第15話


 ——なんで、こっちに?



 まさか、逆走した?



 …でも、そんなまさか



 電車に乗り過ごしたことはあるけど、終点はずっと先にある。


 大体、電車が引き返すことなんてない。


 反対車線に乗れば…だろうけど…



 そうこうしているうちに、私の住んでいる街が見えてきた。


 霧隠市川面町。


 岡山県の中西部に位置する市で、広島県と境を接する場所だ。


 美しい山々に囲まれた街並みが、小さなガソリンスタンドを越えた先に見えてくる。


 久しぶりな気がした。


 川茂駅を通り過ぎたのは。




 次は霧隠 霧隠 お出口は左側です ご乗車ありがとうございました 次は霧隠 霧隠 …

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る