十七で越えた母の背中 青海夜海様

【タイトル】 十七で越えた母の背中

【作者】 青海夜海

【ジャンル】 現代ドラマ

【執筆状況】 完結

【形式】 短編

https://kakuyomu.jp/works/16817330667961861240


 六千字の短編作品ですが、人によっては突き刺さるのではないでしょうか。私は刺さりました。


 内容としては少年と少女が出会うというシンプルかつ王道なものですが、そこに「虐め」「虐待」という要素が加わります。

 ただ少年と少女が出会って、寄り添って、恋に落ちるというよくある話であるはずなのに、二つの要素が加わっただけで全く別のものに感じられるのは不思議なものです。


 ジャンルの区分というのは明確な線引きがありませんが、作品の傾向を読者に伝える大切な要素だと思います。そこを踏まえるとこの作品はまちがなく「恋愛」ではなく「現代ドラマ」です。二人が恋をする話ではなく、不遇な環境に置かれた二人が強く生きていく話だと読み終わって強く感じました。


 家族もの、虐待、虐めというテーマは賛否分かれる分野だと思います。そういった要素に苦い思い出がある人だと敬遠したり、評価が厳しくなったりしますし、経験が一切ない人だとただ重たい内容から遠ざけ気味です。登場人物の心情が理解できないこともあるでしょう。


 だからといってこういった作品が一切なくなってしまうのは寂しいと感じます。読書の良さって自分とはまるで違う価値観、人生を生きている人たちの感情や経験を疑似体験できることだと思うので。


 この作品は社会の厳しさがハッキリと描かれており、印象としては重たい話ですが未来への希望もしっかりと描かれています。私はハッピーエンド主義者なので、過去を乗り越えた二人にはぜひとも幸せになってほしいです。現実が厳しいからこそ、物語には救いと希望があって良いのではないでしょうか。


 企画に参加いただきありがとうございます。

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