第7話 家族について


 ここで家族について簡単に説明したいと思う。


祖母ソバル:47歳、家長

祖父ジシフ:47歳、自警団のとりまとめ役

母マダーニャ:32歳、かかあ天下

父パージェ:33歳、名主からの信頼厚い


長男タロン:13歳、生真面目

長女チヨ:12歳、しっかり者

2男ニム:10歳、マイペース

2女ニーマ:9歳、おてんば

三女サーシャ:7歳、おしとやか

3男サブロ:5歳、わんぱく

4男スエロー:3歳、俺



 夕飯後、夜も更け、就寝の時間である。


 また春はじめの寒い中、藁を敷きその上に筵をしき、

 さらに毛皮を敷き、そこで横になり、毛皮を被ってねる。


「ふわぁ、さぶいちゃぶい。」

「あ、歯が抜けた!」

「べたべた触んなよ。あと体洗った?」

「歯みせて!」

「寒いから洗ってない。」

「あした見せるよ。一緒に埋めにいこう!」

「だめでしょ! 洗ってきな。」

「うん!」

「はぁ~・・・い。」


 家族で身を寄せ合って、くすぐったいような子供たちの声に俺も混ざっていく。


 子供時代に戻りたいと前世はよく思っていた。

 今こそ、幸福なんじゃなかろうか?

 貧しい寒村の貧しい小作農の4男に生れたとしても、食事は粗末で風呂もシャワーがなくとも、水事情も不便で臭いトイレであっても、家族は兄や姉はみんな優しい。

 むしろ何もかも足りないからこそ人情が沁みるかもしらん。

 現代日本における受験だ就職だノルマだ営業成績だ、そんな事から解放された感じもある。


 だが知っている。

 この世界でもやはり選別されていくのだ。


 長兄は再来年15歳なるから兵士になりに領都に行く。

 男は成人になる年に兵役に出なければならない。そこで魔物と戦って男を磨くのだと。

 村を守るのは男、村を育てるのは女。

 戦う力のない男は基本的に役立たずとされる。

 だから兵役に出される。

 体が弱くともだ。


 猛暑や寒波、猛獣や飢え、そして魔獣といった自然に対抗するために社会が作られた。

 安全により人員が過剰になり社会が維持できなくなると、社会淘汰を起こす。口減らしである。


 それなら沢山産まなければよいという事になるが、そう単純な話ではない。

 魔物と戦い、時に人とも争う。生き死があり戦士は消耗品としてある。

 ただし戦って死ぬならば、栄誉として称えられる。

 そういう死生観らしい。

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転生人はがんばりたい 玄素大葉 @curore

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