冬が終わりとて

最終話 仲良しは永遠に

冬がやってきて、街は銀世界。


そんな中、三人はとある旅館に居た。


「風情があっていいわね。」

「籠女のお母さんには頭上がらないなー!」

「偶然部屋が空いたから、って言ってた」


そこは籠女の祖母の経営する旅館だった。


「ほほほ、籠女も大きくなったのぉ」

「うん。おばあちゃんも元気そうでよかった」

「お友達とゆっくりしていきなね」


「挨拶は終わった?」

「うん!」

「なぁなぁ、せっかくだし、風呂行こうぜ」

「まだ明るいけど…。」

「だからいいんじゃん!」

「行こっかー」

「仕方ないわね。」


「おっ!?」

「今度は何よ。」

「レトロなゲームがちらほらと!これは面白そう!!」

「向こうには駄菓子も売ってるよ~」

「へぇ、手広いのね。」


ゲームに熱中する末莉、せっかくなので駄菓子を食べる籠女と葵。

「ほら末莉、そろそろ止めないと日が暮れるわよ。」

「くぅ!もう少しでクリアだったのになぁ!行くかぁ」



衣服を脱ぎ、お風呂に入る三人。

「おぉ!一面雪の中入る風呂もいいなぁ!やっぱ明るい内に来て正解だったな!」

「まぁ、悪くはないわね。」

「ふわぁ…あったかぁぁい…」


景色を楽しみつつ、十分に温まった面々は…。

「(腰に手を当てながら)ぷはー!やっぱこれだな~!コーヒー牛乳!」

「おっさんか。」

「わたしはフルーツ牛乳…」

「何でもあるなここ!すげぇ!あ、卓球台まである!」

「私はやらないわよ。」

「籠女、やろうぜ!」

「…顔に当ててきそうで怖い…やらない」

「そ、そんなぁ。ここへ来て壁打ちしろと!?」

「素直に諦めなさいな。」



部屋に戻った三人は、宿の料理に舌鼓を打った。


「あー食った食った。いい所だなーここは」

「ほら、食べてすぐ横になったら牛になるわよ。」


「失礼するわね。」

「あれ?おばあちゃん。どうしたの?」

「せっかく来てくれたのだし、差し入れを、と思ってね…はい、これ皆にも」

「なぁに?この白くてドロドロしたの」

「言い方」

「甘酒かしら。わざわざありがとうございます。」

「いいえ。この後もどうぞゆっくり休んで行ってね。」


…。

「おさけ…?わたしたち、飲んでいいのかな」

「大丈夫よ、甘酒は本物のお酒みたいに酔わないから。」

「私は飲んだことあるぞ!」

「どんな味なんだろう…ちょっぴり飲む」

「私もいただこうかしら。」


数分後…。

「…あんまりおいしくない…。」

「まだまだ舌が子供だなはっは!」

「…ひっく。」

「え?」

「あ、こいつ一気に…たまに居るんだよな、甘酒で酔う奴…」

「…っさいわねぇ。たまには私のいう事聞きなさい…。」

「あ、葵…?」


籠女をやんわり押し倒す葵。その勢いで籠女の浴衣を緩めながら口づけをする二人。

「はい出ましたキス魔」

「んん…ひゃう…くすぐったいよ葵ぃ…末莉も見てないで助けて~~」

「面白いから混ざろ」

「ふえぇ!?」


「籠女ってちっこいのに胸はあるよなぁ。何?着やせするやつってーの?羨ましいわぁ」

「ふふ…そこが可愛いんじゃない…。」

「ひゃあぁ…二人とも~…だめえ…!」


お酒ってこわい…と学ぶ籠女だった。



そして葵が正気に戻った頃…。

「スンッ」

「ごごごごめんなさい籠女…。」

「わーるかったって」

「末莉はもうちょっと反省して」

「へい」



「じゃあ、電気消すぞー」

「うん…。」


「……。」

「籠女?眠れないの?」

「うん…。」

「あら…枕無しでも眠れるあなたが珍しいわね…どうかした?」

「んん…もうすぐ、学園に入って一年…色んな事、あったなーって…」

「そうね。退屈しない日々だったわ。」

「うん。それが、これからも続いていくのかなって…この三人で…」

「くくっ…」

「え?」

「そーんなの、当たり前だろ!!私たちはこれからも一緒だ!!」

「末莉!起きてたの。ま、そうね。何も心配する事ないわ、籠女。」

「……うん!」






―あとがき―

「清く、正しく、かしましく!」、三人の仲は続いていくでしょうが、物語はこれにて終わりとなります!読んでくださった方、本当にありがとうございます!!

次作を書く予定は今の所ありませんが、その時はまた宜しくお願いいたします。

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清く、正しく、かしましく! びたーすてら @A_ma_ka_sa

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