現代ドラマ
偶像 矢向 亜紀様
【タイトル】 偶像
【作者】 矢向 亜紀
【ジャンル】 現代ドラマ
【執筆状況】 完結済
【形式】 短編
https://kakuyomu.jp/works/16817330649220047140
小説の楽しみ方って文体、ストーリー、キャラクター、世界観と色々あると思うのですが、この作品は空気感を楽しむものだと感じました。
矢向さんの作品はいくつか読んでいるのですが共通してしっとりとした独特の空気があります。もちろん文章も展開も構成も素敵なのですが、ハッキリと言葉に出来ない空気にいつも酔ったような心地になります。
といいましても、私はお酒飲まないのであくまで想像なのですが。悪酔いではなく心地の良い酔いとはこういうものなのかなと思わせてくれる作者様です。
こちらは五千字ほどの短編作品です。
主人公は友人の葬式のために大阪を訪れます。そこで幼い頃に憧れだったお姉さんと再会し、一緒に友人の遺言を聞くというあらすじからしてしんみりした雰囲気が漂います。
友人こと紺野くんの想いについては、気持ちを推測できる描写はありますが、ハッキリこうであると明言されていません。それがリアルだなと感じました。
物語において死というのは重く扱いがちですし、死者の思いもハッキリと読者や登場人物に伝える展開が多いと思います。しかし現実では分からないことの方が多いです。残された人間は想像することしか出来ません。それが合っているのかを確かめる術もありません。
あえてハッキリ描写しないというのは技術がなければ出来ないことだと思います。技術が足りないと説明不足で意味の分からない小説になってしまったり、味気なく感じるからです。
しかしこの作品は必要な描写はきちんとしたうえで、読者に想像の余地を、小説を味わう余韻を残してくれています。真似ようと思ってなかなか出来るものではないと思うので、本当にすごいなと思います。私もこのくらい書けるようになりたいと思わせてくれる憧れの作品です。
皆様も是非読んでみてはいかがでしょうか。
このたびは自主企画に参加いただきありがとうございました。
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