12/10 【書く】『日常キリトリ線』より「第135話 逆光の樹影、ガラスのリノウ」


・『日常キリトリ線』より「第135話 逆光の樹影、ガラスのリノウ」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881796766/episodes/16817330668227627746


 沖縄の自然をテーマにしたいと、出身の東京から引っ越してきた画家の「僕」だが、初めてのスランプに陥っていた。気晴らしに出かけた工芸店にて、琉球ガラスの「ガラスのリノウ」という作品を見た「僕」は、強く心惹かれ、作者に会おうと決意する。

 去年度開かれていた主催者が一か月ごとに交代する同題異話企画のkinomiさんが主催した八月のタイトル「逆光の樹影、ガラスのリノウ」への参加作。ちなみに、kinomiさんによると、「リノウ」は造語なので、好きな様に意味を当てはめて良いとのこと。


 去年度の同題異話は、沖縄を舞台に、登場人物たちが月毎に変化していくけれど、どっかしらに繋がりがある、『アイネクライネナハトムジーク』みたいな短編連作で参加しようと決めていたので、「ガラス」というタイトルを見た瞬間に、琉球ガラスのことしか考えられなかった。

 そこで、琉球ガラスの歴史について調べてみると、面白いルーツを知れたので、そこを物語の核に据えることにした。我ながら、良い感じにタイトル回収できたと思っている。


 ただ、『日常キリトリ線』に移植するのに時間が掛かったのは、琉球ガラス政策のシーンをネットの動画とかでしか参考にしていなかったので、ちゃんと調べておこうと思ったから。そこで、先日、ガラス工房へ吹きガラス体験をしてきた。

 分かったことは、釜の前が滅茶苦茶熱いこと、意外と少しの息でガラスが膨らむこと、それぞれの手が全く別の作業をすることがあったので、自分の不器用さなどだった。ちなみに、ガラスを冷やすのに時間が掛かるので、完成品はまた後日取りに行くことになっている。とても楽しみ。


 さて、同題異話参加の連作は、沖縄に住む人々の恋愛や友情や仕事に関する、人間関係についてがテーマで、「沖縄が舞台」と一応言っている割には、そこまで強調していない。ただ、こちらの「逆光の樹影、ガラスのリノウ」は、沖縄でしか書けないものになっている。

 これまでのシリーズでは、名前も出てこなかった人物が主人公で、彼の出番はこれっきりなので、そう言う点でも異色の一編だ。イメージとしては番外編のようなものではあるけれど、沖縄生まれである以上、胸の奥でくすぶっているものを少しだけ描き出せたという意味で、私にとって特別な話になった。






















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