居て欲しいような。たとえ知ったとしてもその後も強く生きて欲しいなと願ってしまう。そんな主人公とは違う意味で願ってしまうようなお話でした。
企画に参加いただきありがとうございます。
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