第6話 住について

 相変わらず霊流鍛錬は順調とは言い難く、とはいえ1ミリ程度ぐらいの進歩はしているとは思う。


 基本的に母か長女の目の届くところでしか行動が許されてないので、いつものひとり遊びと言うか、「うーん、うーん」と霊流鍛錬をするのみである。


 とはいえ、青空を背景に畑仕事してる親兄弟を眺める日常は悪くないのである。

 歌でも歌いたくなる気分というか、ときに鼻歌をふんふーんと歌っては、それが妙に喜ばれていた。


「スエローは歌人の才があるのやもしれん」なんてばあちゃが呟く。

 ばあちゃも曲がった腰ながらも元気に畑仕事なのである。



 敷地は竹垣たけがきで囲んでおり、裏庭には鶏など飼えるスペースがある。


 屋根は、組んだ竹の上にかやを薄くいて(覆って)屋根としている。

 玄関を入るとすぐ土間があり、右手に居間、土間の奥は台所と裏口なっている。土間と床座のみのいわゆる『二室住居』である。


 柱は地面に穴を掘って丸太を立てた、いわゆる『掘立柱』である。

 壁は竹を荒く編んだ上から泥や粘土を塗りこめたもの。冬場を見越して厚い造りになっている。

 窓は、竹をつかった戸の上部を軸として、下部を棒で外へ突き出してひさしのように利用する。


 居間は、竹組を用いて土間から一段高くなっており、細竹を密に並べて床とし、その上にむしろを敷いている。

 そこへ手足を洗い、履物はきものを脱いで上がる。


 囲炉裏もちゃんとある。蓋をして寝床として扱えるように、少し低くなっており粘土と石で固めている。


 居間の広さはおおよそ12畳ぐらいか。ここで家族10人が寝食をする。ベットや布団なんてものはない。

 夏場はむしろを被り雑魚寝である。はっきりいって狭い。

 冬場は藁を敷き、臭いのキツイ毛皮を被る。寒い時は、基本、家族で身を寄せ合って暖を取る。動物みたいな感じだね。


 ちなみにうちの家は屋根も壁も床も『板』が使われていない。省コスト、まぁそういう感じだな。


 トイレ事情。

 冬場は壺を入れたおまるを利用する。

 それ以外は共同トイレを利用する。

 肥溜めはオガクズや灰などを混ぜたのち、寄生虫の処置をしてタイ肥としているらしい。

 尻ふき用の葉があり、村でちゃんと育てている。

 風呂やシャワーがないが、トイレの衛生事情はわりかしマシな気がする。


 ここは比較的に寒い地域なので蠅などの虫が少ないのが幸いである。

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