これは、旧約聖書のかの有名な創世エピソードを記したものである。…うん、確か、こんな話だった、はずだけど…なにかが微妙に違うように思えるのは気のせいだろうか。途中で、水あめを毒と言い張る有名なとんちエピソードが脳裏をよぎるのは勘違いだろうか。最後のオチに至るまで、原典に忠実なはずなのに、やっぱり何かが違う。そもそもキャッチコピーからして哀愁が漂う。「まあ、一杯やろうか、神様」と声をかけたくなる。知的な笑いが読む人の心に刺さるのも、人類のありようにふとうすら寒い気配を感じるのも、知恵の実の効果が連綿と受け継がれているから、かもしれない。