第6話 ラムとリートとルカ
あー、はいはい続きね。
アストラルは構成がピラミッド型なの。
あ、形じゃないよ?
そんな形の建物あったらめっちゃアヤシイじゃん。
ちなみに
ファ?そんな表向きにできるわけないじゃんか。
裏では政府と
たまに来てるトラック?
あー、あれの中にはたぶん霊結晶でも入ってんじゃね?
は?霊結晶がなにか??
そっか、知らないんだった。
えっと、霊結晶っていうのは………
side ラム
『奏、起きれる!?逃げるよ!!』
「げほっ、ゴホゴホッ」
苦しそうに
先ほどの男は、暴走した善霊の攻撃で吹き飛ばされた。
【『ラム!大丈夫!?』】
『ルー!!』
ルー、本名ルカから通信が入った。
その時暴走善霊がこちらを…、正確には奏を見た。
奏は霊媒体質で、しかも私たち霊を大量につけている。
単体でも
それが弱っているのだ、
『ルー、急いでね。私だけじゃ、10分も持たないから。』
【『ラムの能力は戦闘向きじゃないからね、ボクが行くまで耐えてよ!』】
『もちろん!!』
ルカは猫の幽霊だから、きっと全力で走りながら霊結晶を持ってきてくれているはず…。
それまでは、持ちこたえてみせる!!
『闇、【呪】!!どす黒き怨みの果ての呪いに勝るものなし、花枯れ、荒れ、朽ち果てよ。今このとき、巡り巡って彼のものへ。
暴走善霊の頭上にもくもくと雲が形成され、ザァザァと黒い雨が降る。
私の属性は闇の派生で『呪』。
この雨には、呪いが
みるみるまに暴走善霊の体が溶け、ついにはべしょっと
でも、やつらの生命力はこんなものじゃない。
『闇、【呪】!!どす黒き怨みの果ての呪いに勝るものなし、花枯れ、荒れ、朽ち果てよ。今このとき、巡り巡って彼のものへ。
黒いナイフを10本ほど作成して、起きあがろうとしている暴走善霊に
[ギュロロロロロ………‼︎]
『ッ…』
暴走善霊が発する音は、善霊を不快にさせ、悪霊を悪へ落とすように挑発する。
私はあまりの不快音に耳を
「ぐっ…、なんだ…?」
『!!』
おそらくあの4人組のリーダーと思われる男…、名札に確か…、
暴走善霊の最初の一撃で
いや、覚ましてしまった。
暴走善霊の気を引いたのだ。
触手が舟月に向かう。
『逃げろ!!!』
舟月がやられたら…!
奏に怒られちゃう!!!
「えっ、は?」
舟月は
クッソ、人間ってのはなんでこうも理解と反応が遅いんだ!?
奏を
その時、したったらずながらも確かで、凛とした声が響いた。
『
バチバチッ!!
雷で縁取られた黄色いシールドが舟月を守る。
背後から聞こえる『はなして、おねえちゃん!かなでまもるの!!』『ダメ…、あぶない…』という声から、あの
『舟月!さっさと逃げろ!邪魔!!』
「っ!?」
こちらを見て、舟月は弾かれたように逃げ出し…、あっけなく暴走善霊の追撃の
えっ、よわ。よっっっっっわ!!
シトリンの
【『ラム、もうすぐつくよ!!どう、もちそう!?』】
ルーからの通信。
『ちょっ……とムリかも…。』
【『………マジ??』】
『マジ』
【『ちっ、仕方ないな…。いま、クソ犬がそっちに行ってる。あと1分だけ踏ん張ってくれよ!!』】
あと1分…。
奏に触れようとする
下唇を噛むが、もうそんなことを言っている余裕はない。
暴走善霊を睨み、霊力を練り上げる。
『闇、【呪】!!どす黒き怨みの果ての呪いに勝るものなし、花枯れ、荒れ、朽ち果てよ。今このとき、巡り巡って彼のものへ。
今度は大量の霊力を消費して二、三十本の剣を作り、応戦する。
そして今度はシトリンとルビーに通信を繋げる。
『あと1分でリーが来るって!!遠くからでいいから援護してくれる!?』
【『わかった!!』】【『………了解』】
シトリンは即答して、ルビーは少し考えて了承した。
炎と雷が時々飛んでくるようになったけど結局変わりはしない。
1分がとても長く感じた。
私の霊力は多いけれど能力が攻撃向きじゃない。
その上そもそもこれは時間をかけてじっくり炙っていくような感じだし、そもそも現実に
剣が削れ、数が減っていく。
早く1分経ってくれ。
そうしないと…、奏を守りきれない!
『………あっ!!』
霊体は肉体に干渉できず、肉体は霊体に干渉できない。
だが、肉体が肉体に干渉できるように霊体も霊体に干渉できる。
あ〜、これは〜……、重症になっちゃうかも…‥
「
[ギュリィイイイイイイイイ‼︎‼︎]
え………、
『ラム!無事か!?』
『え…、うん…』
白銀の毛皮の自転車サイズ
でも、リーは無の空属性だから、先ほどの光霊魔法はいったい誰の…?
光霊魔法が飛んできた方向に目を向けると…、
『舟月!?』
「あー、どうも」
逃げろと言ったのに!!
その手には拳銃らしきものが
付与系の能力者が拳銃に霊魔法を付けたんだろう。
『さぁて、暴走善霊さんよぉ、俺のお仲間をさんっざん可愛がってくれたんだ、どうなるか…わかるよなぁ?』
心なしかリーの周囲にドス黒いオーラが見える。
暴走善霊がふるりと震えた。
リーの
『グルルアァァァ!!!』
か、可愛くない!!
犬じゃない犬じゃない!
もはやそれ狼でしょ!
そうして始まるのはリーの
一方的に攻撃しまくり、周りが余波でバラッバラ。
まーた《
そろそろアイツもキレるかもよ…
って!!
その激闘(一方的)を近くで呆け見るんじゃないぞ舟月!、
余波で殺されるぞ!!
『もー…、さっさとこっち来い、舟月!!
「っ!、お、おう!」
近くに来た舟月に奏を守るよう言いつける。
ルーが来るまでだ。
おそらく奏はルーが白の中の上持ってきて、憑かせたら目覚めるはずだ。
全開の奏はもー、強いからね!!
【『ラム!!』】
『っ、ルー!!』
【『そろそろ着くよ、クソ犬はついた!?』】
『うん、リーが来てくれた。』
【『オーライト、加速するよ!!』】
ルーが来るまで…、でも、もうリーがいるからもう大丈夫だ。
私は奏と舟月の一歩手前に出て戦闘を見守る。
リーの攻撃によって、暴走善霊の霊力はもう
きれたら霊結晶に戻るから安心だ。
『ギョルルルルル………リュアアアア‼︎』
『っ!?』
暴走善霊がこちらに手を
まさか、霊力を補給しようとしている!?
………
まず、特殊な入れ物に先に霊力を
ただ、その入れ物は大変壊れやすい。
次に、テンプレのポーション。
ちなみにめっちゃ苦い。というか美味しくない。
レモンジュースに緑茶を混ぜ込み、コーヒーをぶち込んだかのような味で、
そして最後は、霊力を宿す物、または生物から奪うこと。
つまり、私から霊力を奪おうとしているのだ。
『ラム!避けろ!!』
リーの声が聞こえる。
でも、避けられない。避けたらいけない。
後ろには、奏と舟月がいるから。
『ラム!!』
あ、ルー。
来たんだ…。
『か、なで…』
どすっ、と触手が腹に刺さり、ルーの心配する声を聞きながら私の意識は急速に遠のいていった────。
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灰色図鑑!
リート (旧名:銀月リート)
元奏の飼い犬。
白銀の毛皮で、元からなんの犬種かわかっていなかった。
そもそも犬⁇
フツーに寿命で死んだのだが、その時まだ小さかった奏がボロ泣きしていて、それが心残りで残ってしまった。
今もこうして幽霊になって奏に
ドーナツが大好き。
めっちゃ強い。
やばい。
ルカとは
奏はもうほとんど泣かないので、成仏しろよと思うかもだが、リート本人(犬?)談によると、『涙の匂い』がするらしい。
奏自身が泣いていなくても、奏の心があの事を気にして泣いているのかもしれない。
属性は無の派生で『空』。
異能は『空を飛ぶ』こと。
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やぁ。作者こと
今回出てきたリート君なんだけど、元は言わずもがな神狐様に出てくる天花ちゃんなんだよ。
性格も喋り方も変えたからいいかなぁって。
ちなみに、異能の『空を飛ぶ』っていうのは、背中に半透明の翼が生えるの。
めちゃくちゃ神秘的だけど、
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