エピローグ
「やりました、この瞬間日本人選手初のオリンピック百メートル走の決勝進出が決まりました!」
今はオリンピックで日本中、いや世界中が熱狂の渦に包まれている。
その中でもひと際注目を浴びる陸上選手が、たった今歴史を塗り替えた。
「それでは早速インタビューに来てもらいましょう。高山選手、おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「二十一歳、まだ大学生ということですがこの歴史的快挙の要因をお聞かせください」
「ええ、日々寿命を延ばすために努力してますので」
「選手寿命をですね。怪我の多いスポーツでそれは大切なことですからね」
「いえ、寿命です」
「え?」
「あ、すみませんこっちの話です。でも明日を掴むために必死でやった結果です」
「なるほど。明日を掴む、いい言葉ですね。それに高山選手、学生ながらご結婚をされているということで、奥様も大変美人と評判ですが」
「ええ、自慢の嫁です。彼女のおかげでここまでこれました」
「それに来年にはお子様も誕生されるということで。今は奥様は日本で観戦を?」
「ええ、テレビの前で見てくれていると思います。」
「夫婦で掴まれた最高の結果ですね。そのネックレスの飾りも奥様手作りのお守りなんですよね」
「はい、クマちゃんの目です。琴美曰く「よく見える」と言ってました。」
「よく見える?まぁそれに奥様から渡された人形を持参して選手村に入る光景も話題になりましたが、あれは奥様の分身というわけですね」
「まぁ、そんなところです」
「奥様の手料理が早く食べたいところですね」
「はい、彼女のハンバーグは高校の頃から食べてますが絶品です」
「羨ましい限りです。では最後に決勝での意気込みを教えてください」
「明日も自己ベスト、そして四年後も見据えていい土産を持って帰りたいですね。そうすれば四年は安心なんで」
「安心?」
「いえ、こっちの話です……」
「……と、とにかく高山選手の快挙に日本中が興奮していると思います。頑張ってください」
「はい、頑張ります」
「高山選手に来ていただきました」
このインタビューは後に何度も再放送されて、テレビ出演の度にどういう意味だったのかと聞かれることとなる。
そんな彼のインタビューを見ながら大きくなったお腹をさわり、微笑む女性がいる。
「ふふっ、あの人ったら面白いことばっかり言っちゃって。でも選手村ってよくない噂も聞くしメアリーちゃん同伴させて正解だったかな」
一度CMになったところで席を立ったその女性は、台所に向かいながらつぶやいた。
「バカねぇ、この子が生まれてくるんだからもう殺そうなんて諦めたわよ。でもそれで必死に頑張るんならもう少し黙っておこうかな。早く無事に帰ってきてね。蒼君」
Fin
あとがき 2
エピローグまで読んでいただけました皆様、本当にありがとうございました。
最終話のあとがきにて書きたいことは書いてるので簡単に済ませますが、また新たな連載でお会いできることを願っています。
いつもいいねやコメントくださる方や、レビューや☆で応援くださる皆様のおかげで書くエネルギーをいただいています。
いつか書籍化をと妄想しながら日々模索しておりますので、応援してやると思ってくだされる方はどんどんレビューやコメントお待ちしております。
今後とも 明石龍之介をよろしくお願いいたします。
美人な転校生が、実は超絶病んでるストーカーだった。そしてなぜか家族もクラスメイトもみんな俺の彼女だと誤解しているんだが 天江龍 @daikibarbara1988
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます