第14話
窓越しに過ぎていく景色は、発車した方面とは反対側の場所にあった。
高校に向かう方角を走っていたのは、間違いなかった。
ほんのさっきまではそうだったんだ。
教習所の5階建ての建物と、赤い河川橋。
山間の道を進んで、電信柱の影が濃くなっていく。
斜面の下に流れていく草原。
白く降り積もった陽射し。
最初のトンネルを抜けて、山がどっと近くなった。
トンネルの先に広がる山間の景色は、大都会の街並みよりも少しだけ、騒がしかった。
一斉に降る蝉時雨。
ジリジリと立ち上がる陽炎。
広い川向こうに聳える大倉山の山肌が、何色もの色を織り交ぜたような鮮やかな緑を携えていた。
間違いなかった。
いつもの「道」だった。
『川茂駅』は、あの道の先には無い。
真反対なんだ。
さっきまでいた「場所」とは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます