第16話 アメリカで見つけたセカンドライフ
アメリカで多くの仕事に携わった沙織は人によく聞かれる。
「どうしてアメリカでそんなにたくさんの仕事をしたのですか?」
彼女は正直に答える。
「ほとんどの場合、自分に巡り廻ってきた仕事を取らなくては明日から生活できないという状況に陥ってしまっていたからというのが理由だったのです。
つまり、仕事を取るべきか取らないべきかと迷う選択の余地さえない切羽詰まった必要性が身に降りかかっていたのです。迷っている時間もあまりありませんでした。
とにもかくにも、やって来たチャンスに目をつむって飛び掛かることは、アメリカで生きていくために不可欠なことだったから・・・。それだけなのです。
ただ、一つだけ注意したことは、いくら食べていくためとは言え、自分が真に情熱を傾けてできそうな仕事を請け負うこと。最低限それだけは守っていました。
外国で、しかも毎日お金のためだけに嫌々ながら働くということは自分自身に対して許せなかったのです」
まさに、
補習校での教師の仕事を請け負った時のように、"Just do it!"の精神で自分の尻を蹴りながら突き進んで行った沙織だった。
しかし、様々な仕事に携わり、それら一つ一つの仕事を通して全く新しい人生が開けた。そうやって外国で様々な価値ある仕事を経験し、多くのことを学べたからこそ、今の自分があるのかもしれないと沙織は思う。
日本の平和気分にドップリと浸かっていた楽な生活の中では答えが得られなかった
「自分はどこまでが日本人的とかアメリカ人的とかいうことを超えて、本来の自分とは一体どういう人間なのか?」
といった一生の疑問を目の当たりにして、ありのままの自分の姿を認識していくこともできたわけだった。
アメリカで離婚・再婚を経験するにも多大なる勇気が要求された。
沙織はあまりにも様々なことを経たため、セカンドライフどころか、サードライフ、フォースライフ、フィフスライフとバラエティーに富んだ人生をいくつも渡り続けてきた気がする。
それだけに、多くを経験したことを沙織は決して後悔はしていないのだった。
To be continued...
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