お披露目パーティー ①
「どんな感じで楽しめるかなぁ」
さて、僕はお披露目パーティーに向けて準備を進めていた。そしてあっという間に僕のお披露目パーティーの日がやってきたのである。
楽しい時間はあっという間というけれど、本当にこんなにすぐに過ぎていくのだなと僕は驚いてしまった。
ザガラのことに関しては、これからどうなるか分からない。だからそのことだけは僕は心配だなと思っている。僕のことを何らかのタイミングで攫いにはきそうだけど、うん、そのあたりは来た時に考えるでもいいかなとは思っている。
そもそもいつ何らかのことが起きても大丈夫なようにサシャは準備してくれてるっぽいけど。僕も何かあった時にどうにか出来るように心構えはしているけれど。
そのパーティーの日は、始まる前から大忙しだった。
僕は出迎えとかしていないけれど、ユエバードとかは他国からやってくる来訪者の出迎えとか大忙しだったみたい。僕は出迎えの仕事はないから自分の準備だけだ。でもそれでも大変だなと思うから、出迎えの仕事や滞在する他国の要人たちへの対応の準備とかしていた人たちは皆、大変なんだろうなと思う。
僕が帝国に来ることになったからこそこうして急遽パーティーが行われることになったわけだし。
サシャも女帝としてやらなければならないことが色々あるみたい。でもそれらもそつなくこなしているから、サシャはやっぱり凄い。
僕は直前まで障壁や歌の練習をやっていた。それで本番が失敗したら困るから、ちゃんと無茶をしないようにしていたけど。
僕は着替えを済ませて、サシャが着替え終わったという場所へと向かう。
流石に僕らは性別が異なるし、一緒の場所で着替えるわけにはいかないのだ。そういえば僕は本番の楽しみにしておこうと思って実際にその衣装を着たサシャのことはまだ見ていないんだよね。
だからサシャがどんな感じなのか楽しみ。絶対に似合っているのは確定事項なのだけど、想像の中のサシャとどう違うのかな? とそれを考えるだけでワクワクしているんだ。
僕もね、髪型とかも整えてもらったよ。短い髪型なりにシャキッとしている風にね。僕は背が低いし、可愛いのは変わらないけれど――いつもよりも男らしく見える感じに仕上げてもらえて僕は嬉しい限りだ。
うん、やっぱり見た目をどういう風に整えるかで印象ってこれだけ変わるんだね。こう考えると僕は楽しくなった。これから色んな服に着替える時の参考になりそうだよね。
「わぁ」
そして僕は着替えたサシャの元へついた。
サシャに僕が選んだ服を着てもらっているわけだけど、やっぱり想像通りにあっている。髪型も編み込んでいて、女性っぽい雰囲気もちゃんと残していて、かっこいいに全振りではないんだよね。
可愛さも残してあって、僕は思わず目を輝かせた。
「サシャ、似合ってるよ。可愛いもかっこいいも持っていて、なんていうか最強だよね」
「そうか? ウルリカもよく似合っておる。お揃いと言うのも楽しいのぉ」
「うん。凄く楽しい。僕とサシャでお揃いっていいね。こうやって世界に一つしかないお揃いの衣装だって思うと、嬉しいよね」
僕がそう言ったら、サシャも笑ってくれる。
なんていうか、僕が選んだものをサシャがこれだけ全部身に付けているっていいよね。
「僕が今回、サシャのことをちゃんとエスコートするからね! パーティーで誰かをエスコートするのは初めてだから僕は少し緊張するなぁ」
サシャをエスコートするのは楽しみだけど、うまく出来るかなと少し心配には思う。
だってこの前のデートとは違って、公の場でエスコートするってことだからね。かっこよく、スマートにエスコート出来ればいいなぁと思う。
「別に失敗しても構わぬぞ。何かしら問題が起きてもどうにでもする」
「なら、安心だね。僕、帝国でのパーティー初めてだからなるべくサシャの傍に居てもいい?」
「もちろんだ。ウルリカがやりたいようにすればいい。我の傍に居たければ居ればいいし、誰かと話したくなったら話せばいい」
「親しい人が増やせればいいよね。僕さ、この帝国で自分が生きやすくするために味方は増やしたいからなぁ」
「そんなことは気にしないでいいぞ? 我はウルリカが生きやすいようにはする予定だからの」
サシャはやっぱり僕のことを名一杯、甘やかそうとする。というか僕がやりたいようになんでもやらせようとしてくれる。
でもまぁ、それに甘えっぱなしもあれなので、僕は僕で力をつけておきたいなとは思う。
この帝国では僕がそうやって力をつけたとしても、サシャは許してくれるから。なら、そんなサシャのためにも力はつけときたい。僕はそう思う。
「色んな人を味方につけられたらこれからのためにはなるかなって思うんだよね。だから僕、頑張るつもり。もちろん、そこまで気を張るつもりはないよ。僕は楽しくしながら進めるよ! あと何か問題とかあったらすぐにサシャに言うね」
「そうするといい。我も問題が起きないようにはするつもりではあるが、何が起こるかわからぬからの」
僕たちはそんな会話を交わしながら、会場へと向かっていく。
周りの騎士や侍女たちが僕らのことを警備している。その廊下を進んで、僕たちは大きな扉の前に辿り着く。
「じゃあ、サシャ。行こうか」
「ああ」
僕が手を伸ばせば、サシャが手を重ねてくれる。
会場の方から、僕らを呼ぶ声がする。
そして僕らは騎士たちに扉を開けてもらって、そしてそのまま会場の中へと入った。
キラキラしたシャンデリアの光が輝き、眩しい。
一気に僕たちに視線が向けられているのが分かる。
なんというか騒がしくなるというより、僕らのことを見て騒然として固まっているというかそういう感じ。
これだけ視線が一気に向けられると、びっくりだね!
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