第4話 友達
「大丈夫か?」
そう言いながら手を差し伸べる男…ラインには返り血が着いておりその後ろには魔物の死体が幾つかあった。
俺は今起きた出来事を見て確信した。
この男は正真正銘、Sランク冒険者の1人だということが。
一時は遡り数時間前
俺はラインに魔術を教えて貰うため、家に帰った。
「おかえりなさい」
笑顔でそう話すのは俺の今の母親ミリシンだ。
「ただいま!お父様はいますか?」
「ライン?ラインなら魔物退治をしに行ったわよ」
魔物退治…ああ、そうだった
ラインはこの村の周りにある森にいる魔物を狩る魔術師だ。
この仕事のおかげで俺らの家は裕福になっているらしい。
魔物か…1度は見てみたいな
「お父様に用事があるんですけど森の方で待っててもいいと思いますか?」
俺はラインの所へ行くことにした。
するとミリシンが困った顔をしながら
「うーん…森の中には入らないって約束できるならいいわよ!」
そう言った。
「ありがとうございます!それじゃあ行ってきます」
よし!森の中に入って魔物を見てみようじゃないか!!
魔術は少し使えるし何かあっても大丈夫だろ。
そう思いながら俺は森に向かった。
こうして森のそばまで来た俺は入り口に人がいるのに気が付いた。
よく見ると俺と同じくらいの年齢の女の子だった。
…ん?待て、あの耳…もしかしてエルフか!?
エルフなんているのかこの世界は
俺の好みなんだよなエルフ。可愛い子だから。
興奮を抑えつつその子に話しかける事にした。
「ねぇ、森の前で座っててどうしたの?」
そう話しかけると
「…ぱぱをまってるの」
女の子は顔を上げて話した。
嘘だろ…ジト目に目の下にほくろなんてどタイプなんだが!!
こんな子がいるなんて…異世界って最高だ。
「パパって事は君のお父さんも魔物退治してるのか?」
「うん。あなたのパパも退治してるの?」
凄いぞ俺。女の子と会話ができてる。
昔は女の子、いや人と話すのが全くできてなかったからな。成長してるぜ。
「俺の父さんも退治してるんだ」
そう言うと女の子は少し目を輝かせながら話した。
「もしかしてあなたってあのSランク冒険者の魔術師の息子!?」
「え?あ、うん。そうだけど」
いきなり元気になったな。どういう事だ?
「あなたって魔術使える?」
「初級なら使えるけど」
「そうなの!?凄い…!」
お、褒められた。嬉しい
だが、それがどうしたんだ?なにかあるのか?
そう疑問に思いながら俺は問い掛けた。
「魔術に興味でもあるのか?」
そう言うと女の子は
「うんっ!わたし魔術使ってみたいの!」
と答えた。
「ねぇ、もし良かったらわたしに教えてくれないかな?」
いきなり女の子はお願いしてきた。
そうか。この子は魔術を使いたいのか。
なら答えは一つだけだな
「うん。勿論いいよ」
まずは自己紹介からだな
「僕はアイリッシュ・ルミナータ。よろしく」
「えっと…わたしはソフィリア。ソフィって呼んでくれると嬉しい」
ソフィリアか…可愛い名前だな。
「それじゃあソフィ。これからよろしくな」
ソフィの耳がフリフリ動いてる。めっちゃ可愛い。
「それじゃあこれから魔術を教えよう!」
そう提案するとソフィは
「やった!…あ、よろしくお願いします」
ジト目キャラなのに元気。最高じゃないか
こうして数十分ソフィに魔術について教えた。
「…なるほど魔術ってイメージが大切なんだ」
「そう。イメージすれば無詠唱でも出来るようになるんだ。ほら」
試しに水を無詠唱で出してみるとソフィは目をキラキラさせた。
「魔術って凄い…!」
そう話しているといきなり大きい物音がした。
「なんだ?今の音」
「もしかして…アイ!魔物が来たよ!!」
そう言った直後に後ろから魔物が現れた。
見た目はイノシシだ。だが大きさが半端ない。
3m位あるんじゃないか。
…不味いな倒せるか?
考えていると魔物が物凄いスピードで襲ってきた。
「やばい…!」
咄嗟に俺はソフィを守った。
突進され骨が砕ける感覚が…しなかった。
見てみると襲ってきた魔物は誰かによって倒されていた。
こうして冒頭に戻る
「ありがとうございますお父様。助かりました」
そう言うとラインは笑顔で
「アイが無事ならそれでいいさ。ソフィちゃんも大丈夫か?」
「はい…ありがとうございます」
ラインの後ろには男の人が立っていた。
心配そうな顔をしている。多分ソフィの父親だろう。
「…それで、何しに来たんだ?」
ラインがそう聞いてきた。
俺はソフィの方を向いた。
するとソフィも俺の考えに気づいたのだろう。
俺とソフィは口を揃えて言った。
「魔術を教えて下さい!!」
そうして俺とソフィは魔術をベテラン魔術師のラインに教わる事になった。
異世界転生~俺はこの世界で幸せになります!~ 夏川みかん @mikan28
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