第8話 詳細プロット
おまたせしました。
いよいよ詳細プロットの作成です。
今回の詳細プロットは、新人賞に応募すうる原稿用のため、《章》で構成されています。
WEB小説は《話》で区切りますが……まあ、基本的な作り方は変わらないと思うので、そのままにしておきます。
それでは、さっそく見ていきましょう。
・メインストーリー
聖女になったアリアがドSな導きをする
メインストーリーは、ログラインと同じ意味です。
すでに簡易プロットから変更されています。
ドSを前面に押し出すことを決めたようです。
(このプロットを作成したのが、PCの履歴によると2019年の1月らしいです。わたし自身、もう覚えていません)
・サブストーリー
コラス三姉弟について
カルロスの思惑
メインストーリーが木の幹なら、サブストーリーは木の枝になります。
メインストーリーを強化するエピソードか、ある程度の関連性があったほうが良いと思います。
サブストーリーはあくまでも枝です。
元を辿れば同じ木の幹でなければなりません。
つまり、本筋と全く関係のない話は読者を冷めさせる可能性があります。
・メインストーリーに盛り込むべき要素
何も書いてない……。
たぶん、その時のわたしの頭のなかにはあったから飛ばしたんでしょうね。
・見せ場
どこで、読者の感情を揺さぶるか、を本来は書きます。
何も書いてないのは……(笑)
・伏線の発生と回収
伏線がいつ発生して、どこで回収するかを書きます。本来は。
そうしないと、うっかり伏線の回収を忘れたりしますから。
いや、わたしもいつもは書いてますよ!
今回はたまたまです!
ここからは物語を決めていきます。
各章ごとに、
・シーン№
・場所
・視点
・時期や時間
を記録します。
その後で、そのシーンの内容を書きます。
ちなみにわたしの小説は三人称一元視点で書きます。
上記にある視点は、どの手法で書くかを表しています。
すべてを三人称一元視点で書くため、その部分は省略しています。
なお、三人称一元視点というのは、三人称でありながら一人称のように書く手法です。
通常の三人称多元視点が高いところからの見下ろし視点なのに対し、三人称一元視点は特定のキャラクターのすぐ近くに視点があることで一人称に近い書き方になります。
・第一章
1-1
聖堂。アリア視点。七月。(現在)
「……このブタ野郎」
アリアの導き。
信者の悩みは結婚しているのに好きな女性が出来たこと。
信者が帰ったあと、いつまでこんな導きが続くのかと憂鬱になるアリア。
そこへ、修道院の掃除を終わらせたソロが戻ってくる。
アリア「ケニス小国での生活にはなれたのですか?」
ソロ「ここへ来て、もうすぐひと月になるからね」
アリア「弟さんたちも元気なのです?」
ソロ「ああ、みんな良くしてくれてるからね。これもみんな、アリアの姐さんやカルロスのおかげだよ」
アリア「その姐さんっていうの、やめてほしいのです」
ソロ「いや、アタイにとっては姐さんだから」
ソロがアリアを姐さんと呼ぶ理由。
ソロ「そういや、前々から思ってたんだけどさ。姐さんの導きって、聖女セレーナとは全然ちがうよな」
アリア「盗み聞きは良くないのです」
ソロ「導きの最中に入るわけにはいかないだろ。待ってたら聞こえてきちまったんだよ。それで、なんで姐さんの導きはあんななんだい」
アリア「うー、あんまり話したくないのです」
ソロ「まあ、話したくないなら無理にはきかないよ」
アリア「ソロさん、ありがとうなのです」
ソロ「カルロスにでも訊くよ。あいつなら知ってるだろ」
アリア「わかったのです! 話すのです! 話せばいいのですね! あれは、わたしが聖女になった日だったのです」
1-2
ケニス小国の国道。アリア視点。五月中旬。(過去)
おつかいの帰り道、アリアは長老のトーマスと出会う。
会話の中で、ケニス小国について、今日がアリアの誓願式であることの説明。
水たまりを見て、修道服の説明。
そこへカルロスが通りかかる。
会話で、アリアが条件反射で性格が変わることの描写。
聖堂前で信者がウロウロしている。
セレーナの導きを見学することに。
満足して帰る信者。
お礼に卵をもらう。
聖女の生活が信者からの寄付によって成り立っている説明。
夕食。
誓願式。
神との邂逅。
アリア聖女になる。
1-3
聖堂。アリア視点。現在。
アリア「……そうしてわたしは聖女になったのです」
ソロ「神様がいるなんて、ちょっとお信じられないねー」
アリア「他の神様はしらないのですが、少なくともカノン様はいらっしゃるのです」
ソロ「で、それからどうなるんだい?」
アリア「ちょっとした失敗をしてしまったのです」
ソロ「姐さんが失敗かー。あんまり想像できないね」
アリア「……本当に話さなくてはだめなのですか」
ソロ「無理強いはしないよ」
アリア「でも、わたしが話さなかったらカルロスさんに訊きに行くのですよね」
ソロ「ここまで聞いたら気になるからね」
アリア「わかったのです。事件が起こったのはわたしが聖女になった翌日の夜だったのです」
1-4
修道院。アリア視点。過去。
アリアの聖女就任を祝って、馴染みの住民が集まってくれていた。
かわるがわると話し、お酒を飲む流れに。
そのまま場の雰囲気に流されて、初めての導きをすることに。
ジュリアンに対し暴言を吐いて、泣かせてしまうアリア。
というのを、翌朝にセレーナから聞かされるアリア。
(ジュリアンの悩みは結婚したい、というもの。セレーナの常連)
1-5
聖堂。アリア視点。現在。
笑い転げるソロ。
あれはお酒のせいだったと後悔するアリア。
ソロ「ん? だけど変じゃないかい? どうしてそんな大失態をやらかしたのにこんなことになってんだい」
アリア「それが本当に不思議なのです。わたしも、あのまま聖女生命が終わると思っていたのです」
1-6
修道院。アリア視点。過去。
お酒の失敗から二週間が経ってもアリアに導きを頼む者は現れなかった。ジュリアンに謝りに行っても会ってもらえない。
三週間目に突然、ジュリアンが訪れる。
そして彼氏が出来たことと、アリアのおかげであると訴えたのだ。
その二日後からだった。
徐々にアリアに導きを求めにやってくるようになったのが。
1-7
聖堂。アリア視点。現在。
アリア「だけど、その導きっていうのが変わっていたのです」
ソロ「どんなふうに?」
アリア「みんながみんな、口をそろえて叱ってください、って言ってくるのです」
ソロ「なんでそんなことになっちまったんだろうねー」
アリア「聖女セレーナの話では、田舎ではときどき変なことが流行したりするって言ってたのです」
ソロ「ただの流行だといいけどね」
アリア「不吉なことを言わないでほしいのです」
第二章
2-1
聖堂。アリア視点。現在。
ヤンが聖堂へやってくる。
母親からの差し入れにエデルジュースを持ってくる。
と、ヤンがけがをしていることに気付く。
聞けば昨日、転んだそうだ。
アリアが奇跡の力で治療する。
ソロがヤンの母親の様子を気にする。
大丈夫と聞いて、ほっとすうるソロ。
ヤンの母親がアリアの熱心な信者であると聞いて、何かあったのかと尋ねるソロ。
ヤンが、語り出す。
2-2
ヤン視点。過去。
ヤンの過去。
どうしてアリアに頼ろうと思ったかの説明。
ヤンが聖堂を訪れる。
叱ってくださいとお願いしたらアリアがこの世の終わりとでもいう顔をしたことを語る。
2-3
聖堂。アリア視点。現在。
ヤン「でも、どうしてあの時、あんな顔してたの」
アリア「まさかヤンさんみたいな子にまで叱ってくれだなんていわれると思わなかなったのです。でも、そう思ってしまったことが今では恥ずかしいと反省しています。何事も、最後まで話を聞いてみないとわからないのです」
ソロ「それでヤン坊は、アリアの姐さんトコに行ったわけだね。叱ってほしくて。その気持ち、なんとなくわかるよ」
ヤン「うん。でもアリアさまは叱ってくれなかったんだ」
ソロ「え、なんでだい!」
ヤン「僕が本当に叱ってほしいのは自分じゃないからって」
ソロ「はあー。だけど、それじゃあヤン坊は誰にも叱ってもらえないじゃないかい。でも、さっき救われたって言ってたんだから今では母親に叱ってもらえてるってことなんだろ? いったいどんな手品を使ったらそんな結果になるんだい」
ヤン「それは僕も聞きたいです」
アリア「ですが、これはヤンさんに聞かせるようなことではないのです」
ヤン「それでも僕は訊きたい。自分のことです。知っておきたいんです。」
アリア「わかりました。ヤンさんを聖女セレーナにお任せしたわたしは、ヤンさんのお母様にお会いしにいったのです」
2-4
ビークル家。アリア視点。過去。
ヤンの母親サニーと面会するアリア。
そこでサニーの事情を知り、悲しくて、つらくて、だけど憤りも感じたアリアは性格が切り替わるのを止められない。
鞭の言葉と飴の言葉でサニーの心を入れ替える。
2-5
聖堂。アリア視点。現在。
アリア「その何日か後にヤンさんがまた聖堂にいらして、その時に見たお顔が晴れやかだったので、それでわたしのしたことが上手くいったと知ったのです」
ソロ「ぐす……。いい話じゃないかい。さすがはアリアの姐さんだ。アタイが惚れただけのことはあるよ」
ヤン「って、ソロ姉ちゃん。もしかして泣いてるの」
ソロ「泣いてないやい!」
アリア「ソロさん、ここはカノン様のお足下なのです。嘘はいけないのですよ」
第三章
3-1
聖堂。アリア視点。現在。
ヤン「そういえばずっと気になってたんだけど」
ソロ「なんだい?」
ヤン「ソロ姉ちゃんはなんでこの国に住むことになったの?」
ソロ「なに言ってんだい。あんただってあの場にいたじゃないかい」
ヤン「いたけど……あの時はサニーおばちゃんが心配でそれどころじゃなかったから」
ソロ「う……し、仕方ないね! 特別に教えてやるよ!」
3-2
ソロ視点。過去。
各地を転々と流れていたコラス三姉弟。
飢餓が限界となり、ソロは二人の弟を救うため、悪事に手を染める決意をする。
ソロが選んだのは、たまたま通りかかったケニス小国だった。
カルロス、トーマスと訪ね歩き、聖堂に辿り着く。
3-3
聖堂。アリア視点。現在。
アリア「そんなことがあったのですね」
ソロ「そっか、姐さんが来たのはそのあとだったけか」
アリア「はい。怪しい三人組がいて、あの時は驚きました」
ヤン「それからどうなったの?」
ソロ「ここからは姐さんに頼むよ」
アリア「え、どうしてなのですか」
ソロ「アタイは姐さんの信者だからね。あれこれ脚色しちまいそうだよ。それでもいいなら話すけど?」
アリア「これ以上、へんなことを足されるのは勘弁なのです。わかったのです。ここからはわたしがお話するのです。わたしが聖堂に駆けつけると、そこに奇妙な三人組がいたのです」
3-4
聖堂。アリア視点。過去。
コラス三姉弟を修道院に泊めることに。
翌日、コラス三姉弟に国内を案内することに。
そこでもコラス三姉弟が好き放題。
その過程でアリアに危害が及ぶ。
それに怒って飛び出したヤン。
ヤンをかばおうとして傷つくサニー。
ブチ切れたアリアが、言葉でコラス三姉弟を追いつめてゆく。
やがて、コラス三姉弟の境遇を知る。
アリアは三人を国に住まわせることに。
3-5
聖堂。アリア視点。現在。
アリア「みたいな感じだったのです」
コラス三姉弟の現状を説明。
ヤン「ソロ姉ちゃん、ろくでもない姉ちゃんだったんだね!」
ソロ「そんな明るく言われると反応に困るね。ま、ろくでもなかったのはそのとおりだけどね。あの時は、ああする以外にないって思ってたから。そんなアタイに手を差し伸べてくれたのがアリアの姐さんさ。ほんと、姐さんには感謝してもしきれないよ」
第四章
4-1
アリア視点。八月。現在。
聖女の朝は早い:聖女の生活を説明。
畑仕事中にクリスタがやってくる。
パンツのお届け。
ソロがノーパンであると判明。
ひさしぶりにアリアと一緒に遊びたいというクリスタ。
いつのまにか帰ってきたセレーナが行ってくればとすすめてくる。
アリアはクリスタとピクニックに行くことに。
4-2
昔よく遊んだ丘。アリア視点。
昔話に花を咲かせる二人。
アリアが聖女になってから自宅に帰ってないと判明。
アリア、祖父母に思いをはせる。
アリアが聖女になると決めたときの回想。
第五章
5-1
アドニス小国。ミラルダ修道院。三人称多元視点
ミール小国の聖女が、ミラルダ小国の聖女のもとを訪れていた。
ケニス小国の聖女の話題に。
このままでは聖女全体の印象が悪くなると危惧する二人は、ケニス小国にいくことに。
5-2
聖堂。アリア視点。
カルロスが導きに訪れる。
アリアの現状がカルロスの企みであったことが判明。
そこへ、慌てた様子でソロが訪ねてくる。
「姐さん、大変なことになったよ」
「どうされたのです?」
「他の国の聖女が攻めてきやがった」
5-3
修道院。アリア視点。
他国の聖女二人、アリア、セレーナの四人で会話。
最初は穏やかな会話で進むが、徐々に不穏な空気が流れる。
アリアとセレーナの導きを見ることに。
5-4
聖堂。アリア視点。
セレーナの導き。
完璧な出来に他国の二人も満足。
5-5
聖堂。アリア視点。
アリアの導き。
信者のヘンタイぶりに他国の二人も驚愕。
さらに、アリアの変わりようでも驚愕。
信者が帰ったあと、他国の二人があきれる。
これは現状から脱出できる好機だと考えたアリアは二人に助けを求める。
「助けてほしいのです! わたしもこんなことはもうしたくないのです!」
第六章
6-1
修道院。夕食後。アリア視点。
他国の聖女がアリアに事情説明を求める。
状況を理解した二人の聖女は、信者の意識改革をするべく立ち上がる。
6-2
修道院。朝食後。アリア視点。
他国の聖女が信者の意識改革を開始。
アリアの導きを求めてきた信者に、本当の導きとはどんなものかを説き伏せる。が、うまくいかない。
やがて他国の聖女は、アリアを責め、セレーナを責め、信者の悪口を言い出した。
そこでアリアの性格が切り替わる。
アリアの言葉に心を打たれた他国の聖女は自分たちを過ちを認め、アリアの信者になってしまう。
アリアは、自分がせっかくの機会を潰してしまったことを知った。
「うー、こんなこといつまで続くのです」
それはきっとカノン様も知らない。
いかがでしたか?
参考になりましたか?
でも!
その前に!
言い訳というか、補足をさせてください!
我ながら今回のプロットはあまりよくないです!
何せ、出来上がった作品と結構違っています!
たぶん、四割くらいは変更されたんじゃないでしょうか。
特に二章と最後ですね。
最後に至っては、アリアの葛藤に決着がついていません。
これは、実際に書いてみないとわからない、という判断かと思います。
さすがに変わりすぎ。
プロットと実際の作品が違うというのは、よくあります。
むしろ、そのままプロット通りに進んだことはないですね。
書いている途中で閃いちゃうんですよ。
この時のキャラはこう思っているんだから、こうならないとおかしい!
こっちの設定にしたほうが、物語が面白くなる!
そんなのばっかりです。
あとは書いてみないとわからない部分もあったりしますし。
だからプロット通りに進まないこと自体は仕方ない。
ある程度は諦めましょう。
さすがにメインストーリが迷子になるのは論外ですが。
だとしても!
キャラクターシートにしろ、環境設定にしろ、プロットにしろ、変更や追加があったなら都度、修正するべきです! じゃないと忘れるから!
四年前のわたし、何やってるの!
はい。今回のは悪い例ですよ。
真似しないでください。
え?
変わるんならプロットを作る意味はあるのかって?
あります。
プロットを作っているから、例え途中で変更しても耐えられるんです。
これがプロットを作らないで変更したらどうなります?
軸がはっきりしないからブレます。
一つのブレが小さくても、そのブレは次のブレを生みます。
そうやって連鎖反応が起き、最終的には地震になります。
大災害です!
津波も起きて大参事です!
それを最小限に抑えるのがプロットさまです。
だから何度も言います!
プロットは作りましょう!
凡人は!
プロットを!
作りましょう!
あと、これは完全にわたし個人の感覚による方法で参考にはならないかもしれませんが、一応記載しておきます。
これはストーリーを作るうえでのコツになります。
簡易プロットで、ストーリーは起承転結で考えていると書きました。
これを詳細プロットに落とし込むと、大体は6章編成になります。
文字数換算で12万〜14万文字程度の本文になります。
起→第一章
承→第二章、第三章
転→第四章
結→第五章、第六章
↑こんな感じです。
さらに頭の中では各章を、さらに起承転結に分けています。
つまり、起である第一章の中にも起承転結が存在するわけです。
これを意識するだけで、各章、ひいては作品全体の、物語の起伏がバランスよくなります。
また各章の起承転結は、それぞれ一つ〜二つのシーンで構成します。
これは、短いシーンなら二つ、長いシーンなら一つのイメージです。
何度も言いますが、あくまでこれはわたしの感覚です。だから人によって合う合わないが、かなりあると思います。
プロット、設定公開!『聖女に叱られた信者さんが、なぜか喜んでいます!?』 シノミヤ🩲マナ @sinomaya
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