第13話


 チチチ…



 小鳥が囀る音が聞こえて、思わず目を開けたんだ。


 どうやら、いつのまにか眠りについていたみたいだった。




 「ここは…?」




 見たことがある景色が、そばにあった。


 街へと続く川沿いの道。


 古びた電信柱が道なりに続いて、今ではもうやっていないレストランの廃屋が、緩やかなカーブの向こうに見えた。



 …でも、ここって…



 奇妙に感じたんだ。


 電車に乗って、北の方面に電車は動き始めた。


 線路がどこに続いていくかは、なんとなくわかってた。


 駅員さんは「3番線」と言っていた。


 だけど線路は、「2番線」に違いなかった。


 いつも乗ってたからわかるんだ。


 高校に通ってた線路だったから。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る