第135話 逆光の樹影、ガラスのリノウ


 目の前に立つのは、ガジュマルの巨木。絡まり合った何本もの幹や、頭上を覆う緑の葉、枝から垂れ下がる髭のような気根。どこを見ても、美しく、心が奪われる木だった。

 この木を描きたい。そんな気持ちに突き動かされて、鉛筆を握る。その気高い命を、この場所に立ち、見つめてきた歴史を、この筆で、写し取ってやる。脅迫めいた使命感に、僕は腕を必死に動かす。


 凸凹とした幹の重量感を、生き生きとした丸い葉を、青空を掴もうと伸ばしている細かな枝を、風に揺れる頼りない気根を、全て、完璧に描きとっている。その自負は確かにあった。

 ……次の瞬間、僕はキャンパスを真っ黒に塗り潰していた。スケッチは殆ど完成している。第三者が見たら、悲鳴を上げるような馬鹿げた行動だと分かっている。それでも、ぐしゃぐしゃと不規則に動く手を止められなかった。


 沖縄に移住して、もうすぐ一年。画家として身を立ててから、初めてのスランプに、僕は陥っていた。ガジュマルの木の絵が真っ黒になり、キャンパスに何があるのかが分からなくなってしまったのを眺めて、僕はため息を吐いた。

 どうして、この絵が気に入らないのかが、自分でも分からない。完成度で言えば、とても高い部類に入るスケッチだった。ただ、何かが足りない。


 約一年前、東京に住んでいた頃、とあるコンペで和宇慶わうけというカメラマンと出会った。変わった名字の彼は、沖縄から上京してきたばかりだと語っていた。

 様々な景色を見て、それを切り取れるようなカメラマンになるのが彼の夢だった。故郷のことを嫌ってはいないが、その為には、沖縄で留まり続けるのはいけないと思っていたのが、上京の理由だという。


 僕は、密かに彼の話を鼻で笑っていた。東京生まれの僕にとっては、あんなに美しい自然に囲まれた場所を捨てるなんて、ありえない選択だと思ったからだった。

 それならば、僕が代わりに沖縄の風景を描こうと思った。自分でもびっくりするくらいの行動力で、僕はすぐに沖縄へ引っ越した。


 沖縄の全てが、僕に素晴らしいインスピレーションを与えてくれた。ここで描いた絵は高い評価を得て、自分史上最高額で売れて、僕はこの選択が間違っていなかったのだと満足した。

 ただ、沖縄の芸術家からの評判は、芳しくないものだった。「綺麗」「素晴らしい描写力だ」とは言われるものの、作品の思想については言及されない。それが、ずっと気になっていた。


 それを見返したくて、必死になっていたのだが、それが迷宮に入っていくように、僕を惑わせていった。何を描きたいのか、どうして描きたいのかが、分からなくなっていく。

 森の中を散歩している時、開けた場所に立つこのガジュマルの巨木を見た瞬間は、心が躍った。これを描きたいと、間違いなくそう思ったはずなのに、キャンパスに写し取った瞬間、ガジュマルの木は死んでしまったかのように黙り込んだ。


 初めてのスランプに、僕は困惑し、恐怖していた。画家仲間は、「スランプは誰にでもあるものだよ」と慰めてくれるが、自分の不安が上手く言葉に出来ない分、充分なアドバイスは得られなかった。

 ガジュマルの木に背を向けて、家路に向かう。これ以上描けないのだから、こうするしかないのに、まるで何かから逃げているかのように、居心地が悪かった。






   □






 とあるギャラリーで、伝統工芸品の展覧会があると小耳に挟んだ。二十代から四十代までの、比較的若い作家たちによる、ジャンル無関係の合同の会だという。

 近所だったこともあり、行ってみようかと軽い気持ちで思った。スランプの今、気晴らしになるかもしれない。もしもこれが絵画の展覧会だったら、突出した才能に打ちのめされる可能性があるが、工芸品には無頼漢だから平気だろう。


 初めて訪ねたそのギャラリーは、思ったよりも手狭で、その割にはたくさんの作品が飾られていた。こういう場所には作者が同席しているものだが、ここではその姿が見えない。きっと、作者がいない分、作品の数を増やしたのだろう。

 紅型、やちむん、芭蕉布など、名前しか知らなくて、作り方も見当のつかない工芸品を、一品ずつ眺めていく。どこがどう新しいのかが分からなくても、全ての作品から、何かを変えてやるという瑞々しいエネルギーを感じた。


 ギャラリーの奥の方に、こじんまりとした琉球ガラスのコーナーがあった。すぐそばの窓から入ってきた太陽光に照らされて、それぞれ光り輝いている。そのような展示方法のためか、この中の一つの作品に目を惹かれた。

 ここにある琉球ガラスのグラスの殆どは、僕もイメージしている鮮やかな青色で、気泡が入っていたり、一部が白く曇っているというデザインだったが、その作品はとてもシンプルだった。ちょっとくびれがある以外は、薄い緑色なだけのグラスで、気泡もとても小さなものが、ぽつぽつと入っているだけだった。


 琉球ガラスは触れることが出来るので、僕はそれを手にする。手のひらに収まるほどの大きさで、他のと比べると小さめのグラスだが、口周りは分厚くなっている。ずっしりと重たいのは、琉球ガラスの特徴の一つなのかもしれない。

 札によると、タイトルは「ガラスのリノウ」だった。作品の紹介文などが無いので、「リノウ」というのがどういう意味なのかが分からない。僕が知ることが出来たのが、「津堅つけん侑美ゆみ」という作者名と所属している工房名だっただけだった。


 そんな謎だらけの作品だからだろう。僕は、「ガラスのリノウ」のことが気になって仕方なくなった。

 「リノウ」とは何だろう? 他の作品と比べると、全く共通点が無いのだが、これも琉球ガラスなのだろうか? どうして、ここまで没個性的な作品にしたのだろう?


 「ガラスのリノウ」に込められた思想の部分が、気になって仕方ない。ギャラリーから出てから、すぐ「津堅侑美」と工房名をネット検索してみる。

 まず、東シナ海を望む位置にあるガラス工房がヒットした。そのホームページの所属する職人の一覧に、津堅さんの顔写真を発見する。僕と二三歳ほどしか変わらない二十代の女性のようだ。


 工房に電話をしてみたところ、代表である桃原とうばるさんが電話を取った。初老の男性の声に、僕はビビりながら話をしたが、「ガラスのリノウ」を作った津堅さんに会ってみたいと伝えると、あっさり許可を得た。

 土日の工房は見学者が来るため忙しく、僕の訪問は三日後の水曜日に決まった。電話を切って、自分が思ったよりもドキドキしていることに気が付いた。


 一つの作品のことを、突き動かされるかのように、深く知りたいと思ったのは随分久しぶりのことだった。プロとしてお金をもらうようになってからは、他者の作品も全て自分のライバルのように感じて、何の色眼鏡を付けずに見られなくなっていた。

 だけど、「ガラスのリノウ」との出会いが、僕の何かをきっと変えてくれる――。大袈裟なようだが、純粋にそう思っていた。






   □






 津堅さんが所属している桃原公房は、裏手にエメラルドグリーンの海を臨む場所に建っていた。

 制作物を売っているスペースに足を踏み入れて、受付の女性に自分の名前と訪問理由を伝えると、彼女は奥の方に引っ込み、初老の男性と共に戻ってきた。


「古崎さん、ようこそいらっしゃいました。桃原です」

「どうも。今日はよろしくお願いします」


 よく日に焼けたその男性は、温かな笑顔で僕を歓迎してくれる。

 それは嬉しいけれど、津堅さんはどうしたのだろうか? という不安が胸を過ったところで、工房長の桃原さんが説明してくれた。


「すみません、侑美は、急な用事が入って、ちょっと遅れるそうです」

「そうでしたか。構いませんよ」


 急に会う約束を取り付けたのはこちらの方だったので、申し訳なさそうにぺこぺこする桃原さんを安心させるように、笑顔で返す。

 津堅さんが来るまで、ここの作品を見学しながら待っていようかなと思っていたら、桃原さんから思わぬ申し出があった。


「侑美が来るまで、うちの工房を見学しませんか?」

「え、でも、お邪魔なのでは……」

「いいえ。見られながら作るのは、皆慣れていますから」

「では、お言葉に甘えて……」


 琉球ガラスの作り方について、僕は見たことが無かったので、良い機会だった。桃原さんの後に続いて、彼が出てきたドアをくぐる。

 一歩足を踏み出しただけで、熱が僕を包んだ。見えている窓は全て全開になっているようだが、あちこちで燃えている窯の火が、工房全体を温め続けている。


 まず、一つの窯に原材料となる珪砂や石灰などを入れて、混ぜ合わせる。この作業には、一晩をじっくりかけるという。

 続いて、真っ赤に解けたガラスの元を細長い筒状の鉄の棒にくっつける。作る物によってガラスの元の大きさは異なるが、グラスだったら子供の握り拳ぐらいだった。


 その後に、風船を膨らませる時のような力加減でガラスを吹き、形を整える。これは、僕も映像や写真などで見たことある作業だが、新人だと鉄製のすり鉢のような専用の型を使っているらしい。色を変えるために、ガラスを重ねたりして、この作業を複数回繰り返すこともある。

 もう一度吹きながら想定通りの形に整えたら、棒とガラスを切り離すためのくびれを付ける。この時点で、ガラスは冷えてきていて、真っ赤な色から完成形の色に近くなっている。


 だけど、これで完成ではない。今度は、熱した小さなガラスが先についたもう一つの竿にくっつける。そこと反対側は口として切り離し、もう一度窯に入れて固くなっていた口の部分を柔らかくする。

 さらに、鉄製の大きなピンセットのような道具で、柔らかくなった口の余計な所を切り取り、形を整えていく。片手で竿を回し、もう片方の手はピンセットをゆっくり広げて口を作るので、意外と大変そうな作業に見えた。


 ここまでの工程を、複数の職人で協力しながら十分ほどで行う。最後に、「徐冷炉」という四角い箱のようなものに入れて、一晩をかけて冷やしていく。それは、琉球ガラスが熱湯に入れると割れてしまうからだという。

 桃原さんは、中に入っていた作品を一つ、取り出してみた。透明を下地に青い色が鮮やかなグラスだった。自然に生まれるひび割れも気泡も、個性の一つとして残しているのだと、桃原さんは説明してくれた。


 琉球ガラスの工程や、その桃原さんの言葉を訊いてから、余計に「ガラスのリノウ」への謎が深まっていく。津堅さんは、どうして一般的な琉球ガラスのイメージとは逸脱した作品を作ったのだろうか?

 そんなことを考えている時に、桃原さんはぼくの後ろの方を見て、「ああ」と声を零した。振り返ると、裏口のドアから、写真で見た津堅さんが中へ入ろうとしている所だった。


「桃原さんごめーん! 出発前に色々あって……」

「いいよー。古崎さんも、ここで琉球ガラスの勉強できたからねぇ」

「あ、そうです、ありがとうございました」


 そう言いながらも、僕は津堅さんの方に目が釘付けになっていた。津堅さんは、小さい女の子の手を引いていたからだった。

 その女の子は、純粋な瞳で、津堅さんのことを見上げていた。


「ママ、お仕事?」

「違うよー。今日はあのお兄ちゃんとちょっとお話するだけー」

「凛ちゃん、おじちゃんと海で遊ぼうか?」

「わーい!」

「桃原さん、お願いします」


 女の子は桃原さんに右手を引かれて、左手は津堅さんに振りながら、工房の外の浜辺へと歩いていった。まさか、津堅さんが子連れで現れるとは思っていなかったが、娘を見送る穏やかな横顔を見ていると、「お母さんなんだなぁ」という月並みな感想が出てくる。

 そして、彼女は僕の方に改めて向き直った。はにかんだ笑顔は、彼女を女学生くらいに若返らせた。


「お待たせしました。裏の方に、テーブルと椅子があるので、そこでもよろしいですか?」

「はい。いいですよ」


 僕らも、工房の外へ出る。津堅さんの娘が桃原さんと、貝殻を拾いながら歩いているのが見える。

 お互いの緊張をほぐすため、テーブルに着いた僕は、目の前の津堅さんの子供の話題を口にした。


「こういう自然がたくさんある場所で子育てできるのは、良いですね」

「いやー、そう言ってもらうのはすごく有り難いんですけど、不便なことも多いですよ? 病院やスーパーが結構遠いですし……」


 津堅さんは苦笑交じりで返す。それは謙遜ではなく、本心のようでもあり、自分が迂闊なことを言ってしまったのではないかと後悔する。

 気を取り直して、僕は自分自身のプロフィールを話す。画家として、沖縄の自然を題材にして描いていることを、自分のホームページの作品を見せながら、説明する。当然、今のスランプ状態については黙っていた。


「……その時に見た、津堅さんの作品が気になって、一度お話してみたいと思ったんです」

「ああ、『ガラスのリノウ』のことですね」

「それです。名前の由来を知りたくて」


 僕は、高鳴る胸を何とか抑えながら、津堅さんの言葉を待った。


「リノウというのは、英語が由来の造語です」

「造語、ですか」

「ええ。無理にスペルを当てるとしたら、もう一度という意味のREに、知るという意味のKNOWですね。意味合いとしては、『温故知新』です」

「なるほど……」


 頭の中で、「RERNOW」というスペルを浮かべてみる。「もう一度、知る」――確かに、温故知新と訳することが出来るだろう。

 考え込んでいる僕に対して、津堅さんはにこにこしながら「古崎さんは知っていますか?」と尋ねてきた。


「琉球ガラスのルーツの一つに、米軍が出した空き瓶を加工したものというのがあるんです」

「そうなんですか。意外と新しいんですね」

「ええ。何もかも失った沖縄が、新たな工芸として立ち上げるために、捨てられた瓶を使ったんですよ」

「……」


 津堅さんの言葉は穏やかで、顔も笑っているのに、僕は、何か責められているような気持ちになった。真っ直ぐな瞳は、僕を、いや、その奥にいる全てを、射抜いているような気がする。

 告白してしまうと、僕は沖縄の歴史について、さほど詳しくない。むしろ、知るのを避けていた部分がある。この島の自然を描くにあたって、歴史の背景はノイズのように思えたからだった。


「米軍統治下の琉球ガラスは、今の形とは全く逆で、溶かした瓶に罅や気泡ができるだけは入らないように加工としていくのが、高度な技術だったんです。それでも、廃瓶を使っている以上、不純物は入ってしまうものなんですが……。

 あの作品は、敢えて、アメリカのソーダの瓶を加工して、作りました。当時の資料を漁って、出来るだけ製造方法も再現しました。でも、私の腕がまだまだなので、気泡がちょっと入ってしまいましたね」

「どうして、昔と同じような作り方にしたのですか?」


 僕の質問を受けて、津堅さんはため息を吐き、肩の力を抜いた。目線は、工房が面した海に注がれる。浅瀬のエメラルドグリーンが、沖に行くにつれて段々と深い青色へと変わっていく、グラデーションが美しい海だ。

 だけど、僕は、彼女が自分と同じ海を見ているとは思えなかった。常に変わらない海は、その一方で、沖縄の激動の歴史を内包している。


「子供が生まれてから、沖縄の現状について考えることが多くなりました。この島は、いつでも岐路に立たされています。そんな時、自分と同じガラス職人が、昔、どんな風に生きていたのかを知ろうと、色々調べて、彼らの手法を再現したいと思いました」

「……大変だったでしょう」

「ええ。失われかけたものを掘り起こすのは、とても大変でしたよ。完成しても、満足できる出来ではありませんでしたから」


 津堅さんはそう言って笑う。それは、無理をしたものではない、零れ落ちたような笑い声だった。


「でも、一番反対したのは、他のガラス職人でしたね。こんなことをしても意味はない、もっと観光客にウケるものを作らないとって」

「そんな……」

「それを、古崎さんが見つけてくれて、嬉しかったんです。自分の挑戦は、誰かに届いたんだって思って。ありがとうございました」


 津堅さんが頭を下げる。それに僕は慌てた。まず、お礼を言わないといけないのは、こちらの方なのに。


「いえ、僕の方も、色んなことを学びました」


 僕も心からお礼を言う。津堅さんは、自分が目を背けてきたものを指摘しただけではなく、それと向き合うことを教えてもらえた。

 「よろしければお土産を」と言って、津堅さんは立ち上がった。僕は、流石にいただくわけにはいかないので、お金を出すことを譲らない。


 そんな二人のやり取りを見ていたのか、津堅さんの娘が、両腕に貝殻をいっぱい抱えて、走ってきた。その後ろを、桃原さんがゆっくりと歩いてくる。津堅さんは、振り返ると屈み込み、両手を広げて、それを待つ。

 津堅さん親子が抱き合うのを、僕は温かな気持ちで見ていた。二人の笑い声が、波音に交じって、鼓膜に届く。






   □






 この前とは時間を変えて、あの森の中のガジュマルへと向かった。何度か通った道を潜り抜けて、ガジュマルの巨木と向き合う場所へ着いたのだが、僕は思わず「ああ」と声を漏らしていた。

 木が逆光になってしまっていた。太陽の白い光を受けて、完全な陰になってしまっている。


 幹も葉も全て真っ黒で、これでは何の木だか分からない。スランプ中で、あまりえり好みできる状況ではないのだが、流石に角度を変えてみようと、キャンバスを持ったまま、ここから動こうとした。

 ガジュマルは根っこが大きく出る形で根付いているので、キャンパスが置けるように、僕はそこから距離を取った平らな地面の上に立っていた。ふと、その今の立ち位置に目を落とした時、ガジュマルの木の影が、僕の足に掛かっているのが見えた。


 バチッと、頭に電流が走るような感覚がした。インスピレーションだ。その焦げた匂いを嗅いで、僕は冷静に思う。

 縦横無尽に枝を伸ばしていたガジュマルの木の影は、地面に落ちていても、その形はそのまま保っている。そこから降りる気根も一緒に、黒く地面に刻まれている。


 その樹影が、僕の足を絡め捕ろうとしているように見えた。この木が見続けてきた歴史を、その暗黒を、僕の方に引き摺り込もうと、あるいは、注入してしまおうと。

 沖縄の、美しい部分しか見ていなかった。そこしか描きたくないと思っていた。だけど、沖縄で暮らしながら、描いていくのなら、そんなスタンスでいいのか? あの日見た、津堅さんの瞳が問いかける。


 僕は、自分のすぐ真横にキャンパスを置いていた。鉛筆が、別の生き物のようにスムーズに動く。樹影の形を、全てきり抜いていしまおうと、張り切っている。

 自分が戻れないことが分かっていた。脂汗が出てくる。しかし、強く興奮していた。自分に描けるものは、いや、自分が描きたかったものは、これだったのだと。


 神々しい逆光が生み出た、地の底のように黒い樹影を、僕は歯を食い縛って、流れ続ける汗を拭わずに、描き続けていた。



























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