第11話

日本人通訳不足 


 時代は移り変わっていた。現在世界中で寿司が人気食品となったように、日本文化がもてはやされる時代が到来した。


デトロイトでの真奈の人生も移り変わっていた。


 一か八かで、生活の足しにとアメリカの自動車会社の通訳を一つ二つやってみたところ、その後真奈には様々な自動車関係の通訳のリクエストが入るようになってきて真奈自身度肝を抜かしていた。


アメリカで仕事をする資格を持っている日本人が少ない土地だ。


 東京でファッション・イラストレーションの勉強をしていた女が、なんと自動車産業で使われるエンジニアリングの勉強をすることを迫られるとは・・・。


 その頃、日系カーメーカーは長年アメリカの自動車産業のリサーチをした末、デトロイトで実際どのような形で車作りがなされているかを視察するためにどんどんデトロイト入りを始めていたからだ。


日本の自動車メーカー独特の用語も覚えなくてはならなくなっていた。


 その頃通訳としてオートショーにでも行こうものなら、日本人の顔をしているというだけで腕を掴まれ仕事をオファーされそうな、それほどの勢いだった。


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