第5話


 「…あの、何か用ですか?」



 今はそっとしておいて欲しかった。


 誰かと話せるような状況じゃない。


 運休ってだけで、別に座るのは問題ないでしょ?


 電車を待ってるわけじゃないんです。


 だから…



 「次に来る電車に乗れば、もう一度彼に会えますよ」



 ………


 ……………


 ……………………は?



 電車が来る…?


 …でも、運休なんじゃ…?



 ってか今、なんて…?




 「ここは3番線のホームです。そして、私はその駅員です」


 「3番線?でも3番線なんて…」


 「3番線の電車は、毎日走っているわけではありません。あなたは幸運なお客様です。乗車すれば、の話ですが」



 駅員さんが何を言ってるのかわからなかった。


 どっからどう見ても2番線の乗り場だ。


 3番線なんて聞いたこともない。


 大体、地元の駅は元々二車線しか存在しない。


 物理的に3番目なんて…

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