第61話 あなたは何教信者ですか?

 戦後1946年1月に、天皇は神ではなく国の象徴に過ぎないと、天皇が「人間宣言」をすることを強行させたのはアメリカの占領軍だった。


 そして、戦後、日本は国家的スケールで「大反省の時期」に入り込んでいた日本国民も、「天皇が神ではないこと」を素直に受け入れた。己に降りかかって来るものを抵抗なく受け入れていく、これは仏教で言う悟りに近い精神ではないだろうか?


 もしかしたら、あちこちに散らばっている神は日本人一人一人の中にも存在していて、自己鍛錬をし続けることで自分の中の神々しいものを自分の中から引き出して、無意識の中にも正しい生き方を実践しようとしているのかもしれない。


 聖書でも、"The kingdom of God is within you.(神の国は汝らのうちにあり)"と述べている。


 謙虚な姿勢を保って、世界の様々な宗教からためになることを取り入れては学んで、それぞれの教えを生活の中に適応していった。それが日本人なのではないだろうか?


 それだけに、世界で一般に「宗教」と呼ぶ範疇にうまく当てはまらないところがある。


 以前は、アメリカ人から、

「あなたは何教信者ですか?」と聞かれる度に、真奈は、

"I am really nothing."と応えていたものだった。

 

 これからは、アメリカ人に、

「あなたは何教信者ですか?」と聞かれたら、

"I am everything."と言ってみようか?


 いやいや、そんなことを言っては、後の始末が大変だ。


 一つだけ間違いなく言えることは、日本を遠く離れたことで、日本に住んでいた時よりも、もっとずっと日本という国や日本人の言動が明確に見え始めてきたということだった。 


To be continued...

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