天の川線 銀河鉄道[まほろば]の旅

 目が覚めた。

どうやら夕食を食べた後に部屋で寝落ちしたらしい。

せっかくのセーラー服が少しシワになってる。

ごめん。お母さん。

…………プゥォー。

 汽笛。それも汽車の。

窓の外を見る。

夜空に走る1本の線。

ここがお母さんの部屋だったこともあって、都合良く双眼鏡があった。

 僕は見た。

ノートに模写された銀河鉄道と同じ汽車だった。

急いでパスを持って外に出る。

 階段を降りると駅舎に着いた。

道の駅になってるはずの駅舎に。

中に入るとちょうど汽車が到着した。

形状はC61形蒸気機関車に酷似した白銀の汽車。

車両前面と側面の円盤状の看板には。

《銀河鉄道 まほろば》

と書かれていた。


 しばらく車両にそって歩いていると、ドアが開いた。

横開きの自動ドア。

外見に似つかわしくない近未来的なドア。

そのドアから全身を覆い隠すジャケットと手袋、ジャケットと同じ横幅の帽子。大きい革靴。

車掌だろうか。

 「切符。もしくは乗車パスをご提示ください。」

 「えっ…。」

 「切符かパスを。」

 「は……はい。」

 私はスカートのポケットから先日見つけたパスを渡した。

 「ふむ…ふむ…。問題ありませんね。ようこそ銀河鉄道まほろばへ。」

 「どうも。」

 車掌に案内されて客車の中へ。

「おーい。」と手を振る見知った声の主。

 「お知り合いですか?。」

 「えっ…まあそんなところです。」

 僕は声の主がいる座席へ向かった。

やっぱりレイだ。

 「ユイ〜。久しぶり〜。」

 「お久しぶりです…。」

 僕はこの前会ってたけどね。

 「おお〜。セーラー服だ〜。私と同じ。うちと同じ学校?。」

 「違います。お母さんが昔着てたものです。」

 「ごめんね。」

 「いいですよ。」

 レイの対面に座る。

こう見ると髪の長さと瞳の色以外は僕にそっくりだ。ちなみにレイの瞳は明るめの紫色。

 「では良い旅を。」そう言い残して車掌はこの車両から退室した。


 駅舎のブザーがなる。

次に汽車の汽笛。

ガゴンと重たい音と共に、大蛇のような大きな巨体は前へと進んだ。

ガンガンと進んでいくのが、勢いが乗ってくると落ち着いて速度が上がる。

汽車は次第に坂を上り始めて、宙へと駆けた。

客車の窓開いた僕は下方にある街を見ている。

さっきまでいろいろと回った街を僕ははるか上空から眺めている。

 「凄い。本当に宇宙に向かって走ってる。」

 「凄いでしょ〜。私も最初びっくりしたの。」

 成層圏を抜け。

月を横切って、銀河鉄道は宙を走る。

この冒険が何を意味するのか。

この旅の終着駅はどこか。

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