第2話 スーパーおとなげない高身長(←これ重要)

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、あっ、あとどれくらいだ!?」

『もうちょっとだよ!そこ、左!階段のぼって!』

「もう階段は嫌だあああああ!」


奏のとなりには、先ほどの幽霊の少女…、ラムがいた。

ラムは一番最初に奏に憑いたといっても過言ではないほどの古参勢こさんぜいであり、準相棒じゅんあいぼうポジションだ。

真なる相棒と呼べる霊の2人はおそらく今頃いまごろ奏の危機ききも知らず校舎こうしゃのどっかをうろついている。

本来幽霊は憑いた人間からあまりはなれられないが、アイツらは例外である。


「はっ、はっ、はっ、よし、やっとついた!」


がちゃん!と開け放ったのは屋上のドア。

もうぐ昼休みが終わる時間帯ころなので誰もいない。

階段の下からは微かにタタタタタ…という音が聞こえてくる。

けっこー速い。

おそらくかなり上位の霊士だろう。


「よぃ…せっ!」


ばさりとかぶったのはローブ。

今は秋なので、文化祭用ぶんかさいように作られていた魔女のローブを拝借はいしゃくしてきたのだ。

すっぽりと体をおおい、ラムにも戻らせて霊士が来るのを待った。


ばんっ!


再び扉が開かれ、現れたのは点検服姿てんけんふくすがたなのに片手に刀を持ったチグハグな格好の男。

結構イケメン。

だが、奏はそれ以上に驚愕きょうがくした。


「こっ…、高身長…!」


ちょっと反るぐらいの身長。

大人っぽいことを抜きにしても奏にとっては大問題だった。


「お前…」


じっと見つめられる。

奏としては視線を感じることにはれているので大丈夫だが、身長のことで頭がいっぱいだった。

と、男が突然笑い出した。


「っはは!おまえ、それつらくないの?」

「は?」


つらい?

いったい何が…

奏はハッとした。

あっ、幽霊にかれてることねー、と。

声色こわいろを変えて言う。


「別に辛くはないです。慣れてるので」


名付けて、お話しして帰ってもらおう作戦、である。

攻撃してきた時は…、放課後まで気絶してもらう運びで。


「慣れてる?何年前から?」

「生まれた時からです。ずっと。」


念のため敬語を使っているが、奏はかなり毒舌なのでキレるとすぐにガワががれるタイプだ。

その後も色々と質疑応答しつぎおうとう(?)が繰り返され、奏はだんだんつかれてきた。


「じゃあ…」

「あの、これいつまで続くんです?」

「あっ」


情報漏洩じょうほうろうえいは少なくするつもりだったはずが、思ったよりも個人情報が大洪水だいこうずいを起こしていた。


「じゃあ、最後の質問。」

「最後…」


まだ続けるのか…、あ、いや、最後ならいいのかな?

奏 は 精神 が 病み かけていた !


フードそれ、脱いでくれない?」

「お断りします!!」(即答)


両腕で身を抱き、絶叫シャウトした。

たとえ同姓でも変態はノーセンキューである。

なんかいろいろあったが、とりあえずお帰りいただいたとだけコメントしておく。




ー→↑↓←*→↓↑←ー

side 男




「よ、れい。お前に命令だぞ」


友達からもらった指令書には、学校に見回りに行けと書かれていた。

懐かしく思いながら学校の敷地しきちに踏みこみ…、その瞬間、ゾクリと身体中に悪寒おかんが走る。

恐ろしい気配を感じた。

霊士としての直感が警報けいほうをうるさいぐらいガンガンと鳴らしている。

それでも命令だから足を踏み出したんだ。

そうすると、視線を感じた。

その中にひとつ、普通の生徒の好奇こうきと疑問の視線とは違う、嫌悪けんおと敵視の視線があったのだ。



アイツだ。



敷地しきちに入った瞬間に感じたあの悪寒の持ち主。

おびただしい量の悪霊を感じる。

それも一回所に。

でも…、これは悪霊?

かすかに善霊の気配もする…。


………行ってみるか!!


恐怖よりも圧倒的に好奇心がまさった。

一応でもていていなので、校長に挨拶して早速点検という名の見回りを開始する。

それにしてもこの学校はなんだ?

俺がいたころはあんなに善霊悪霊関係なく大量にいて吐き気がしたのに、今やいないのが逆に奇妙きみょうだ。

その時、鐘をしたチャイムと共にアナウンスが流れた。


『昼休み終了5分前になりました。みなさん、教室に戻り、次の授業の準備をしましょう』


そしてアナウンスが終わった瞬間、悪霊の気配のみなもと(?)が動いた。

どんどん俺から離れていく。

俺が近づくほど離れ、反対方向に行く。


………こちらの気配をかんづいているのか。


「────おもしろい!!」


俺が走り出すと、相手もあせったように走り出した。

かなり速い。

加速すると、相手は階段を登り始めた。

行く先は…、屋上?

逃げ場がないのになぜ?

すると相手はぴたりと止まって動かなくなった。

待ちかまえる気か?

ばんっ!と扉を開けると、そこには…、ちっちゃい不審者がいた。

俺を見てかたまり、何かをつぶやく。

フードをかぶっていて目は見えないが、くちびるが見えていた。

しかも、ローブの前を止めきれずに制服がチラチラ見えている。


「お前…」


ただ、その背後には…、というよりそいつ自身からまっっっっくろなドス黒いオーラがふきき出ていた。

このオーラを学生がまとっているという事実に笑った。


「っはは!おまえ、それ辛くないの?」

「は?」


声的に女か?

いや、男?


「別に辛くはないです。慣れてるので」


な れ て る

こんなに黒いオーラは初めて見た。

いったい、どれくらいの量を憑けているのか。

いや、??


「慣れてる?何年前から?」

「生まれた時からです。ずっと。」


生まれた時から?

かなりめずらしいな。

聞いた話だと百人に一人だとか。

それもこの調子だと霊媒体質れいばいたいしつだ。

だとすればどんな確率になるのか…

疑問は次々と生まれる。

どんどん口から勝手に質問が出てくる。


「じゃあ…」

「あの、これいつまで続くんです?」

「あっ」


気づけばかなり時間がち、五時間目終了間近。

少年も少し引き気味になっていた。

おっといけない、夢中になっていた。


「じゃあ、最後の質問。」

「最後…」


まだ続けるのか…、彼の顔(といっても口元だけ)はそう言っていた。


フードそれいでくれない?」

「お断りします!!」(即答)


両腕で身を抱き、叫ばれた。

まぁ、本部に報告したら「バカ言うんじゃない」って言われたけどね。

ほんとなのに。


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灰色図鑑!


舟月ふなづきれい

身長180ちょいの高身長。

好奇心のかたまり

よく大人気ないと言われるが、一説では本当は全て分かった上での演技なんだとか(ありえねー)。

頭はよく回るが、それを上回るのが好奇心。

奏のサポートキャラというか、保護者枠で作ったはずが、なかなかに大人気おとなげない逆に奏にサポートされる側のキャラになってしまった残念イケメン。

キャラ設定がしっかりしておらず、口調がよく変わる。

キャラ崩壊の可能性大。

異能は後日説明。

属性は光の派生で『聖光』。

歴代でもこの属性は珍しく、アホなうらおもてのない人が持つとされている。


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やぁ。作者こと天音あまねだよ。

あのあと体重計に乗ったらさ、自主規制ピ────キロもあったんだ。

いやぁびっくり。

驚きのあまり体重計を投げそうになったよ。

あっははははー。

投げたら割れて床がへこんで大惨事になるんだけどさ。

天音、もしかしたら近いうちに豚音ぶたねに改名するかも。

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