サシャへのプレゼントをしてみる

「わぁ、これ、可愛いね」




 店員が僕の元へと、沢山の小物を持ってくる。

 それは髪飾りやブレスレッドといった身に付けるものだったり、ハンカチなどの日用品だったりである。それらは可愛く装飾されたものばかりだ。




 帝都はおしゃれな人が多いのか、こういう装飾がされているものも多く売られているようである。








「ねぇねぇ、サシャ、僕に似合う?」




 僕が小さな丸い飾りのついた髪飾りを髪にあてて問いかけると、サシャは頷いてくれる。ブリギッドにも色違いで同じ種類のものを買って帰ろうかな?




「サシャ、これ、当ててみて」






 僕は持ってきてもらった髪飾りの中から銀色のキラキラしたものを手に取って、サシャに渡す。




「……うむ」




 サシャは僕の言うとおりにその髪飾りを髪にあてる。サシャの金色の髪に、その髪飾りは良く似合う。僕は自分の見立てがあっていることに満足して頷き、その髪飾りを購入する。






「サシャによく似合うから、これ、プレゼント! たまにでいいからつけてくれると僕は嬉しいな」

「……ウルリカだけの前でなら、よかろう」

「やった!」






 僕はサシャがなんだかんだ僕の頼みを聞いてくれることが嬉しくて仕方がない。店員の人は僕とサシャの会話を聞いて驚いたような顔をして、でも次の瞬間には笑っていた。




「ハンカチとかも可愛いもの多いね!」

「聖女様が気に入ってくださり嬉しいです。あの、聖女様は本当に男性なのですか?」

「うん。僕は男だよ。でも僕は可愛いから、こういう装飾品もよく似合うでしょ?」

「はい。とてもお似合いです!!」






 似合っていると褒めてもらえて僕は大変満足である。やっぱり似合ってないと言われるよりも、似合っているって言われる方が嬉しいよね。





「ハンカチは、これとこれとこれが欲しいなぁ」





 直感で選んでしまった。

 でもどれもこれも素敵なデザインのものが多くて、僕は欲しいなって思ってしまったのだ。






 自分で自由に使えるお金が手に入ったからと散財してしまっている気がする。





 ユエバードはお手伝いの報酬を多めにくれたのか、今の所、もらったお金にはまだ余裕がある。

 でもあまりにも使いすぎない方がいいかな? 今後、お金が必要になる機会もあるかもしれないし……いや、でも正直、一目で欲しいと思ったものは欲しい!!

 そんな葛藤を僕がしていると、サシャに声をかけられる。






「ウルリカ、どうしたのだ? 急に黙り込んで、何か不安なことでもあるのか?」

「買いたいものが沢山あるなって思って」

「全て買えばいいだろう?」

「むむ、そうなんだけど。僕って自由になるお金って今まで持ったことなくて、今回はユエバードから報酬って形でもらったけれど、取っておかないとかなぁって」




 僕がそういうと、サシャはおかしそうに笑う。






「ウルリカ、そのあたりは何も気にする必要はない。ウルリカは我が連れ帰った聖女ぞ。だからこそ、その聖女の費用を我が全部持つのは当然のことなのだ。もらった報酬はウルリカが好きなように好きな時に使えばいいのだ」

「本当に全部、今回のお出かけで使っちゃうそう!!」

「それもよかろう。ウルリカはこうやって買い物をするのも初めてのことだろう? ならば買い物が楽しくて仕方がないのも当然のことよ。我は楽しそうに買い物をしておるウルリカを見ておると嬉しくなるぞ」




 サシャは笑ってそう言ってくれて、まぁ、確かに僕がここでもらった報酬を全て使ってしまっても問題ないのではないかとそんな気持ちになった。

 というか、欲しいものは欲しいしね!

 折角のウルリカとのデートなのだから、我慢とか遠慮とかせずに思いっきり楽しんだ方がきっといいよね。






「うん! じゃあ使いたいだけ使う。でも僕がなんか間違ったこととかしそうになったら教えてね?」

「ああ。もちろんだ」






 サシャがそう言って頷いてくれたので、僕はそのままそのお店で沢山買い込んだ。買ったものはひっそり護衛をしていた騎士が持ち帰ってくれるそうだ。いっぱい買うと持ち帰るのも大変だってサシャに言われた。

 僕は髪飾りとハンカチをサシャにプレゼントした。

 女帝であるサシャは色んな人から沢山のプレゼントをもらう立場だから、サシャにとっては本当によくあるプレゼントだと思うけれど嬉しそうにしてくれていて僕も嬉しかった。






「サシャ、買い物って楽しいね! これだけたくさんの物が置いてあると全部欲しいってそんな気分になっちゃうよ。一つのお店だけでそうだなんて、凄いね!」

「ウルリカは本当に愛いのぉ。今度、城に商人を呼んでやるから、欲しいものをどんどん買うといい」

「ありがとう、サシャ。商人を呼んで買い物をするのも楽しそうだね」






 僕とサシャはそのお店を後にした。店の外に出ると沢山の人が居た。僕とサシャがお店に入って行ったからと、外で待ってたみたい。




 僕とサシャが手を繋いで出てきたのを見て、色々噂しているみたいだね。








 そのお店を出た後は次に、サシャが別の場所を案内してくれることになった。

 まだまだデートは始まったばかりなのに、こんなに楽しいなんて凄いね。デートが終わる頃には僕はもっと幸せな気持ちでいっぱいになるんだろうな。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る