お披露目パーティーの準備を進める ①

「ウルリカ様、ご衣裳をお選びください」

「ありがとう。選ぶね」




 お披露目パーティーの話を聞いてすぐ、僕の元へウィメリーが冊子を持ってきてくれた。これは僕がどういうパーティー衣装を着たいかというのを選ぶために用意されたものらしい。

 こうやってパーティーで自分の意思で衣装を選ぶのって初めてだなぁ。




 聖女としての白装束しか王国では着てこなかった。ドレスも聖女として相応しくないからって言ってたね。僕は男だから別にドレスとかに憧れはないけれど、歴代の聖女の中には毎回パーティーで聖女服なことに不満を抱いていた人もいたのではないかななんて思うよ。








「サシャはどういったもの着るのかな? 僕、折角だからサシャとお揃いがいいなぁって思うけれど駄目かな?」






 なんというか、折角帝国にきて初めてのパーティーだからサシャとそろえても楽しそうと思った。

 だって仲良しな人たちはパーティーで衣装をそろえたりしていたんだよ。王国でもそういうの見たことがあって素敵だなって思っていた。






「陛下に進言してみます。おそらく喜んで頷かれるかと思いますわ」

「そうかな。なら嬉しいな。あ、でもサシャは相変わらずパーティーでドレスを着る気はないんだよね?」

「そうですね。ウルリカ様やブリギッド様の前だけなら可愛らしい恰好をしてましたが、パーティーでは着ないと思います」






 僕はその言葉に少しだけ残念な気持ちになる。だって、サシャは女の子らしい服装も似合っているんだもん。でも僕らだけが見れるっていうのも特別感があっていいなと思うけどね。






 それにしてもどうしよう?

 サシャがドレスじゃないなら、僕がドレスを着た方がぴったりになる? でも両方。男性服っぽいのでも問題ないのかな。どちらでも楽しそうだけど、男性服で参加したいかもなぁ。

 などと思ったので、僕はかっこいい服を選ぶことにした。サシャと色を合わせて、お揃いな感じにしてもらうことを計画する。トウリウスにサシャへの確認を頼んでいるので、先に決めてしまっているという。






 飾りや装飾を少し変えてお揃いな感じにしたら素敵かななんて思ったりもしているんだ。

 ブリギッドはそういう人が沢山来るパーティーには興味がないようなので、僕とサシャのパーティー服だけ選んでいる。ブリギッドは覗きには来るかもしれないらしいけれど。





「個人的にこういうのかっこいいかなって思うんだけど。なんていうか騎士っぽい感じ。僕、こういう服を着て、サシャとパーティーに出れたら楽しそうって思うんだ」

「陛下にもウルリカ様にも似合うと思います。お二人が並んでパーティーに登場する様子を思い浮かべるだけで楽しみです」

「だよねぇ。僕とサシャが並んでパーティーに登場したら周りの視線が一気に向きそう。デートの時みたいにエスコートさせてくれるかなぁ? サシャのことを折角だからエスコートしたいなぁ」






 デートの時みたいにサシャのことをエスコート出来たらななんて思う。

 僕は帝都を歩くのは初めてだったけれど、パーティーに関しては王国でもそれなりに参加していたからちゃんとエスコート出来るかなって思う。まぁ、僕は誰かにエスコートされて入場するか、一人でパーティーに入るかのどちらかでしかなかったけれど。

 そんなことを考えていたらトウリウスが戻ってきた。








 サシャは僕とお揃いの衣装で問題ないって言っていたみたい。僕が自由に選んでいいようなので、どんな衣装にするか選ぶことにする。

 サシャが僕にパーティーの一生を任せてくれるのって嬉しいな。サシャはあまり自分の着るものとかに頓着していなさそうだけど、それでもパーティーで着る衣装という重要なものを僕に任せてくれることが嬉しいな。






 アクセサリーも選ばないとなぁ。

 帝国に伝わるアクセサリーとか、サシャが他の貴族から貢物としてもらったものとか、そういうものが色々あるようなのでそれから選んでもいいなぁ。新しく購入してもいいとは言われているけれど。






 それにしても金額が凄い額なんだよね。まぁ、サシャは女帝と言う立場だから身に付けるものもそれ相応なものでなければならないのだろうけれども。

 アクセサリーも出来れば合わせたいなぁ。その方が僕とサシャが仲良しだってもっと周りに広まって楽しそうだしね。僕は好きな人とお揃いだと嬉しいなと思うから、いい感じにそろえたいなぁ。






「一先ず服はこれにしようかなぁ。色はね、赤で! 下は黒色にして、騎士服っぽい感じで、かっこよくない?」




 僕は赤色の騎士服のような衣装を選んだ。ちなみに黒色の刺繍の入っているかっこいいもの。それでいて袖の部分に文様が入っていて素敵なの。こういうかっこいいデザインが出来る人って凄いよね。




 僕とサシャの体格に合わせた衣装を準備してもらうとして、アクセサリーはどうしよう?

 綺麗で似合うものがいいよね。

 キラキラしていて、サシャにぴったりなもの。ピアスとかもいいかも。でも僕、耳に穴あいてないからなぁ。開けずに身に付けられるものとかってあるのかな?

 それ以外にしてみようかな。








 僕はアクセサリーの冊子をめくっている。どれも素敵なものばかりだ。というか女帝であるサシャが身に付けるものだとやっぱりそういう一流のものしか来ないのだろうなって思う。

 とても珍しい宝石を使ったものとかだと、本当に凄い値段している。

 そういう宝石って手に入れるのが難しいらしいからね。あとは宝石だと特別な効果を持つものもあるから、そういうものだと高価なはず。






 冊子を見た後、宝物庫を見させてもらう。

 サシャは僕がこういう所に入るのも簡単に許可する。僕が高価なものに目が眩む人間だったら大変なのになぁ。僕はそういうつもりはないけれど。








「これとかサシャに似合いそう」






 ネックレスで素敵な物を見つけた。それは色違いで二種類あったので確保しておく。

 あとはブレスレッドとか選ぼうかなぁ。女帝の王冠とかはサシャは基本的に必要な時しか身に付けないらしいよ。というか、サシャの髪型も僕でいじってもいいかな? いつもサシャは髪をいじったりしないらしいけれど、折角だからいじりたいななんて思う。






 アクセサリーを選び終えた後にサシャにそれらの事も確認したら許可されたので、サシャの髪型をどうしようかと僕は悩むことになるのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る