第4話



 ハアッ、ハアッ



 駅のホームの階段を駆け上り、ここじゃないどこかへ行こうとした。


 先日の雨で一部の線路は運行を取り止めていた。


 駅のホームの上は雨の匂いがした。


 ジメジメした、夏の季節の匂いが。



 「いくら待っていても、2番線は本日運休ですよ」



 そんなことは言われなくてもわかっていた。


 電車を待ってるわけじゃない。


 ここに来たのは、ただ、なんとなくであって



 「何をお探しですか?」


 「…はい?」


 「いえ、ただ、ここに来る人は皆、いつも何かを探していますから」



 何を言ってるんだろう。


 駅員さんにしては、やけに馴れ馴れしいな


 …というか普通話しかけないよね?


 まあ、運休なのにベンチに座ってる私も変なんだけど

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